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U-21日本代表に立ちはだかったJ内定“パリ世代”…順天堂大DF山崎大地「何がなんでも食い込んでいきたい」

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順天堂大DF山崎大地(写真左)

[5.11 練習試合 U-21日本代表候補 0-2 全日本大学選抜]

 全日本大学選抜の順天堂大DF山崎大地(4年=広島ユース/広島内定)にとって、パリ五輪を目指すU-21日本代表候補との対決はただのトレーニングマッチではなかった。「全日本に入ってU-21とできるとなって、違った思いはあるし、アピールして何がなんでもそっちに食い込んでいきたい思いを持ってプレーしていた」。その気合いはピッチ内で存分に発揮。チームは35分ハーフの前半で終始劣勢に立たされていた中、身体を張った対人守備で失点を防いだ。

 現在大学4年生の山崎は2001年1月8日生まれ。同年以降に生まれた選手が対象となるパリ五輪の“最年長”組にあたる。また単に同世代というだけではない。すでに世代別代表では豊富な実績を持ち、サンフレッチェ広島ジュニアユース時代の15年にU-15日本代表に飛び級招集。その後、MF久保建英とともに出場した17年のU-17W杯、コロナ禍前に行われた19年のAFC U-19選手権予選など、数々の国際試合に出場してきた。

 ところがコロナ禍で代表活動の機会自体が少なくなって以降は、代表招集から遠ざかっていた。もちろん、パリ五輪を目指すU-21日本代表の選出経験もなし。今回は関東大学リーグのライバルでもあるDF岡哲平(明治大)が選出されていたこともあり、今月6日に発表されたメンバーリストに名前がなかったことに大きな悔しさを感じていたという。

「今回で明治の岡哲平選手が入っているけど、正直『なんで俺じゃないのか』という思いはあった」

 ただ、そこで山崎は自らに矢印を向けていた。「選ばれなかったということは物足りないものがあるのかなと思う。そこはもう一回自分を見つめ直してやろうということを再確認するきっかけになった」。3月のデンソーチャレンジカップ明けに左太ももの肉離れを発症し、関東大学リーグの開幕3試合を欠場。そこから徐々にコンディションが上がってきていた中、今回の全日本大学活動は絶好のアピールの機会だった。

 そうして迎えたこの日のトレーニングマッチ。山崎は上々のパフォーマンスを見せていたかのように思われた。序盤にFW中島大嘉(札幌)に抜け出されたシーンでは、素早く身体を入れ替えてカバーリングに成功。また前半27分には相手の美しい崩しからMF宮城天(川崎F)にシュートを放たれたが、完璧なスライディングで1点もののブロックも見せた。その他にもMF松木玖生(FC東京)に対して「ここを負けたらメディアに取り上げられてヤバいので(苦笑)」と激しいデュエルで潰しをかけるなど局面の対応で奮闘。無失点で35分間を終えた。

 それでも試合後、取材に応じた山崎の表情は厳しかった。「自分の中ではまだまだかなというところで悔いはある。うまくアピールできなかった」。課題を見出したのは大きなピンチを防ぐ“前”の場面だった。

「相手のFWにパワーある中島大嘉選手がいて、大学では絶対負けないところだけど、ちょっと入れ替わってしまったシーンがあった。CBでああいうのはあってはいけないと思いし、あの一つで印象も変わる。あれはやってはいけないプレーだった」。中島に抜け出される場面をそう振り返った山崎は「自分でやられたところだったので、なんとしてもカバーに入っていかないといけないうところで(中野)就斗がカバーに来てくれて、自分もなんとかカバーできた。でもやられなかったから良かったけど、あそこまで行かれないようにすることが大切」とさらに高い基準を突きつけた。

 また宮城のシュートをブロックした場面も「佐藤恵允選手がスイッチして破られたけど、スイッチのところで入れ替わってしまったので、そこでもっと身体をうまく当ててというのがまず一番」と起点の部分に着目。「宮城選手にシュートを打たれそうだったので、なんとか身体に当てて守れるようにという思いで滑った。それで弾いてそのあともうまく対応できて良かったとは思うけど、やはりそこまで行かれないようにしないといけない」と冷静だった。

 すでに来季からは生まれ育ったサンフレッチェ広島への加入が決まっており、自らに求めるのはプロの基準。広島が誇るDF佐々木翔、DF野上結貴、DF荒木隼人の3バックを脅かしていけるようなレベルだ。

「広島はルヴァン杯のプレーオフステージ進出が決まったので、結構入っていくチャンスなのかなと思う。関東リーグもスカウトの方が見てくれていると思うので、そういうところでアピールしたい。また広島に呼ばれた時に『こいつやれるぞ』というのをアピールして、いまは“鉄壁の3枚”と言われているけど、来年は開幕からそこに食い込んでいけるように残り1年を過ごしていかないといけない」

 そのためにもまずは「大学の関東リーグで結果を残し、違いを見せつけることをこだわってやっていきたい」と山崎。その積み重ねがいずれ、パリへの道筋も切り拓いていくはずだ。

(取材・文 竹内達也)
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●第96回関東大学L特集

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