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ともにFC東京へ…法大MF紺野和也、明大MF安部柊斗のそれぞれ

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FC東京への入団が内定しているMF紺野和也(左)とMF安部柊斗

[5.19 関東大学L第16節 明治大2-0法政大 味フィ西]

 今季のJ1リーグで唯一の無敗(18日現在)と圧倒的な成績で首位を快走するFC東京に、来季も大学サッカー界から強力な新戦力が加わることになる。法政大のMF紺野和也(4年=武南高)と明治大のMF安部柊斗(4年=FC東京U-18)。両選手とも下級生のころからレギュラーとして活躍し、母校にタイトルをもたらしてきた選手だ。

 19日に味の素フィールド西が丘で行った関東大学サッカー1部の試合で、内定後初めてのマッチアップ。普段から仲が良く、「試合前にも後にも話をした」(安部)というが、勝負となれば別。安部が「法政大のキープレーヤーは紺野和也。結構激しく和也のところには行きました」と意識を十分にして臨んでいたと明かせば、紺野も「柊斗とやれて個人的には楽しかった」と笑顔で“勝負”を振り返った。

 2月22日、一足先に紺野が入団内定を発表した。今季の目玉の一人である“法政のメッシ”にはJ1複数クラブが注目。北海道コンサドーレ札幌やヴィッセル神戸の練習に参加するなどして、卒業後の進路を慎重に見極めてきた。中でも“バルサ化”を目指す神戸の熱は高く、今年1月に練習参加した際にはMFアンドレス・イニエスタらと面談を行い、「すぐにでも来てほしい」と熱烈なラブコールを受けたという。

 だが紺野はFC東京を選んだ。出身の関東圏のチームであること、大学に通学しながらチームの練習にも参加しやすい環境など、様々な理由で決断を下したという。「試合会場にはなかなか行けないんですけど、DAZNでフルで毎試合観て、勉強しています。練習も毎週週初めに行っていて、少しずつは慣れてきたかなと思います。東京愛は増していますね」と、今は希望通りの充実の日々を過ごせている。

 同ポジションにはMF久保建英がいる。急成長を遂げる17歳の存在は、紺野にプロの厳しさを教えてくれている。ただ「判断の部分が凄い。抜けている」と羨望の眼差しを向けるが、「自分が勝っている部分もある」と俊敏性を活かしたプレーで勝負を挑みたい考えでいる。「建英もそうだけど、ほかのサイドハーフの選手のいい部分を盗んでいけば、試合に出るチャンスが出てくるのかなと思っています」。

 安部は紺野から遅れること約3か月、5月14日に来季新加入を発表した。中学校に入ると同時にFC東京U-15むさしに入団。FC東京では高校卒業までの6年間を過ごした。「大学に来た時から戻る、4年間でFC東京に戻ることを意識していた」という安部の運命が動き出したのは昨年10月。練習参加した際に評価を高めると、今年2月の沖縄キャンプに参加。その場で獲得のオファーを受けるほどのアピールに成功した。

 今季の明治大の主将であるFW佐藤亮(4年=FC東京U-18)は、むさしから数えて、チームメイトになって今年で10年目。苦楽を共にしてきた戦友、「大学卒業時に戻る」とともに誓い合い、支え合ってきた仲だ。ただ今現在、“帰還”を許されているのは安部だけだ。練習参加、獲得オファーと順調に話が進む中で、どこか話しづらい空気も漂っていたという。

 だが発表の日、安部は佐藤から「おめでとう」と声をかけてもらった。短い言葉だったが、気持ちは十分すぎるほどに伝わった。「亮自身もFC東京に帰りたいという思いは持っていると思う。なれないこともあるけど、でも頑張ってほしいです」。

 現在J1で首位を快走するチームで活躍するためには更なるレベルアップが必要だが、それは双方に感じているところ。紺野が「もう一段階、二段階レベルアップしないといけない。まずは大学で結果を出していかないと」と気を引き締めれば、安部も「今日のプレーじゃ全然通用しない。もっと練習して、成長していかないと」と意欲的に話す。両選手が進路決定で満足することはない。

(取材・文 児玉幸洋)
●第93回関東大学L特集

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