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[MOM972]筑波大FW小林俊瑛(2年)_「なんで出してくれない」本音をぶつけたストライカー、責任を果たす初ゴール

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FW小林俊瑛

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[8.10 関東大学L1部 筑波大 3-2 流通経済大 筑波大G]

「なんで出してくれないんだ」。本音をぶつけた筑波大FW小林俊瑛(2年=大津高)が、起用に応える関東大学リーグ初ゴールを決めた。

 小林は入部1年目からコンスタントにメンバー入りを続けているが、ほとんどは途中出場のジョーカー起用となっている。さらにここ3試合は出番なし、後半45+6分から、後半44分からとプレー時間が限られていた。そうした中、後半44分から出場した前節の明治大戦は0-2で敗れ、優勝を争うライバルに痛恨の黒星となった。

 チームはこの敗戦を受け、週明けに仲間同士で正直な思いをぶつけ合うミーティングを開催。小林はその場で出場機会が限られていることに触れ、長い出場時間への意欲とチームを勝たせる覚悟があることを示したという。小井土正亮監督は「みんなの前で言ってくれた」と熱い気持ちを歓迎。小林に限らず各選手がそれぞれ意見を伝えたといい、FW内野航太郎(2年=横浜FMユース)は「この1週間は気を引き締め直してバチバチした良い練習を積み重ねられた」と振り返った。

 迎えた流通経済大戦で、筑波大は前節の苦しいゲーム内容とは打って変わってペースを握りながら先制に成功した。ところが後半に立て続けに失点し、1-2で追う展開に。その中で後半32分、小林がピッチに送り込まれた。

 小林によると当初は他の選手が交代で入る予定だったが、最終的にこのタイミングで小林の出場が決定。「前節の負けは1点も入らなかったこともあるので、必ずFWの選手が1点決めないといけないことを意識」したといい、ミーティングで告白した覚悟とともにピッチに入った。

 すると後半39分、小林も関与した右サイドの展開からゴール前にクロスボールが送られると、相手GKがファンブル。ボールがこぼれた先には小林がおり、冷静に右足でゴールに流し込んだ。「あまり綺麗なゴールではなかった」とはにかみながら、「口で言ったことをしっかりと責任を持って結果に移せたのはすごく良かった」と小林。FWとしての矜持を示す大学初ゴールとなった。

 追いついた筑波大は3分後に内野がヘディングシュートを決め、3-2で逆転勝利。小林は「内野に最後持っていかれたのはやっぱり内野の良いところでもあり、自分が決められないという課題でもある」と笑顔で話し、「色々なことが分かった試合だった」と充実感を伝えた。

 小林は「ここから踏み出す一歩として良いゴールだったかなと思う」とさらなる活躍を誓うと、小井土監督も「内野の陰に隠れて同じ学年で苦しい思いをしているのはあいつだと思うけれど、これで吹っ切れてくれるんじゃないかなと思う」と期待を寄せる。飛躍のきっかけになるような要素が凝縮された一発。強い覚悟を持つストライカーの物語が始まった。

内野逆転弾後、小林は手荒い祝福を受けた


(取材・文 加藤直岐)

●第98回関東大学リーグ特集
加藤直岐
Text by 加藤直岐

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