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[MOM726]流通経済大MF菊地泰智(4年)_プロ入りへ「焦りはない」…自慢の左足で2G1A

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MF菊地泰智が2ゴール1アシストの活躍をみせた

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[4.25 関東大学L1部第3節 桐蔭横浜大2-4流通経済大 レモンS]

 MF菊地泰智(4年=流通経済大柏高)の左足が輝きを放った。前半15分の先制点をアシストすると、後半31分と同35分には連続ゴールを記録。「無失点で抑えることも大事かもしれないけど、やっぱり点を取って勝つことの方が大事」と振り返った菊地が、2ゴール1アシストの活躍で流通経済大に今季初勝利をもたらした。

 後半31分の最初の得点は自らのアドバイスで呼び込んでいた。右サイドでボールを持ったFW満田誠(4年=広島ユース/広島内定)に対し、積極的に仕掛けるように指示。相手の左SBが高校時代のチームメイトだった宮寺優斗(4年=流通経済大柏高)が務めていたことで、守備が苦手だという確信があったからだった。

 結果、満田の華麗な突破からの折り返しを菊地がダイレクトで流し込む。「いつもよりゴールを意識して後半に入っていた」としてやったりの様子の菊地は、「2点目も似た形だったけど、あそこのポジションに走り込むことが大事だなと改めて思いました」と充実の表情で振り返った。

 菊地は流通経済大柏高時代から名を馳せた選手で、大学2年生の時に戦った天皇杯では浦和レッズを相手にゴールを記録。タレント豊富な世代を象徴する存在として成長してきた。

 しかし昨年は“人生初”の怪我による離脱に苦しんだ。2部リーグを戦った昨年の開幕一週間前の練習試合で左ももを負傷。それまで大きな怪我をしたことがなかったことで、軽症だと高をくくってしまった。痛みがひどかった翌日の練習は流石に休んだが、すぐに練習に復帰したという。

 だがこの判断がまずかった。後日、病院でMRI検査を受けると、「めちゃくちゃ血が溜まっていた」。そこから3か月ほどは何も出来ない日々が続き、復帰後も同学年の仲間が結果を出し続ける中で、なかなかコンディションが上げらないままシーズンを終えた。

 ただJクラブで関心を持つクラブは多く、今月に入ってからも鳥栖の練習に参加。「プロに行くんだ」という思いを改めて強くして帰ってきた。「評価は向こうがするので分からないけど、鳥栖のサッカーは流大と似ていた。やっていて面白かったです」。また現在、同期5人がJ1クラブへの入団内定を決めているが、「あまり気にしていない。焦りもありません」と気丈に話す。

「今は流大で活躍し続けるしかないと思っています。不安に思いながらサッカーをしても楽しくない。そんなことは意識せずに、チームが勝つことを一番に考えたい。それは去年チョウさん(現京都監督)に教わったこと。プロに行ければ一番いいですが、まずはチームのことを考えてやっていきたいです」

 そのチームは開幕3試合を終えて1勝1分1敗。まだシーズンは始まったばかりだが、話題性から言えば、物足りない印象も残す。しかし選手たちの中では目先の勝利にこだわらない意識を共有しているという。「自分たちは期待されているほどの実力はまだない」と話した菊地も、「シーズンが終わったときに強かったねと言ってもらえるようにしたい」と力を込めた。

(取材・文 児玉幸洋)
●第95回関東大学L特集

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