beacon

[関東2部]東洋大が最終節“首位喰い”で1部昇格掴む! DF大森が諦めない後半AT決勝弾…山形内定MFは来季に決意新た

このエントリーをはてなブックマークに追加

東洋大が勝利で1部昇格を掴んだ

[10.30 関東大学L2部第22節 東京国際大0-1東洋大]

 東洋大が3年ぶりの1部リーグ昇格を決めた。最終節では、優勝が決定している首位・東京国際大との大一番に。スコアレスのまま後半アディショナルタイムに突入すると、DF大森大地(4年=帝京大可児高)が決勝ゴール。劇的な幕切れで今季を締めくくった。

 東洋大は最終節開始前の時点で2位に位置しており、3位との勝ち点差は「3」。得失点差が大きく開いていたため、たとえ最終節で敗れても、昇格決定が濃厚となっていた。しかし「引き分けじゃ自分たちの負け。ここで勝ってこそ。最後を勝利で締めくくって、1部昇格を確定させたかった」(大森)と、東洋大は序盤からMF横山塁(4年=FC東京U-18/山形内定)を起点に、攻勢を強めていく。

 試合は均衡を保ったまま前半をスコアレスで折り返す。後半に入ると、東国大に反撃を許すも、やはり両者ともにゴールを割ることができない。このまま引き分けても、東洋大は2位確定で昇格が決定。だが、東洋大の選手たちは最後の瞬間まで勝利を諦めなかった。そして、後半アディショナルタイム4分過ぎ、ラストプレーでゴールが生まれる。

 東洋大はMF山下勇希(4年=昌平高)が左サイドからPA左に鋭いパスを通す。反応したのは大森。しかし、相手守備陣も阻もうと走り込む。すると、相手DFと飛び出してきたGKが交錯。ボールはノーマークの大森のところに転がった。「あんまり覚えていないくらい。体が勝手に動いた」。大森は冷静に無人のゴールに流し込むと、仲間とともに喜びを爆発。直後には主審が試合終了のホイッスルを響かせた。

「GKに取られそうになったんですけど、最後アグレッシブに、どうにでもなれっていう気持ちで突っ込んだら、たまたまボールが転がってきた。それを決めたときは頭が真っ白。とりあえず体が勝手にベンチのほうに、応援してくれている味方のほうに行っていた。引き分けでも負けても昇格の可能性はあったけど、勝つことに意味がある。後輩にも、勝つことの重要さを共有できてよかった」(大森)

 途中交代で一足先にピッチから退いたが、横山も仲間たちの諦めない姿勢に「臭いですけど、神様が見てくれていたのかなって思います」と喜びを語る。山形内定の背番号7は、今季2部リーグで10得点。リーグ唯一の二桁得点で暫定得点ランクトップに立っており、その決定力でチームに貢献した。

 横山は、自身が2年生のときに降格を経験。「そのときは最後もピッチにいて、鮮明に覚えている。その試合が一番悔しくて、印象に残っていた。だからこそ、今年に懸けていました」。最終学年としての責務を果たし、その思いがあふれ出た。「東洋大の同期が、自分の4年間のすべてだった。監督含め、スタッフも最高にリスペクトしてくれたし、自分もリスペクトしている。だから、絶対に昇格したかった」。

 井上卓也監督は、有終の美に目を細めた。「今年の4年生は、けっこう個性的な子が多い。自分たちの代でなんとか昇格させようと、メンバーから外れた奴も、自分たちの役割を担ってくれた。4年生のその雰囲気作りが良かった」と教え子たちを優しく称えた。

 横山は現時点で、チーム唯一のプロ内定選手。最高の形で大学サッカーを終え、来季からはモンテディオ山形に加入する。主戦場は右サイドだ。

「右サイドの右利きなので、縦に縦に仕掛けるのを意識してやっている。ドリブルで縦に行くっていうのは自分の特徴ですし、左も蹴れる。中に切り込んだ後の左足シュートを山形では出していきたい」。まずはポジション争いを制すこと。そして、チームに結果で貢献していく。「サイドの選手に良い選手が多く、自分もその中で揉まれてどんどん良くなっていきたい。やっぱり前目の選手なので、結果がすべて。自分にしかできない、ストロングポイントを出していけたらと思います」。

(取材・文 石川祐介)
●第95回関東大学L特集

TOP