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[関東2部]中央大がOBの宮沢正史監督、中村憲剛TA体制で“復権”目指す「大学サッカーの存在価値を上げていきたい」

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中央大の宮沢正史新監督

[4.17 関東大学L2部第4節 中央大0-1明治学院大]

 中央大を率いるのは宮沢正史監督。明治学院大は加藤望監督。ともに今季初勝利を目指した元Jリーガー指揮官対決は、前半12分の先制点を守り抜いた明治学院大に軍配が上がった。

 中央大は開幕3戦を終えて2分1敗。宮沢監督は「まだまだ力が足りないということ。後半は自分たちのリズムのサッカーが出来たんですけど、結果ゴールが奪えなかったのは残念です」と唇を噛んだ。

 有力OBがタッグを組んで名門復活を目指している。中央大は過去5回の関東リーグ優勝を誇る強豪だが、近年は1部と2部を行き来する“エレベーター”になってしまっている印象も強い。そんな現状を打破しようと招へいされたのが、宮沢監督と中村憲剛テクニカルアドバイザーだった。

 宮沢監督は2015シーズンで現役を引退。引退後はFC東京のクラブスタッフやトップチームコーチを歴任し、昨年まではFC東京U-15深川でコーチを務めていた。そしてもともと「監督をやりたい」と考えていたところに、佐藤健前監督(現チームダイレクター)が声をかけ、FC東京からの出向を実現させた。

 宮沢監督自身、大学サッカーに育てられたという思いも強いという。「15年という長い年月、プロサッカー選手として出来たことで、大学サッカーに恩返ししたいと思っていた。こういう形で戻ってこれたことは、とても嬉しい。中大を強くすることはもちろん、大学サッカーの存在価値を上げていきたいと思います」。

 2学年後輩の中村TAとは、密に連携を取りながら、指導を行っているという。学生時代から仲がいいという2人。中村TAは不定期での指導となっているというが、「練習の映像や試合の映像を撮って、全部観てくれているし、毎日のように、LINE友達のようにコミュニケーションを取っている。有難いことです」と笑みを浮かべる。

 実際、選手たちの反応も良好。MF田邉光平(3年=名古屋U-18)が「やるサッカーが明確になったことが一番大きい」と好印象を語れば、FW山崎希一(3年=興國高)も「去年は繋ぐ目的はあったけど、今年はやることが明確になったんじゃないかと思います」と変化を感じ取っている様子だ。

 ただ再建は始まったばかり。宮沢監督は「攻守に課題がある」とまだまだやらないといけないことが多いと強調。「他の大学の選手は試合に向けて何とかして勝とうぜという気持ちがあるが、中大はそこが足りない。今日も相手の方が必死さが伝わってきた。そこを上げて行かないと戦えない」と厳しさを追求していくつもりだ。

「中大の中にいい選手がいるとは聞いていたが、才能のある未来のある選手が多いと思った。彼らを成長させつつも、勝利に導くことが僕の使命だと思っています。特に3年生世代?彼らを何とかJに上げるだけじゃなくて、そこで活躍できる選手にしないといけないと思っています」

 そして宮沢監督自身も将来の夢として「Jリーグの監督」を挙げる。「S級ライセンスはこれから取りに行くつもりです。ここで経験させていただいて、ステップアップしていきたいですね」。今季の1部リーグ復帰は最大使命。まずは目指す監督初勝利から勢いを加速させたいところだ。

(取材・文 児玉幸洋)
●第96回関東大学L特集

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