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[関東]高校選手権優勝GK熊倉匠が大学L初のベンチ入り、今夏は浦和の練習に参加「少し成長できた」

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写真は高校選抜時のもの

[8.7 関東大学L第13節 駒澤大0-2立正大]

 昨年度の高校選手権を優勝した山梨学院高のキャプテンで立正大に進学したGK熊倉匠が、大学リーグで初のベンチ入りを果たした。ただデビューとはならなかったことで、「今日はメンバーに入らせてもらったけど、次はどうなるか分からない。来週からはもっと勝負をかけていきたい」と決意を新たにした。

 決勝でPK戦を制しての優勝。FC東京U-15深川時代に中学年代日本一を決める高円宮杯の決勝で鳥栖U-15にPK戦で敗れた“リベンジ”の物語性を含め、試合後に流した嬉し涙は熊倉を世代のヒーローにした。立正大には高校選手権でベスト4に残った4校のうち、3校の主将(熊倉:山梨学院、川上航立:帝京長岡高、坂本龍汰:矢板中央高。藤原優大:青森山田高は浦和→相模原)が入学。新たな物語が始まっている。

 ただそんな熊倉といえど、メンバー入りには半年を要した。「前期は全然自分の長所を出せなかったけど、後期に入ってAチームに関わらせてもらってチャンスを貰えた。自分の中で1日1日やらないといけないなという焦りとともに、感謝を感じています」。同じ高校選手権優勝GK湯沢拓也(4年=前橋育英高)、1学年上でレギュラーの座を掴んでいるGK杉本光希(2年=磐田U-18)らとのハイレベルな競争は今後も続くことになる。

 しかし今年6月に熊倉自身は大きなチャンスを貰った。東京オリンピック代表のバックアップメンバーに選ばれたGK鈴木彩艶の穴埋めとして、浦和レッズが練習に招待されたのだ。「1回目が6月の2週目から10日間。2回目が7月19日から8月3日まで。合わせて1か月くらいですが、プロのレベルを肌で感じることができて、少しですけど成長できたと思っています」。レベルの差を感じながらも、長所を出すことが出来た有意義な時間になったと充実の表情で振り返る。

 次回のパリオリンピック世代。盛り上がりをみせた東京オリンピックに大いに刺激を受けている。「見ていて感動するものがあったのと同時に自分も出たいなという気持ちになった」。2歳年上の谷晃生(湘南)が守護神として活躍。自身の夢を重ねる。「自分の夢はそこで活躍すること。そのためにプロになることを目標にやっています」。

 他大ではGKヒル袈依廉(早稲田大)、GK後藤佑介(順天堂大)、GK村上健(慶應義塾大)がレギュラーの座を掴むなど、1年生GKが存在感をみせている今季。熊倉も続きたいところだ。だが本人も繰り返したように、「まだまだ足りないものだらけ」と自覚する。

「高校選抜で一緒にやっていたメンバー(安齋颯馬(早稲田大)や飯田晃明(駒澤大))が出ているのも刺激ですし、自分ももっとやらないとという焦りはあります。でもGKは1人しか出られない。信頼の部分はまだまだ実力も試合に出るレベルではないので、練習からアピールしていきたいです」

 大学で初のメンバー入りしたこの日、デビューという新たな目標ができた。大学で力をつけてプロに入るという大きな目標を成し遂げるためにも、確実に着実に一歩ずつ階段を上っていくつもりだ。

(取材・文 児玉幸洋)
●第95回関東大学L特集

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