beacon

アマチュアクラブがFA杯の快進撃でクラブ史に残る収入を手に、その使い道は…

このエントリーをはてなブックマークに追加

FA杯で快進撃を続けるサットン

 勝っても負けても、5部を戦うアマチュアクラブであるサットンに歴史的な収入が入ることは間違いなさそうだ。FA杯でジャイアントキリングを続けるサットンは、次の月曜日にFA杯5回戦でアーセナルをホームに迎える。彼らのホームスタジアムは5000人収容で、老朽化の目立つガンター・グリーン・レーンだ。

 4回戦で2部のリーズを破ったサットン。次の相手はプレミアリーグで毎年上位を争うアーセナルで、戦前の予想はサットンの圧倒的不利だが、順当にこの試合に負けたとしても彼らはクラブ史に残る巨額の収入を手にすることになるようだ。

 なんでも、ここまでの戦いと、ホームで開催されるアーセナル戦の収入を合わせれば、収入は70万ポンド(約9500万円)にも上るという。そして、もし万が一アーセナル相手に勝利を収める奇跡を達成すれば、その額はさらに1桁増えることになる。

 FA(イングランドサッカー協会)によれば、4回戦の勝利賞金は9万ポンド(約1280万円)。そこに、いずれのホームで開催されたリーズ戦とアーセナル戦の放映権収入が分配されれば、合計で39万ポンド(約5550万円)が加わる。スタジアムの入場料の半分はホームチームに分配されるため、アーセナル戦では10万ポンド(約1420万円)の入場料収入が見込まれる。

 さらに、テレビ上で多くの視聴者の注目を集めるであろうサットンには、特別な胸スポンサー契約の話が舞い込んでおり、その収入はさらに増えるかもしれない。

 注目の集まるサットンでスポンサー対応や試合開催に向けたサポートを担当している広告代理店のマーケティングディレクター、デビッド・フレイザー氏は興奮気味に次のように話している。

「5回戦に進出し、ホームにアーセナルを迎えることは、1989年のカップ戦での快進撃以来の偉業だ。もしかしたら今回のほうがその当時を上回っているかもしれない」

 サットンは1989年に今回と同じくFA杯で、その2年前に優勝カップを掲げていたコベントリー・シティを破る金星を挙げている。

 フレイザー氏の下には木曜日に行われる試合前記者会見への出席を希望する問い合わせが、ブラジルから日本まで、世界各国の記者から舞い込んでいるという。

「サットンにとって素敵なおとぎ話が続いている。この快進撃を受けて彼らには様々なスポンサーのオファーがきていて、それはこのクラブの規模からしたら、何年も先までクラブの財政を支えるものになるような額だ」

 サットンのポール・ドスウェル監督は、得られる収入は新たな選手の獲得には使わず、老朽化が進むスタジアムの修復や、ユースチームの設備の拡充にあてるとすでに公言している。

 不動産会社の経営者で、これまで無給で働きながらチームに最大で週2000ポンド(約28万円)の融資を提供してきたドスウェル監督。もうしばらくは自身のポケットマネーをクラブに費やすことはなくなりそうだ。


●プレミアリーグ2016-17特集
世界のサッカー情報はgoal.com

TOP