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[アミノ]チョウ・キジェコーチを胴上げ!流通経済大が“下剋上V”「改めてサッカーが好きになれた」

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[11.3 アミノバイタルカップ決勝 流通経済大3-2(延長)早稲田大 AGFフィールド]

 バックスタンドに並んだ控え部員たちと優勝の喜びを分かち合うイレブンの姿を、チョウ・キジェコーチはやや離れたところで見守っていた。そこにイレブンが「チョウさん!」と声を掛けながら近づいて取り囲む。「俺はいいから」と口では言いながらも表情は緩んだまま。選手たちは胴上げでコーチへの感謝を示した。

 チョウコーチが指導するチームが初タイトルをかけた戦いを行うということもあり、この日は多くの報道陣が詰めかけていた。そんな中で、後半ラストプレーで獲得したPKで追いつき、延長戦の末に試合をひっくり返す劇的な逆転劇。母校との対決となったチョウコーチも「両方の良さが出たいい試合だった。流通経済大サッカー部に対しておめでとうという気持ち」と思わず笑みをこぼした。

 昨年夏、選手やスタッフに対しての行動がパワーハラスメントだったと認定を受けたチョウ氏は、湘南ベルマーレの監督を退任。今季は研修という形で、流通経済大でコーチを務めている。

 あのチョウ・キジェさんが来る。

 ただ主将DF伊藤敦樹(4年=浦和ユース/浦和内定)は戸惑いを抱くことなく、むしろ目に見える変化に驚かされることばかりだったと振り返る。

「ピッチ内では厳しいですけど、練習が終わったらフレンドリーに接してくれる。いじれるくらいの関係性にはなっている。チョウさんの下でまだまだ成長したい」

 この日の朝もホテルを出る際にモチベーションを上げてくれる話をしてくれたことが、結果に繋がったと感謝も語った。

 昨季、2部降格という屈辱を味わったチームの立て直し、関東王者を決めるトーナメント戦で“下剋上”優勝を果たした。手腕が確かなものであることを証明したチョウコーチは10月4日に1年間停止されていた指導者資格の公認S級ライセンスが回復。そのため、制度上はJリーグの監督に復帰することが可能となっている。

「本音を言えばこのまま、流通経済大学に残ってほしい」と笑いを誘った中野雄二監督も「堂々とJの舞台に戻ってほしい」と来年以降については背中を押すつもりでいる。「チーム名は言えないが、複数のクラブからオファーが来ている」とも明かす。

 チョウコーチはこの1年、学生たちと向き合うことで、「純粋にサッカーを好きな人の中にいて、自分も改めてサッカーが好きになれた」という。「別に僕が何かをしたわけではない。選手が上手くなりたいという気持ちがあったからだと思う」。湘南で行った事実は月日が解決してくれるものではないが、サッカーに対する情熱だけは変わることはない。

●第94回関東大学L特集

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