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[MOM644]東洋大FW小林拓夢(4年)_残留圏の勝ち点7差まだ諦めない…反撃の狼煙を上げる2ゴール

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マルチゴールを決めたFW小林拓夢

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.5 関東大学L1部第15節 筑波大2-3東洋大 朝霞中央公園陸上競技場]

 勝利の瞬間、全選手がピッチ上に倒れ込んだイレブンの奮闘を見て、古川毅監督はおもわず唸った。

「学生なので、まだ成長段階だということだろうけど、やらないといけない状況に追い込まれることで初めて自分の限界以上のものが引き出されるものなのかな、と思った。選手は本当に頑張った。こっちも成長させられるゲームだったかなと思います」

 東洋大は力の限りを出し尽くして、今季2勝目をつかみ取った。

 この日の東洋大は「先手を取ろう」と意識していたという。これまではボールを繋ごうという意識が強すぎたことでラインが下がってしまい、後手を踏むことが多かった反省があったからだ。その意味でも必要だった先制点。チームに勇気を与えるためにも何よりも必要だった。

 “先手”はストライカーの一撃で決まった。SBの背後のスペースを突く意識を強めていたという東洋大は右サイドでCKを獲得。サインプレーからDF野本幸太(3年=市立船橋高)がグラウンダーのパスを出すと、走り込んだFW小林拓夢(4年=帝京長岡高)がダイレクトで合わせる。

 セットプレーについては「前日に練習はしていた」というプレー。さらに前半21分には今度は流れの中で野本が左からクロスを上げると、飛び込んだ小林が頭に当てて流し込み、リードが2点に広がった。「集中応援ということもあって一体感が出ていたおかげだと思います」。背番号11は会心の笑顔で振り返った。

 東洋大は昨年、大学史上初となるインカレ出場を経験。インカレを経験した選手も残っていることから更なる飛躍が期待された。昨年10月28日の早稲田大戦で1試合4得点を記録した小林にも大きな期待が寄せられていた。

 しかしチームは前期わずか1勝と低迷。わずか1得点と小林も責任を感じざるを得ない。遅ればせながらだが今季初のマルチゴール。昨季も後期に得点を量産したことから、「超スロースターター」と苦笑いする小林の2ゴールを反撃の狼煙としたいところだ。

 それだけに残留という目標は見失いたくない。この日の勝利で残留圏の10位・早稲田大との勝ち点差は7に縮まった。残りは7試合。少なくとも背中が見える位置までは早めにたどり着きたい。今日の勝利を価値のあるものにするためにも、次戦が大事になることはみんなが分かっている。「僕たちはやるしかない」。“奇跡の残留”へ向け、東洋大は最後まで諦めない。

(取材・文 児玉幸洋)
●第93回関東大学L特集

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