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[MOM747]立正大GK杉本光希(2年)_「身長小さいんですけど、どうしたらいいですか」…返ってきたレジェンド川口能活の金言

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完封勝利に貢献したGK杉本光希

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.2 関東大学L1部第18節 流通経済大0-3立正大 龍ケ崎フィールド]

 U-22日本代表候補メンバーに選出されたばかりのGK杉本光希(2年=磐田U-18)が、J1クラブ入りが内定する7選手が並ぶスター軍団の前に立ちはだかった。特に終盤にあったMF佐久間駿希(4年=成立学園高)の決定機を連続ストップ。「守備はゼロで抑えて意味があるんだよ!」。杉本の声に触発されるように、最後まで集中力を切らすことのなかった立正大が完封勝利を飾った。

 あくまでも自分はチームの一人、常に「誰かのためにプレーする」ということを意識している。

 磐田U-18でプレーした高校時代までは「自分が主人公」というプレースタイルだったと振り返る。そのためゼロで抑えてやろうという気持ちが強すぎたことで前のめりになり、失点してしまうことも少なくなかった。

 意識を変えさせられたのは大学入学後。同学年にFW榊原杏太(2年=名古屋U-18)やFW青島太一(2年=清水ユース)といった個に秀でた選手がいたことで、自分の立ち位置を考えるようになった。さらに須永俊輔ヘッドコーチが常々発する「誰かのためにプレーするように」という言葉で目を覚ましたという。

「高校の時は気づけなかったけど、大学に入って、去年出られなかったときに、自分一人では守れないと考えました。今日も味方がファーを切ってくれたからニアを止められたと思います。あとは“緊張しい”なので、練習でやれていることだけをしよう、特別なことはしないでいいと自分に言い聞かせながらプレーするように心がけています」

 憧れの川口能活コーチとの再会を楽しみにしている。杉本は4日からは自身初となる世代別日本代表の活動に参加することが決定。同代表でGKコーチを務める川口コーチは、現役時代に磐田などでプレーした日本のレジェンドキーパーだ。

 杉本自身、川口コーチの現役時代について、「YouTubeのスーパープレー集でしか観たことがない」と苦笑いだが、磐田の下部組織時代では「能活さんはこうしていたよ」と常に比較対象にする指導法が受け継がれていると明かす。

 初対面は高校3年生の7月に参加したナショナルGKキャンプ。全国から世代トップレベルの選手を集めたキャンプのコーチの一人として、川口氏も参加していた。「僕身長小さいんですけど、どうしたらいいですか」。17歳の素朴な問いかけに、レジェンドGKは「俺は自分のことを小さいと思っていない。誰よりも飛べばその大きさはカバーできる」という金言を授けてくれたという。

「その言葉が刺さって、そこからは絶対自分が小さいと思わなくなったし、相手より高く飛べばいいとポジティブになれました。能活さんに高校3年生の時に言われたことは間違いなく自分が変われるきっかけになりました。今回またジュビロのレジェンドの能活さんから学べる機会がある。とにかく、キャンプは自分にとってもいいものにして、またチームに還元できるように頑張りたいと思います」

 特に今季は“能活イズム”を受け継ぐ磐田U-18出身GKの大学サッカー界での活躍が目立っている。夏の関東No.1を決めるアミノバイタルカップでは決勝で産業能率大GK牧野恋音(4年=磐田U-18)と法政大GK近藤壱成(3年=磐田U-18)が対面。11人目まで突入するPK戦で死闘を演じたことで話題を集めた。

「念頭に置いているのはジュビロに戻るということ」と話す杉本だが、GKというポジション特性上、簡単な道ではないことは理解している。「このリーグでやっていても自分より上手いGKはたくさんいる。まだまだ成長しないといけない。その上で誰よりも結果を残さないといけないと思っています。チームが勝てば僕の評価にも結びつく。だから日ごろからチームの結果にこだわってやっていきたいです」。

(取材・文 児玉幸洋)
●第95回関東大学L特集

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