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【選手権から大学サッカーへ】早稲田大FW加藤拓己_怪我に苦しむ“練習生”、その立場から見えた景色

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早稲田大の“練習生”加藤拓己

 早稲田大FW加藤拓己山梨学院高で活躍を続け、U-16からU-19までの年代別代表にコンスタントに選出されているストライカー。しかし高校時代の激戦の末、現在は怪我の治療中となっており、早大には部員としてではなく、練習生として在籍している。苦しいスタートとなった加藤が現状や大学生活、そして今後について語った(取材日:7月10日)。

●FW加藤拓己
―練習生という立場について教えてください。
「今はまだ部員ではないんです。2月のU-19代表遠征の後に手術をして5月の復帰を目指していたんですけど、左足の古傷が再発してしまいました。代表のドクターや色々な方にお話を聞いて、6月に手術を行いました。ようやく7月頭にギプスをとって…という状況です。スタートとしては失敗なのかなって思っています」

―怪我が治ったら部員になる?
「元々早稲田はランテストで合格して、1か月の練習生という期間を経てから入部できるかを判断されます。自分はスポーツ推薦で取ってもらっていて、今は怪我をしているので、それを踏まえて一応チームに居させていただいている。いわば無所属状態ですね。怪我が治ってランテストさえ受かれば部員になれます。そこは本気でやらないとやばいですね」

―ピッチに立てない歯がゆさはありますか?
「スポーツ推薦だからって特別扱いはされたくないですし、年代別代表の肩書がある中で、周りの基準を下げてまで自分を部員として扱ってほしくはないので、今の部員ではないっていう扱いが自分を成長させてくれる要因だと思っています。正直プラスに考えるのはすごく厳しいです。でもそれだと一流にはなれない。東京五輪やカタールW杯も見据えた中で、今の自分に何が必要なのかっていうのは、怪我の期間にずっと考え続けています」

―学業はどうですか?
「体のつくりとかそういうのを学んだりしていますけど…まあ何を言っているかはわからないですね(笑)。でも高校の授業と違って興味ないことではないので、時間も長くなりましたけど勉強は楽しい。テストはやばいです(笑)。でもそれもプロの道ではなく、学生の道を選んだことの成長過程のひとつだと思っています」

加藤拓己(1年=山梨学院高)


―早稲田大を選んだ理由とは?
「筑波大と迷いました。筑波大は地元の近くで、そこに行ってしまうと自分の性格上遊んでしまうんじゃないかと思って。地元の友達もいて家族も近くて、苦しくなったら逃げられるじゃないですか。そういう状況を自分からつくり出すのもどうかなと。あと、玉井さんというスカウトの方が常に観に来てくれましたし、古賀(聡/現名古屋U-18監督)さんが大雨の中、スーツで試合を観に来て何も言わずに帰っていくということもあって。そういう熱い人と一緒にやりたいって思ったことが決め手になりました」

―今季から外池大亮監督になりました。
「こんな自分でも見てくれていて、すごく面倒見の良さを感じています。早稲田強いじゃんって見られるようになったし、スカパー!やCMにも取り上げられたリ、それらは間違いなく監督が大学サッカーに落とし込んでいるものだと思います。自分が今まで思っていた大学サッカーよりもすごく華々しい舞台になっているのは、間違いなく監督のおかげです」

―新入生で“コイツはヤバイ”みたいな人はいますか?
「プレー面だけではなく人間性も含めるなら、羽田(拓矢)、林(隆生)、西川(玄記)、高原(歩希)のマネージャー4人ですね。選手も素晴らしい人たちばかりですけど、素直にすごいなって思ったのはこの4人です」

―そう見えた理由とは?
「今自分が怪我人だから見えるところがあるんです。チームのためにマネージメントしたり、早慶戦でも遅くまでミーティングしていたり、自分だったら絶対にできないことばかり。ミスするときもあるけど、4人がいるから選手はプレーに集中できる。怪我人の自分はそばで見ているから、彼らが評価されるだけのことをやっているんだって知ることができました。クリロナすげー!って思うけど、クリロナ支えてる人すげー!ってならないじゃないですか。ここでそういう人たちを目の当たりにして、つくづく思うようになりました」

加藤拓己(1年=山梨学院高)


―4年後の自分について、どうありたいですか。
「4年後にプロに内定していますように…とか甘いことは言いたくなくて、2年生、3年生でも決まっている人もいますし、4年生ではJに定着していられるくらいになりたいです。W杯を目指すならそうならなくてはいけないですし。東京五輪に出られたらそういう可能性はグッと出てくる。4年後を見据えて、今を本気で生きていきたいです」

(取材・文 石川祐介)
●第92回関東大学L特集

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