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2年で全日本選抜入りも「まだ成長のスピードが遅い」。流通経済大MF宮本優太の3年目は勝負の年に

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流通経済大の全日本大学選抜MF宮本優太(2年=流通経済大柏高)。練習着の番号は高校時代と同じく愛着のある「24」

「個人的には全日本とかにも選んでもらって色々評価されているんですけれども、チームとして全然結果が出ていないですし、全日本に行ってから結果を出しているかと言ったら全然出していないところがある。2年間で成長している部分もありますけれども、まだ『成長のスピードが遅い』と思いますし、まだまだ足りなかった部分ができるようになっているという訳でもないので、今年の一年が勝負の年だと思っていますね」

 流通経済大の全日本大学選抜MF宮本優太(2年=流通経済大柏高)は大学進学後の2年間について、そう評価する。17年度には千葉の名門、流通経済大柏高を背中と声で牽引する「ザ・キャプテン」としてインターハイで優勝し、全国高校選手権も準優勝。抜群のアプローチスピードと強度ある守備、縦横無尽に走り続けることのできる運動量で存在感を示していたボランチは、日本高校選抜で国際大会優勝も成し遂げ、注目される中で大学生活をスタートした。

 2年生で全日本大学選抜に選出された他、Jクラブの練習参加も経験するなど順調に階段を登っているようにも映るが、本人は「成長のスピードが遅い」と首を振る。下級生とは言え、全日本大学選抜に選出されてチームの中心とならなければならない立場。だが、まだ自分のミスから失点したり、チームを苦しめてしまうシーンがあると感じている。

 自分が試合を決めるようなプレーをして、勝利に貢献しなければならないという責任感。その中で昨年は関東2部降格の屈辱を味わった。チームでは右SBでプレーする機会が増える中、より近くなった相手スタンドからの「『全日本だ』とか、『長友佑都だ』とかそういうワードを言われるんです」という声にプレッシャーを感じてしまうなど、メンタル面もまだまだ足りないと分析する。

 ただし、入学当初に比べると、Jクラブとの練習試合などでできることが増えているのも確か。身体は明らかに厚みを増した。加えて、トップアスリートから学び得たことは他の選手たちとの違いになるだろう。昨年、宮本は日本代表DF長友佑都の「僕が10000円払うので、僕にフィジカルトレーニングを教わりたい人っていますか?」という“1万円企画”に応募して選ばれ、ともに体幹トレーニングやインターバルを実施するという機会に恵まれた。

「アスリートはこういうトレーニングをやっているんだと思いましたし、それが絶対にできないというトレーニングでもなかったので。長友選手にも良い部分があると言われてそれも自信になりましたし、でもやっぱり足りないところが多かったので今後に活かしていきたい。(長友からは)筋肉の付き方とか、芯はしっかりとしているんだけども、しなやかさが足りないから全てを出し切れていない、しなやかさを出せればより良くなると思うと言われました」と振り返る。

 学んだ取り組みを続けてしなやかさを求めると同時に、より自分のプレーを理解し、サッカーを知るために色々な試合をチェックする回数を増やしたという。「(流経大は)みんな上手くて、自分だけ気持ちでやるようなタイプなので、みんなに合わせようというので色々と考えるようになりました」と説明。自分の力、特長をより理解し、伸ばしながらチームの勝利のために何ができるか考え続けている。

 SBとしての宮本は豊富な運動量を活かした上下動や冷静なプレーも光る。その一方、デンソーカップチャレンジ(3月上旬)の全日本大学選抜にはボランチとして選ばれ、「今後の進路へ向けても自分の立ち位置を示せる良い機会だったと思っていた」だけに新型コロナウィルスの影響による大会中止を残念がった。ボランチとしてアピールする貴重な機会を失ったものの、今は勝負の一年へ向けて切り替えてトレーニング。高校時代同様、3年目で大きな結果を残すことができるか注目だ。

「プロになるにも3年の年が大事だぞと言われていたので、やっぱりどれだけアピールできるか。(チームとしては)高校の時も自分たちはプリンス(リーグ関東)からプレミア(リーグ)に上げて、インターハイで優勝して選手権でも準優勝という結果を残しているので、それと同じような結果を2部からでも出さなければいけない。(練習試合で)早稲田と戦って(勝利し)、2部にいるからと言って1部に負ける感じじゃないと思ったので、圧倒的な強さで2部優勝して夏(総理大臣杯)もしっかり1部と戦って優勝して冬(インカレ)に全国出れたらいい」。高校時代にお世話になった人への挨拶などピッチ外の姿勢も評価される好漢。新3年生で流経大の副将も務める宮本が、「勝負」と位置づける一年を納得の行く形で終える。

(取材・文 吉田太郎)

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