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初の海外移籍で国内2冠達成、FW南野「認められるには結果がすべて」

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 今年1月にユースから育ったC大阪から、オーストリアのザルツブルクへの移籍を決断したFW南野拓実。初の海外移籍に戸惑うことがありながらも、きっちり出場機会をつかむとチームの国内2冠に貢献。しかし、タイトル獲得に喜びを示す一方で、本人は納得いかない表情も浮かべた。海外での競争を勝ち抜くため、U-22日本代表の一員としてリオ五輪に辿り着くため、そしてその先の高い目標を達成するために20歳の若武者はさらなるレベルアップを誓う。

ゴールにこだわり
試合を決められる選手に


――海外での最初のシーズンを終えました。『ここまでできた』という満足感の方が強いですか、それとも『もっとできた』という思いの方が強いでしょうか。
「結果的にリーグ戦と国内カップ戦と2つのタイトルを獲れたので、自分にとってすごく良い経験になりました。サッカー選手として、タイトルを獲るのはすごく大事ですからね。ただ、その中で自分がもっと活躍して、大事な試合でゴールを決めて勝つことができたら、もっともっと最高やろうなと思いました。だからこそ、来シーズンはそういう試合を増やしたい。試合を決められる選手になりたいし、自分のゴールで優勝を決めたいと強く思うようになりました」

――リーグ戦の優勝決定試合(第35節ボルフスベルガー戦)ではアシストを記録しました。ただ、第33節のアルタッハ戦では、2-2で迎えた後半ロスタイムに決めれば優勝という好機をモノにできませんでした。
「ありましたね、そういう場面。優勝を決めた試合でもアシストは記録できましたが、そこで決め切る選手になりたいと思いました。大事な試合で点を取れる選手は、味方からも信頼されるようになりますからね」

――自身にとって初めての移籍が海外移籍となり、苦労したことも多かったと思います。
「一番苦労したのは言葉でした。残念ながら、僕はちゃんと言葉を話せないので、自分の伝えたいことがうまく伝わらなかったし、相手の言いたいことも完璧には理解できませんでした。ピッチ上での言葉はだいたい理解できたのですが、やっぱり細かいところまでは難しくて。そこでチームメイトとのズレを感じましたし、コミュニケーションの重要性を強く感じました」

――言葉を完璧に話せない中、どのようにチームメイトとのコミュニケーションを深めようとしましたか。
「言葉の勉強もしていましたけどね(笑)。ただ、やっぱり簡単に習得できるものではありません。だから、チームメイトとコミュニケーションを満足に取れない分、ピッチ上の結果で示さないとチームメイトからの信頼を勝ち取っていけないと思いました。結果で示していくのが大事だったので、結果を残していこうという考えでやっていましたし、今後もゴールにこだわっていきたいです」

――第23節のアドミラ・バッカー戦で移籍後初得点を含む2得点1アシストを記録したことで、チームメイトの反応も変わってきたのではないですか。
「練習や試合を重ねることで、周囲から認められてきていると感じられるようになりました。だから、この試合が一番のきっかけになったというのはありませんね。ただ、地道に努力していれば、一緒にプレーをして自分の良さを出していければ、自分のことを理解してもらえるし、逆に僕もチームメイトのことを理解できるようようになったと思います」

将来はフル代表に選ばれ
ビッグクラブでプレー


――オーストリアのサッカーに触れて、どのような部分で自分の成長を感じましたか。
「単純に体が大きいので、フィジカルの強さは日本よりもオーストリアの方が上だったし、球際の攻防での激しさもありましたね。ただ、監督から『あと一歩寄せろ』とよく言われていたので、寄せて体をぶつけてボールを奪うという守備の激しさは身に付いたし、そこは成長できたと思います。ただ、激しい守備をしながらも、やっぱり僕は攻撃の部分でもっと貢献していかないといけません」

――攻撃面ではどういう部分を伸ばしていかないといけないと感じましたか。
「ウチはコンビネーションで相手を崩していくことが多いのですが、そういう連係にもっと絡んでいく必要があると感じました。絡む回数が増えればもっとゴールに近付けるし、そこで結果を残していければ、チームメイトからもっとパスが出てくると思います。前を向いて仕掛ける回数も増やしていきたいですが、やっぱり結果。結果を出す選手が一番認められるので、そこにこだわりたいし、そこが全てかなとも思います」

――20歳で海外でプレーしているというのは、自分が思い描いていたとおりのことですか。
「若いときから海外に行きたいと考えていたので、そういう意味では目標を達成できているのかもしれませんが、でも海外に行くだけでなく結果を残して、次のステップに進んで行きたい気持ちがあります。毎試合のように結果を残していれば、ステップアップのチャンスは必ずあると感じています」

――強い向上心を感じますが、その原動力となっているのは?
「具体的なクラブのイメージはまだありませんが、将来は誰もが知っているビッグクラブで、中心選手としてプレーしたい気持ちがあります。それとサッカー選手である以上、フル代表でプレーしたい気持ちがあります。でも現状で、それは叶っていませんし、そういう意味で僕はまだまだだと感じています。常に高い目標を持ち続けることは自分の成長のためにも大切だと思うので、これからも高い目標を持ってやっていきたいです」

絶対にリオ五輪には
出ないといけない


――3月にはU-22日本代表の一員として、リオ五輪アジア一次予選に参加しました。
「五輪に行きたいという気持ちは自分の中でも強いですし、同世代、今まで代表で一緒にやってきた仲間と、もう一度世界を目指して戦うのはすごい楽しみです」

――海外クラブから合流する難しさもあったと思います。
「何よりも厳しかったのが、暑さへの適応でしたね。気温5度のオーストリアから35度のマレーシアにいきなり行ったので。ただ、フル代表の選手はそれを普通にやっているので、環境面への適応にも慣れていかないといけないと感じました」

――クラブの事情もあり、2試合限定の出場となりましたが、1得点2アシストと結果を残しました。
「結果を残せたという気持ちはまったくないですね。環境に適応できなかったし、パスのズレやボールコントロールのズレがあって、試合でも自分の思ったようなプレーができませんでした。環境が変化する中で、自分のプレーがブレてしまうのではなく、いつも通りのプレーができるようにならないといけません」

――来年の1月にはカタールで行われる最終予選が待っていますが、五輪に賭ける思いを教えてください。
「12年のロンドン五輪のときにセレッソからは貴くん(扇原貴宏)、(山口)蛍くんや(杉本)健勇くんが出場しているのを見て、その舞台に立つことに憧れましたし、4年後には自分がその舞台に立ってプレーしたいと感じていました。僕はU-19日本代表で、U-20W杯出場を逃しているので、絶対に出ないといけない大会だと思っています」

――スパイクへのこだわりを教えて下さい。
「スパイクは履いたときのフィット感とボールタッチの感覚を大切にしています。スパイクは大事な相棒で、『今から行くぞ』『一緒に戦うぞ』という思いを持っていつも履いています。だから、他の人には履かせたくないし、常にきれいに保とうと意識しています」

――新しい相棒となる『ACE』の印象はいかがでしょうか。
「『ACE』はボールを蹴ったときのインパクトがすごく良いですね。僕はボールタッチを大事にしているのですが、コントロールウェブのおかげですごくタッチしやすかったです。あとはポイントが43本あって、最初は『どうなんよ』と思いましたが(笑)、実際に履いてみたら、すごい芝を噛んでくれるので全然滑りません。ターンとか鋭い動きのときにもしっかり噛んでプレーできるのが、すごく良いですね。デザインも斬新だし、まだヨーロッパのピッチでは履いていませんが、早くこのスパイクを履いて試合をしたい気持ちがあります」

(取材・文 折戸岳彦)

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