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[C☆voice_49]専修大DF栗山直樹「きっかけをつかめるか、つかめないかで人生は変わってくる。いつ巡ってきてもつかめるように準備を」

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 大学サッカー界の注目選手にその時どきの課題や目標について聞く連載企画「College star voice」。第49回は空中戦など対人での抜群の強さと得点力も発揮して専修大に大学日本一をもたらした関東大学選抜CB栗山直樹選手(3年=清水東高)です。

 昨年、Bチームでのスタートからポジションを勝ち取り、そして関東1部リーグ、全日本大学選手権優勝に貢献。Jクラブからも熱視線を浴びる注目DFの12年の目標とは?

―この春は千葉に練習参加を
「一番最初に思ったのは、サッカーをやる環境がいいということ。大学とプロとは違うんですけど、機会があればプロでやりたいという気持ちが強くなった。ある程度戦えると思いましたけど、ちょっとしたパスのこだわりだったり、キックのこだわりだったりは、やっぱりプロの方がひとつ上なのかなと感じました」

―練習参加中に意識していたことは
「負けないこと、しっかり跳ね返すことは意識していたけれど、それよりも気をつけていたのは、ジェフのサッカーが後ろからしっかりつないでいこうということだったので、そこでつなげるポジショニングだったり、パスの質だったりというところ。自分はあまり得意ではないんですけど、そこでレベルアップできるように、そこで通用できるように、練習していた」

―練習の雰囲気は
「人が凄く良かったんで、みんなと仲良くなって凄いやりやすかったです。先輩がいたということもあったと思うんですけど、ベテランの方から若い人までみんなしゃべってくれて、すごくいい雰囲気だった」

―日本一になった昨シーズンはどのような1年だった?
「新チーム発足時はAチームにも入れなくて、自分がサッカーを続けていく上でどうなのかな、というところがありました。ただいつでも対応できるようにBチームでしっかりと準備してきたし、怪我人とか出てAチームに呼ばれた時、自分のパフォーマンスを練習から発揮することができた。1、2、3月で評価してもらえて開幕時からメンバーには絡むことができました。まだレギュラーという感じではなくて後輩に取られて。正直、自分の心の中では出られていなかったので、順調と言う感じはしなかった。でもリーグ戦翌日の練習試合とかで(鈴木)雄也なんかと一緒に頑張って、自分の特長をしっかり出して勝負にこだわってきた。そこでひとり怪我をしてチャンスをつかむことができた。デビューした筑波戦を良く覚えているんですけど、前半全然できなくて後半もやられて。そのあとの明治も0-4で負けて、正直いいパフォーマンスできたかというとできていなかった。それでもブチさん(岩渕コーチ)や源平(監督)さんが使い続けてくれたので、期待に応えるしかないという気持ちでやっていた」

―期待に応えられていると感じ出したのは
「天皇杯では1回戦からF東京のユース、早稲田、横河、ゼルビアと戦ったんですけど、そこから段々パフォーマンスも上がってきて。いい意味で言えば慣れてきて、自分の特長を出せるようになってきたなという印象があります」

―それがリーグ戦、インカレ優勝まで走り続けた
「出ていたからと言って安心していた訳ではない。いつ落とされるか分からないという勝負の世界で、チームの中で鍛えられました。自分が上に立ったからと言って気持ちが変わるのではなくて、サブ組のヤツが練習するんだったら、それよりも練習するんだ、という気持ちでやっていました」

―優勝した瞬間をふたつ味わったけど
「リーグ戦は(ラスト2試合で迎えた首位攻防戦の)筑波に勝ったときの方がうれしくて。前半完璧なゲームをして勝った。自分が下級生の時にはそういうゲームをことごとく落としていた。近い順位の相手と試合している時に落としているのを見ていたので、瀬戸際の戦いで『ここ勝てばいけるけど、負けたらヤバイよ』という試合で勝てたことがうれしかった。まだ優勝が確定した訳ではなかったけど、ホッとしたというのはあった。そして(最終節の)神大のときに気緩んだんじゃないかと思われないようにやろうと思って、結果が出てよかった。
 あと、2-1から2-2になるか3-1になるか大きなところだと思うんですけど、後期からは3点目が取れることが多くて、後ろの人間としては気持ちが楽だった。インカレの1、2回戦は自分のパフォーマンスが抜けているところがあって失点に絡んでしまった。自分はゴールもあるけれど、守る方がメイン。決して穏やかではなかったです。チームも庄司クン中心に『これじゃ上、行けねぇ』という感じでなっていたのでマズいなと。インカレの中でパフォーマンスを上げていかないと思っていた。それでも攻撃陣が1試合2点は取ってくれていたので。同じゼロを目指す中でも気持ちとしては少し楽でした」

―国立の感想は
「最初出た瞬間は緊張したけれどすぐに慣れて。学生の間にこういう時が訪れるとは思っていなかった。目指してはいましたけれど、大学って2チームしか国立でできないじゃないですか。高校ならば開幕戦、ベスト4以上ができるけれど、大学は2チームなので、それは本当にうれしかった」

―大事な4年生のシーズンが始まる
「昨年以上の結果を残すのは難しいですけれど、それを目指していけるように。結果だけ見れば優勝という目標を立てていますけれど、総理杯も天皇杯もある。勝っていければもっと大きな経験ができると思うので、それをプラスで目指していく。チームのメンバーは違うけれど、ポテンシャルは持っていると思う。力を発揮できれば必ずいい試合ができると思う。去年からそんな劣っていると思わない。練習でやっていることを試合でできれば、そこに近づけると思う」

―どういうところを見てもらいたい
「対人、空中戦のところとかは自信があるので、今年も発揮できたらと思う。それプラス、後ろから攻撃を組み立てていけるように、目指してやっていきたい」

―清水東からプロは内田(篤人、現シャルケ04)、多々良(敦斗、現松本山雅FC)の世代以来
「そこ(プロ)は最低限。少ないと思うけれどきっかけをつかめるか、つかめないかで人生は変わってくる。いつそれが巡ってきてもつかめるように準備していきたいと思います」

―ゲキサカの読者へ向けて
「今年も必ず面白いサッカーをするので昨年みたいに楽しんで見てもらえればと思います。攻撃的な美しいサッカー。キレイにパス繋いでいくところもそうですし、自分の中では戦う姿勢や泥臭さも美しい、見ている人に感動を与えられると思っているので両方でしっかりと戦えたらと思う」

(取材・文 吉田太郎)

連載:「College star voice」

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