beacon

[デンチャレ]兄とは別の道で進化続ける大学2年生、関西選抜FW食野壮磨

このエントリーをはてなブックマークに追加

FW食野壮磨(京都産業大2年)は関西選抜の攻撃の中心の一人に

[3.10 デンチャレGL第2節 関西選抜 2-0 九州選抜 Jヴィレッジ]

 FW木村勇大(関西学院大3年=大阪桐蔭高/京都内定)やMF泉柊椰(びわこ成蹊スポーツ大3年=神戸U-18/神戸内定)というJクラブ内定選手に注目が集まる中、関西大学選抜で目を惹く動きを見せていたのがFW食野壮磨(京都産業大2年=G大阪ユース)だ。

 エストリル(ポルトガル)の21年U-24日本代表FW食野亮太郎を兄に持つFWは、相手の嫌なところ、嫌なところへ顔を出し続けて九州大学選抜を押し込む要因に。ポジショニングとボールタッチの質含めて存在感を発揮していた。

「前線で木村勇大選手がいてくれるんで、僕はその周りを上手く引き出すことがこの試合に関してはできていたかなと思います」。そして、したたかにチャンスを狙い続け、ロングスプリントから決定的なシュートも。京都ですでにプロ初ゴールを決めている木村が、「食野というパサーがいたら、(自分は)ゴールという作業に集中できるので凄くやりやすいです」と評するなど、タレント軍団の中でも認められる存在はその力を発揮していた。

 中田雄一朗監督(大阪経済大)はこの日、「食野と福井が今日はキーになるんじゃないか」と食野、福井和樹(京都産業大2年=G大阪ユース)の同級生コンビのプレーを注視。2人は攻撃の組み立てや崩しに精度、アイディアを加えていたが、指揮官は「前を向いた瞬間に時間をかけずに突破して欲しかった」と求める。後半は相手のギアが上がる中で受け身になってしまった部分もあっただけに、本人もより予測してボールを引き出し、決定的なプレーをしていく考えだ。

 G大阪ユース時代は10番を背負い、J3でゴールも。その食野はガンバの先輩や進学する同級生が多い京産大を進路に選んだ。「あとは1年生から出たかったので。あんま強いチームに行っても壁にぶち当たりそうだったので」と語るが、1年時から出番を増やして関西リーグの新人賞を獲得。本人は京産大での成長を実感している。

「ガンバの時は結構前に点を取れることができる選手が多くいたので、自分はそこにパスを出すだけで良かった。京産に入って自分がゴールを決めることとか、自分が決定機を作り出すところを意識してやって、そこが伸びているところだと思います」と頷く。

 G大阪ユースからトップチームへ昇格し、活躍の場を海外へ移した兄とはまた異なる場で、異なる成長曲線を描いている。その兄から学ぶことは多いという。「兄貴が活躍している姿を見ていると凄く良い刺激になりますし、今はちょっと試合に絡めていないですけれども、向こうの生活とかトレーニングの意識とかは話を聞いて、自分でももっとこうしなければいけないなとか考えてできている」と語る。

 兄から特に求められているのは、ゴールだ。「ゴールを決めるところやゴールに係るプレー。前線の選手なんで、そこの得点に係るプレーをしていかなアカン、とよく言われます」。今回、多くのスカウトが見守る中、食野は自分の良さである周囲と連係しながらゴール前に入っていく動き、そして得点でアピールする考えだ。

「本当にプロのスカウトも多く見に来られている大会なので、チームとしてしっかり1試合1試合勝つことにフォーカスしながら、自分自身もその中で得点とかそういうところで貢献していきたい。3年生になるこの年で内定は決めたいですし、来年は本当に特別指定で出れるくらいの力は付けたい」。パリ五輪出場の資格も持つ注目FWは関西選抜の優勝に貢献して、今後の飛躍に繋げる。
 
(取材・文 吉田太郎)

●第36回デンソーカップチャレンジサッカー福島大会特集

TOP