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[関東]今季第1号弾は14年ぶり1部復帰東海大の“代役”FW安藤優人「どこかでチャンスが来ると思っていた」

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先制点を決めたFW安藤優人(3年=前橋育英高)

[4.1 関東大学L1部第1節 明治大1-1東海大 味フィ西]

「まずは守備から。ゼロで抑えることをチームとして意識していました」と振り返った東海大FW安藤優人(3年=前橋育英高)の横から思わぬ“ヤジ”が飛んだ。「お前、守備してねーじゃねーかよ!」。声の主は今川正浩監督。それでも勝ち点1に貢献する得点を決めた安藤は、苦笑いを浮かべながらも、「まずは守備から入っていました」と再び言い切り、胸を張った。

 試合を面白くしたゴールだった。14年ぶりとなる1部リーグ戦。相手は世代を代表する選手がスタメンに並ぶ明治大で、苦戦が予想された。しかし前半44分、東海大はDF荒川泰司(4年=日本航空高)がエリア内にロングボールを入れると、FW桑山侃士(3年=東海大高輪台高)がキープからシュートに持ち込む。ゴール前の混戦にこぼれると、後ろから走り込んだ安藤が右足で蹴り込んで、先制に成功した。

「押し込まれた展開だったけど、どこかでチャンスが来ると思っていた。ゴール前に行ったらたまたま転がってきたので、決めるだけでした。チャンスは来るので、いつも。入って良かったです」

 開幕スタメンの座も転がり込んでいた。昨年度の2部リーグで13得点を決めて得点王を獲得したFW藤井一志(4年=東海大高輪台高)が負傷欠場。代役として昨年度までの2年間で関東リーグ戦わずか3分ほどの出場だった安藤に、白羽の矢が立っていた。「緊張もあったけど、チャンスだと思っていた。(藤井が)帰ってきても渡さないぞという気持ち。尊敬している部分もあるので、切磋琢磨していきたいです」。

 運命を感じる相手でもあった。明治大のMF中村草太(3年=前橋育英高)は、前橋育英高時代にポジションを争ったライバル。今でも「めちゃくちゃ仲がいい」という存在だが、大学入学後もずっと意識してきた選手だった。「去年も出てて活躍していたので、スゲーなと思ってみていた。やれる機会があったので、やってやろうと思った」。ライバルの前で作った歓喜の瞬間。これ以上ない喜びだった。

 ただまだ始まったばかり、チームも勝ち点1を獲得したに過ぎない。「チームとしては3位以上を目標にしている。そこの争いに食い込んで行って、自分も得点を量産して行ければいいなと思います」。昨年は前年インカレ王者の駒澤大や名門の早稲田大、順天堂大が、2部降格の憂き目にあった実力拮抗の関東リーグ戦。東海大の頑張りは、戦国リーグをより面白くするはずだ。

(取材・文 児玉幸洋)
●第97回関東大学L特集

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