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[MOM540]大阪学院大GK齋藤和希(4年)_初優勝の立役者、守護神がPK戦で2連続セーブ

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GK齋藤和希(4年=C大阪U-18)

[7.8 第47回関西学生選手権決勝 大阪学院大1-1(PK5-4)大阪体育大 キンチョウスタジアム]

 PK戦までもつれ込んだ熱戦。大阪学院大は追い込まれていた。二人目のキッカー、主将・MF三木水都(4年=大阪学院大高)が失敗したのに対し、大阪体育大はここまで4人全員が成功。5人目のMF末吉塁(4年=初芝橋本高)が決めれば、大体大が優勝となる。しかし、この土壇場でGK齋藤和希(4年=C大阪U-18)がチームを救った。末吉のキックをストップすると、続く6人目MF平田健人(4年=星稜高)もセーブ。守護神の活躍で、大院大が関西選手権初優勝を手にした。

 斎藤本人が「PK戦には苦手意識がある。前の2試合も駆け引きもうまくやれず、止められてなかった」と言うように、4回戦・近畿大と準々決勝・びわこ成蹊スポーツ大を2戦連続PK戦で勝ち上がったが、相手のPKを止めたわけではなかった。決勝でもPKで大体大に先制点を献上。だが、勝負どころで「今まで引っ張ってきてくれたキャプテンが外して、このまま負けられへんという思いだった。集中力で今までと違うものが出た」と見事なセーブを披露し、ヒーローとなった。ストップした相手のキックについて尋ねると、「何も覚えていないです。キッカーが誰なのかも気づいていなかった。本能で飛びました」と笑顔で答えた。

 GKとしての豊富な経験を持つ岡中勇人コーチは、「斎藤は、関西選手権ではここというピンチで止めることができていた。ゲームを決めるプレーが多く、この大会で伸びた」と評価する。準々決勝のびわこ大戦では、身体ごとシュートブロックに行ってピンチを救い、この日もDFラインを突破した相手FWのコースを消し、守り切った。

 大院大には、昨シーズンまで田中大貴(現・栃木ウーヴァFC)という絶対的存在のGKがおり、斎藤もなかなか出場機会を掴めなかった。その中でも「大貴くんは練習の態度が常に本気で、その姿勢を常に見ていた。尊敬できる先輩です。出会えて、学院に来てよかった。」と先輩に追いつこうと努力を重ねてきた。しかし、昨夏に顎を骨折。田中が卒業した後のポジションを14人のGKで争う中、遅れをとった。今年の2月に復帰すると、上杉哲平GKコーチの指導の下、リーグに照準を合わせたトレーニングを重ね、今季リーグ開幕でスタメンを掴んだ。「いろんな人のサポートがあって自分がある」と優勝の立役者は謙虚さを忘れない。

 関西王者となったが、リーグ戦は前期8位。斎藤も「失点が多い。減らすために連携、守備をどう守るか。そういうところを練習から頑張りたい。」とさらなる向上を口にする。総理大臣杯という場で、チームとともに成長し、その存在を全国にアピールしたい。

(取材・文 蟹江恭代)
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