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[デンチャレ]いわきFC内定3選手がGLで激突、加藤悠馬、近藤慶一、辻岡佑真の内定までとこれから

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左からMF加藤悠馬、FW近藤慶一、DF辻岡佑真

 いわきFCに内定している3選手が、奇しくも同じグループを戦った。初日はDF辻岡佑真(IPU・環太平洋大3年=高松工芸高)がいるプレーオフ選抜と、FW近藤慶一(名古屋学院大3年=中京学院大中京高)がいる東海選抜、2日目はMF加藤悠馬(拓殖大3年=神戸U-18)がいる関東選抜Aとプレーオフ選抜、そして3日目に東海選抜と関東選抜Aが対戦した。

 それぞれピッチでの直接対決が実現。辻岡とマッチアップした近藤が「バチバチできました。チームを勢いづけるためにも負けてはいけないと思ってプレーしていました」と振り返れば、加藤は「このタイミングで3人が決まっているのは珍しいこと。有難いと思って、3人で切磋琢磨していきたい」と力に変えた。

■加藤悠馬


 3選手の内定が同時に発表されたのは、昨年のクリスマスイブのこと。ただ普段地方リーグを戦う辻岡と近藤はもちろん、関東1部を戦う加藤の名前すら初めて聞いたという方も少なくないのではないだろうか。

 今年のJ2開幕戦。初のJ2を戦ういわきFCのスタメンに加藤は並んでいた。プレシーズンの練習試合などで結果を残せたことで、1週間ほど前には開幕スタメンの雰囲気を感じていたという。「憧れの舞台だったので、緊張よりもやってやろうと思っていました」。しかしデビュー戦は前半45分で交代。チームも敗れたことで、二重の悔しさを味わうことになった。

 中学、高校と神戸の下部組織で過ごした加藤だが、ユース時代は控えに回ることの多い選手だった。大学はレベルの高い関東の大学を志望したが、試合に出ていなかったことで、なかなかセレクションに参加させてもらえなかったという。ただ運よく当時2部の拓殖大が練習参加を受け入れてくれたことで、入学が決まった。

 そして拓殖大の雰囲気が加藤には合っていた。「神戸はスタイルが固いけど、拓殖は自由。より自分の個性が伸ばせたのかなと思います」。1年目からトップチームでの出場機会を掴むと、2年生時には関東選抜に選出。昨年は関東選抜Bの一員としてデンチャレ優勝を経験すると、リーグ戦は4ゴール4アシストの活躍で、1部残留に貢献した。

 いわきFCが声をかけたのは昨年10月ごろ。練習に参加し、トレーニングマッチに出場すると、その場で獲得オファーを出す可能性を告げられたという。「もちろん目標にしていましたけど、(この時期の内定は)まさかと言う感じ。驚きについていけない感じもありました。でも逆に1年早くチャレンジ出来るので、今はメリットに感じています」。

 高校時代控えだった選手の急成長。当時のチームメイトで今回、関東選抜Aでともに戦ったMF山内翔(筑波大3年=神戸U-18/神戸内定)とは、「お前がこうなるとは誰も思ってなかったやろな。思っていたとしても数人やろな」というやり取りがあったことを明かす。

「山内はずっと高校の時からキャプテンで主力。同じプロの舞台に行けることは嬉しいですし、彼に負けたくないという気持ちはずっと持ってやってきたので、ここから追い抜けるように頑張りたいと思います」

 今後については大学での授業もあることから、まだ不透明なところが多いという。ただ加藤自身も、大きく成長させてもらった拓殖大に「還元できていない部分がある」と感じている。

「しっかりと役目を果たしてから、プロの舞台に行きたい。Jリーグを経験できたことで基準を知れた。自分の武器のドリブルを前面に押し出して、低い身長の選手でも道は切りひらけるというところをみせて行ければいいと思います」

■近藤慶一


「Jリーガーはみんなの憧れ。そこを意識して向かってくると思うので、そこを負けないように、そのプレッシャーを食って自分が上がっていけるようにしたいと思います」。近藤は見られているという意識を持ってデンチャレに臨んでいた。

 昨年度のデンチャレが大きな転機となった。東海選抜の一員としてプレーオフから戦った近藤は、プレーオフから本戦まで4戦連続ゴールを記録。最終戦の関東選抜Aとの3位決定戦でも1ゴールを決めて、得点王を獲得した。大会後にはJ1クラブも注目。練習生として横浜F・マリノスや名古屋グランパスでエリートリーグに出場した。

 いわきが声をかけたのは、名古屋でエリートリーグに出場した時だという。「いわきFCさんはグランパスのエリートリーグに見に来てもらっていた。もちろんデンソーが大きかったんですけど、そのあとのグランパスで点を決めたことで、こいつを呼ぼうとなったんだと思います。8月に練習参加して、そこで決まったという感じ。1週間以内にはオファーが来ました」。即答はしなかったというが、リーグ戦終了後に決断。そして年末に内定が発表された。

 近藤も今季J2開幕戦でデビュー。ベンチスタートだったが、後半開始と同時に出場。さらに翌節の水戸戦でもベンチ入りすると、後半27分から途中出場した。「よく頑張ったと言われました」。開幕戦には来れなかった家族に、Jリーガーになった姿をみせることが出来たという。

 デンチャレを戦うために、一旦大学の活動に戻っている近藤だが、土曜日の決勝翌日にはいわきに移動し、山口戦にベンチ入り。中0日の強行軍だが、後半24分から途中出場を果たした。今後も出番は増えることが予想されるが、基本的に今季はいわきで過ごすことになるという。

「Jリーガーになるんだという感覚でしたが、試合に出させてもらってここからが勝負だと改めて思いました。ちょっとずつ実感もわいてきた。同期に対する思いも強いので、3人でスタメンを取れるように頑張りたいと思います」

■辻岡佑真


 3選手の中でも一番の“無名選手”と言っていいかもしれない。ただ身長183cm、体重83kgの屈強な身体は、ピッチで見ると、ひと際目を引いた。

「そういう目(J内定選手)で見られることは理解している。一つのミスでも切り替えて、あんな奴がJに内定しているんだと思われないように、いわき代表としてプレーしていきたい」

 デンチャレはプレーオフから出場。中国選抜として本戦に進むことは出来なかったが、プレーオフ選抜の一員として3位の好成績に導いた。

 いわきとのきっかけは、IPU大の桂秀樹監督がいわきの村主博正監督に推薦する形で練習参加が実現。昨秋の2度の練習参加を経て、11月ごろに正式な獲得オファーが届いた。

 これまでも大学の繋がりでファジアーノ岡山の練習に参加することがあった。またJ3クラブと練習試合をすることも多かったことから、普段からJリーグのレベルを知ることが出来ていたという。そのこともあって、いわきの練習に参加した際も、普段通りの実力を出すことが出来た。

「出来るなという手ごたえはあった。いわきは体づくりでこれからのサッカー人生において、基礎になってくると思う。自分の計画では4年生の10月に決める気持ちでプレーしていたけど、オファーを貰った時に特別指定にしてもらえるという条件もあったので、1年でも早くプロの世界で練習できると考えたら、早い段階で決めました」

 辻岡も基本に大学の大事な試合がある時以外は戻らずに、いわきで活動することになるという。「特別指定ですけど、1年目から試合に関われる選手になりたい。主力になれるくらいに成長したい」。いわきは開幕から3戦未勝利。全試合で失点していることもあり、辻岡にもチャンスがやって来そうだが、「人が悪くなるよりは、自分がよくなることを意識していきたい」と気を引締めて、日々のトレーニングに向かうつもりでいる。

(取材・文 児玉幸洋)
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