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[関東]齊藤聖七と監物拓歩のマッチアップ…「サッカーをやれる喜び」を感じながら

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マッチアップした齊藤聖七(右)と監物拓歩

[5.29 関東大学L1部第7節 流経大0-0早大 第一カッターフィールド]

 6月2日、清水エスパルスから流通経済大のFW齊藤聖七(4年=清水ユース)の加入内定が発表になった。高校時代を過ごした清水への帰還。クラブを通じ「感謝の気持ちを忘れずに、清水の為に全力で闘うことを誓います」と意気込みを語った。

 5月29日に行われた流通経済大対早稲田大での一つのマッチアップを注目した。齊藤聖七と監物拓歩(4年=清水ユース)。高校3年間を清水エスパルスユースで同級生として過ごした2人が、2年前のアミノバイタルカップ決勝での対戦以来、大学入学後2度目のピッチでの再会を果たした。

 齊藤は左シャドーで先発。左CBの監物と前半は対峙することは少なかったが、後半18分から齊藤が1トップに移動すると、完全対峙。何度も競り合う場面があった。

 気温32.7度と夏の到来を感じさせる中で行われた一戦。「俺も監物もユース時から暑いのが苦手だったので、ヤバくない?みたいな感じの会話がありました」(齊藤)。スコアレスドローのゲームとなったが、2人は「ただただ楽しかったですね」と口をそろえた。

「早稲田とやるときは、聖七なら監物のことは分かっているだろうって言われる。(後半のポジション変更も)そういうことだろうなと思いました。ユースの時もチームの中心に立っていたのは自分と監物だった。いいライバルというか、プロという同じ場所に向かって、競いあえる存在なので楽しかったです」(齊藤)

「久しぶりに一緒にプレーしてただただ楽しかったという感想です。グラウンドで会うのは久々なので。ワクワクしながらやっていました。シンプルに彼だけにはやられたくないなと思って、プレーしていました」(監物)

 高校時代から有望株だった2人は、高校3年生の時に春先からトップチームに帯同。トップ昇格を目指してアピールを続けていた。しかし昇格は見送られ、悔しさを持って、大学に進学してきた。

 違う大学に進んでも、似通った境遇を歩んだ。2年生シーズンまで主力として過ごした2人だが、3年生シーズンはともに怪我に悩まされた。齊藤は右膝半月板を負傷。当時の診断は「全治不明」で、リーグ優勝の歓喜の輪の中に加わることが出来なかった。

 監物も春先に2度の脳震盪を経験。いずれも練習中だったが、1度目の脳震盪から復帰した日に負った2度目の脳震盪は、重い症状が残ったという。体を動かし始めたのは年末年始のあたり。そして今年5月15日の明治大戦が復帰戦になっていた。

 齊藤が先に夢を叶えることになったが、監物ももちろん後を追うつもりだ。「普通におめでとうだし、自分の励みになる。よきライバルであり、仲間だという実感はあるので、彼の出した結果は自分に火をつけてくれています」。

 そして何より今は、これまでのサッカー人生にないほど、「サッカーをやれる喜び」を感じることが出来ているという。「昨年1年間、辛い思いをしたけど、そのおかげでサッカーをやれる喜びを今まで以上に感じることが出来ている。純粋に楽しめているので、今の強みになっていると思います」。今後も2人は「お互い切磋琢磨してきた仲」として、競いあっていくつもりだ。

(取材・文 児玉幸洋)
●第96回関東大学L特集

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