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[関東]貫いた一途な思い…流通経済大MF安居海渡「いずれはレッズに行きたいなという思いで」

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今季の関東大学L1部ベストイレブン。安居は上段右から3番目

 今年の関東大学リーグ1部ベストイレブンも、Jリーグ内定者が多数並ぶ豪華な布陣となった。優勝した流通経済大からはMVPを獲得したDF佐々木旭(4年=埼玉平成高/川崎F内定)、DF宮本優太(4年=流通経済大柏高/浦和内定)、そしてMF安居海渡(4年=浦和学院高/浦和内定)の3選手が選ばれた。

 J1内定7選手を抱える今季の流経大にあって、上記3人は特に替えがきかない選手と言われてきた。3選手はリーグ全22試合に出場。コロナ禍で活動休止を2度強いられた難しいシーズンだったが、前評判通りの優勝に導いた。

 安居は佐々木と並び、強豪Jクラブが争奪戦を繰り広げた選手の一人だった。大学2年のオフに早くも名古屋グランパスがキャンプに招待。そこでの高評価、そして何より「自分なりにできたと思えたことが大きかった」という。

 大学3年生のシーズンは2部リーグを戦ったが、試合に出るたびにスカウトから声をかけてもらえるようになった。名古屋のほか、清水や磐田、大分など、多くのクラブが安居を誘った。「グランパスさんでできた自信が大学サッカーでも表れていて、それがいろんなチームの目に留まったのかなと思います」。

 “きっかけは名古屋”。オファーも貰っていたことで、「正直、グランパスに決めようかと思っていた」という。「最初は浦和に行きたいと思っていたけど、(伊藤)敦樹くんに声がかかったときに同じポジションでかぶるので、たぶん呼ばれないだろうとなった。そこで自分はグランパスでと思ったんです」。

 しかし埼玉県川口市出身で、子供の頃から家族で埼玉スタジアムを訪れ、浦和の試合を観戦していた。「雰囲気が凄かったし、小さい時からここでやりたいなという気持ちが自然と芽生えていた」。また高校時代から浦和のスカウトが試合を観に来てくれていたことで、浦和への思いは一途に持ち続けていた。「いずれはレッズに行きたいなという思いで流経に来た。だから監督には『浦和に行きます』とすぐに言いました」。

 シーズン佳境を迎えた今季、浦和の活発な動きが大きく取り上げられている。24日までにクラブは選手、スタッフあわせて9人の退団を発表。現役を引退するMF阿部勇樹や大学の先輩であるDF宇賀神友弥、元日本代表DF槙野智章と錚々たる顔ぶれで、世代交代が一気に進むことが予想される。

 安居本人も強い覚悟を持って憧れたユニフォームに袖を通すつもりだ。「世代交代と言われているけど、自分が入るポジションは若い選手が多い。伊藤敦樹選手とやり合わないといけないのかなと思っている。競争はさらに激しくなると思うけど、自分をしっかりと出して、監督に認められるようにやっていきたいです」。

 リーグ戦を戦い終え、大学選手権(インカレ)を残すのみになった。ただ安居は13日の明治大との試合で右足腿裏のハムストリングを負傷。肉離れの診断を受けた。「開幕から出られるようにアピールしていきたい」と意気込む来季のことを考えても無理は禁物。出場の可否は慎重に見極めていくつもりだ。

 インカレでは昨年のコーチで現在同大アドバイザー、京都の監督を務めるチョウ・キジェ氏がベンチ入りすることも検討されている。しかし今年のチームが成長したところもみせたいという意気込みがチーム全体としてある。安居自身も“代役”として期待される1年生MF藤井海和(流通経済大柏高)らが台頭してきていることに自信を深めている様子。「チーム全員で戦えることが分かった。ベンチでの声出しとかも優勝に繋がったと思う」。最後のタイトル獲得に向け、歴代屈指のタレント軍団が団結する。

(取材・文 児玉幸洋)
●第95回関東大学L特集

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