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筑波大FW内野航太郎がデンマーク1部ブレンビー合意を“サプライズ発表”「挑戦しようと決めました」大争奪戦も最後は横浜FMとの二択

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ブレンビー挑戦を表明したFW内野航太郎

[6.14 関東大学L1部第9節 筑波大1-1東洋大 筑波大学第一サッカー場]

 観衆の前でのサプライズ発表になった。「今年の夏からデンマークのブレンビーで頑張ります」。FW内野航太郎(3年=横浜FMユース)は試合後、正々堂々と宣言した。

「小井土さんとも昨日話して、合意しているのは事実なので、言っていいんじゃないかということになりました」(内野)。そして小井土正亮監督も「両者で合意したということは事実です」と認めた。

 今夏からの海外挑戦を決めた。現在筑波大3年生の内野だが、少なくとも国内の5クラブが正式オファーを出し、海外の4、5クラブを加えた大争奪戦になっていた。

 その中で今年3月に10日間ほどの日程で練習に参加したデンマーク1部のブレンビーに好感触を持っていた。そして国内なら高校時代までを過ごした横浜F・マリノス、海外ならブレンビーに絞って、熟考を重ねてきた。

「有難いことに選択肢が多かった。国内ならマリノスに絞っていたのは本当で、その中でブレンビーに挑戦しようと5月末に決めました」。デンマークには浅からぬ縁を感じていた。「思い入れのある街です」。横浜FMジュニアユースに在籍した中学2年生の時に初めて海外遠征を行った場所が首都のコペンハーゲンだった。

 ただ決め手となったのは、クラブに「明確なビジョンが持てた」ことだった。ブレンビーからは今夏の移籍で、日本代表FW鈴木唯人がドイツ1部のフライブルクに移ることが決まった。「日本では知られていないかもしれないけど、5大リーグにステップアップしている選手が多いクラブ。5大リーグに行けるという明確なビジョンが持てたことが決断のひとつの理由になりました」。

 なにより一番は早く日本代表になって活躍したい思いがあるという。「早くA代表になりたい。A代表を意識し出したのは最近で、U-23日本代表に入ってA代表の選手を間近にみたときに意外と遠くないなと感じた。自分も結果を残せば呼ばれる可能性は高いなと思っています」。いずれはプレミアリーグのクラブでエースになる。それも「日本代表のエースになるため」で、今後も夢をぶらさずに決断をしていくつもりだ。

 これまで関わってすべての人に感謝の気持ちを持って新天地に向かう。中学から6年間過ごした横浜FMは今でも特別なクラブ。大学に入ってからはなかなか声を掛けてもらえず、同学年のFW塩貝健人(現NEC)を先に獲得するという“屈辱”も味わわされた。「正直言うとめちゃめちゃ悔しかった。腹立たしかった」。内野自身も当時の複雑な思いを隠そうとしない。

 ただ「そういった面も含めて成長させてもらった」と今では感謝の気持ちがあるという。今年2月に大学に入ってから初めて横浜FMから声がかかり、キャンプに参加。そこで改めて自身の横浜FMへの思いを確認した。それまではほかのJクラブでのプレーも考えていたが、「国内ならマリノス」と一択になった。「マリノスでプロサッカー選手としてのキャリアを始めたいと思っていたけど、今思っているのは、最後にトリコロールのユニフォームで引退できればいいかなという感じですね」。

 大学とは今後のスケジュールを調整していくことになるというが、蹴球部は今月末で退部する。20日に初戦を迎える総理大臣杯予選のアミノバイタルカップ関東が最後の大会になる。関東王者に導くことを置き土産としたい考えだ。「(天皇杯の)長崎戦からチームの緩みも感じているので、アミノに向けて地に足をつけてやらないといけないと思います」。日本の大学サッカー界屈指のタレントが、最後に爪痕を残して世界に羽ばたく。

(取材・文 児玉幸洋)

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児玉幸洋
Text by 児玉幸洋

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