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立正大FW人見拓哉、元Jリーガーコーチの下で急成長!今季3度目ハットで得点王猛追

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“キャプテン”としてチームをけん引した人見拓哉(右)

[11.3 関東大学L1部第19節 立正大5-0駒澤大 味フィ西]

 関東大学サッカーリーグ1部の得点王争いがし烈だ。18節終了時で明治大のFW佐藤亮(4年=FC東京U-18)が2位に3点差をつけて首位を走っていたが、その2位の立正大FW人見拓哉(4年=矢板中央高)が第19節の駒澤大戦でハットトリックを記録。佐藤亮も同日の順天堂大戦で1ゴールを決めて突き放したが、点差はわずか1に詰まっている。リーグ戦は残り3節となっており、得点王争いは最後までもつれそうだ。

 今季3度目のハットトリック。得意の固め取りで、得点王争いを一気に面白くした人見は「負けたくないので、点を取り続けるしかないですね」と意識を強める。しかし「正直1試合で3点取るより、というのが自分の中である。1試合1点でもいいので取って、チームのためになりたい」と本音ものぞかせ、まずはインカレ出場を目標とするチームへの貢献を誓った。

 この試合は“キャプテン”としての役割を任されていた。今季初の4連敗を喫したことで、杉田守監督は主将DF中塩大貴(4年=浦和ユース)をスタメンはおろか、ベンチ入りメンバーからも外すことを決断。プロ内定の中塩でも外されるんだ――。試合直前の発表にイレブンには驚きがあったというが、指揮官は「総合的な判断」による“劇薬”投入で、チームに危機感を持たせた。

 試合前に中塩の欠場とともにキャプテンマークを託されるというダブルの驚きがあったという人見だが、指名を意気に感じてプレーした。普段は「背中で引っ張るタイプ」だが、この日は積極的に声を出してプレーすると“臨時キャプテン”として3得点。チームも今季最多の1試合5得点で大勝と、最高の結果を残した。

「俺はちょっと感じていて、(中塩が)外れてもおかしくないと思っていた。自分たちは正直J内定しているからといって出られるチームじゃない。危機感を持ってやるためのいい機会になったと思う。でも軸なので帰ってきてくれないと困る。あいつもたぶん感じるものはあったと思います」

 昨季は2部で6得点を挙げるにとどまった人見だが、今季は1部で倍以上の得点を記録。影には荒田智之氏との二人三脚がある。荒田コーチは水戸ホーリーホックなどで活躍した元Jリーガーで、昨年度より立正大でコーチ生活をスタートさせている。

 人見は「よくシュート練習に付き合ってもらっている。自分は癖でどうしてもゴール前で大事にいってしまうところがあるんですが、止めたらすぐ打つようにといったことを教えてもらっています」。荒田コーチも「持ち味は走れることで点を取る場所への入り方が成長していると思う。点を取る感覚もある。だからもう少し怖さが出てくれば最高だと思います。でも人見にしても成長をみることが出来るのは面白いですね。僕の経験をなるべく伝えていきたいと思います」と良好な師弟関係を強調するとともに、さらなる成長への期待を語った。

 周囲に才能が認められる人見だが、卒業後の進路はまだ決まっていない。ただ複数のクラブからオファーを貰っており、今後、J2クラブの練習に参加する予定もある。インカレ開幕前までには進路を決定したい考えも持っている。「自分の希望に叶うクラブからオファーが来ないんだったら、まだ実力が足りないということ。そこはまだ成長できるチャンスがあると割り切って、ポジティブにやっていきたい」。何より大きい関東1部得点王という肩書。プロ生活を始めるにあたっての自信にすべく、チームのためはもちろんだが、残り3試合は自分自身のためにもがむしゃらにプレーする。

(取材・文 児玉幸洋)
●第93回関東大学L特集

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