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DF高橋秀典がAチームデビュー戦でゴール!大阪体育大が天皇杯出場に一歩前進

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大阪体育大DF高橋秀典はデビュー戦でゴールを決めた

[3.21 第24回大阪サッカー選手権大会・大学予選1回戦 大阪体育大 3-2 大阪産業大 阪南大G]

 第24回大阪サッカー選手権大会の大学予選1回戦が21日に行われ、大阪体育大大阪産業大が対戦。MF西田恵(新4年=関西大北陽高)の先制点を皮切りに3点を奪った大阪体育大が3-2で勝利し、天皇杯本選出場に一歩前進した。

 昨年の関西学生リーグ王者・大阪体育大が苦しみながらも、白星を勝ち取った。大体大はDF田中駿汰(新4年=履正社高)がJクラブの練習に参加中。主力候補の1年生も大会規定によりメンバーに登録できず苦しい台所事情だったが、前半4分にGK平田陸(新4年=前橋育英高)のフィードから素早く相手エリアに侵入すると西田が相手GKをかわして先制点をマークした。

 12分にも右CKをDF高橋秀典(新3年=青森山田高)が合わせて大阪産業大を引き離したが、ここからは「2点獲っても、3点目が獲れずに失点する流れは練習試合でも続いていた。今日も合宿で出た課題が露呈した」(松尾元太監督)。

 2点目を決めてからは大阪産業大に流れが傾き、17分にはクリアミスからMF河北祥太朗(新3年=福岡U-18)にゴールネットを揺らされた。前半終了間際に西田のパスから、FWアフラギ・マハディ(新4年=清明学院高)が決めてリードを再び2点差としたが、後半2分には大阪産業大のMF出津真哉(新2年=鹿島ユース)に直接FKを決められてしまう。

 失点後の大阪体育大は全日本大学選抜に選ばれるFW林大地(新4年=履正社高)を投入し、攻撃のギアを上げた。19分には、3列目からのスルーパスから林がゴール前を抜け出し、シュート。33分にはPA内でボールを受けた林が強引に前を向き放ったシュートがGKの隅を突いたが、懸命に戻ったDFにブロックされるなど果敢に4点目を狙いながら、ゴールが遠く、3-2でタイムアップ。松尾監督は「昨年、結果が良かったのはハードワークができて粘り強く守れたから。セットプレーから2失点しているようではリーグ戦で勝てない。攻撃も強いチームなら4、5点獲っている試合で物足りなさが残る。きついのが表情に出ているし、まだまだ戦う集団にはなれていない」と厳しい口調で試合を振り返った。

 内容面で見れば不満も残る試合だったが、収穫も少なくない。その一つが、この日がAチームデビューとなった高橋の奮闘だ。「Aチームの試合は始めてだけどミスを恐れていたら消極的になってしまうので、積極的に行こうと思っていた」と振り返るこの日はセットプレーから2点を奪われたが、最終ラインでチームのバランスをとるなど守備で貢献。攻撃でも前半12分に「あの形はしっかりと練習していた」CKからチーム2点目をマークした。

 攻守両面で存在感を発揮し、勝利に貢献した高橋だが、ここまでのサッカー人生は順調ではなかった。千葉県から青森山田高に入学したが、股関節の怪我に苦しんだため、ほとんど試合に出られなかった。最終学年でチームは日本一を経験したが、応援団としてスタンドで見守るしかできず、「悔しいと感じるまでの舞台に立てなかったので、途中から大学で活躍するための準備をしようと思っていた」。

 大学は教員免許の取得を考えていたため、黒田剛監督の母校である大阪体育大を選択した。1年目は再び股関節を痛めたが、「復帰してからピッチで活躍することを考えて身体造りやイメージトレーニングをしてきた」ことが奏功し、昨年の途中からBチームの一員としてIリーグでプレー。「能力的には高くないけど、真面目に頑張れる選手。ストロングポイントが明確にあるわけではない分、バランスよくプレーできる。高校で苦しい経験をしたのも活きている」。そう評価する松尾監督によって、今季からはAチームに引き上げられた。

 この日の試合は主力が不在だったため、試合出場が回ってきた形だ。今後は田中や1年生が合流してくるため、ポジションは安泰ではないが、与えられたチャンスを逃すわけにはいかない。「みんなは僕が試合に出ていると聞いて、驚くと思う。ただ、僕が怪我していなければ高校で活躍していたかもしれないというのをみんなに見せたかった」と意気込む通り、ピッチで活躍を続けることで自信の存在を見せつける。

(取材・文 森田将義)

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