ローマが「スーパーマーケット」になる理由…モンチ新SDの力不足ではない?
ローマのスポーツディレクター、モンチがミスをすることは滅多にない。だが先月、「ローマはスーパーマーケットではない」と宣言したのは、大きな判断ミスであった。その後、チームに起きたことを考えれば、誤りであったことは認めざるを得ないだろう。
以来ずっと、モンチは広く笑いものにされており、ソーシャルメディアでも数々の笑いのネタにされている。セビージャでの功績は忘れられ、イタリアでは“無能”というレッテルを貼られてしまっているのだろうか。
モハメド・サラーが適切な金額でチームを去ることを、当初からモンチは認めていた。最終的に、サラーは、4200万ユーロ(約54億5000万円)でリバプールへ加入することになったが、それでもモンチは、「(アントニオ・)リュディガーがチームを去ることはあり得ない」と言い張っている。
しかしその翌週には、ドイツ代表のディフェンダーは、チェルシーに移籍する契約を交わしたと伝えられた。以前から不安に駆られていたローマファンの苛立ちは募るばかりだ。
レアンドロ・パレデスもゼニトへの加入が決まり、マリオ・ルイはナポリへ向かう。コスタス・マノラスは、同じディフェンダーのリュディガーが売却濃厚となっているにもかかわらず、依然として放出候補だ。新監督のエウゼビオ・ディ・フランチェスコは、昨シーズンのセリエAを2位で終了したルチアーノ・スパレッティ前監督のチームよりも、大幅に弱体化したチームを率いることになるのではないかという懸念が、広く取り沙汰されている。
■放出はやむを得ない事情?
だが、事の真相はこうだ。ローマは、収支のバランスを取るために、何人かの選手を売りに出さざるを得ないのである。
もともと、ローマは、2016-17シーズン末、ファイナンシャル・フェアプレー制度(FFP)の要件をクリアするのに、およそ1億ユーロが不足していた。
昨シーズン、チャンピオンズリーグのプレーオフで敗れて本戦出場を諦めなければならなかったことは、ローマにとって大きな痛手であった。実際、この点に関して言えば、ベスト16に残ったナポリは、6500万ユーロ(約84億4000万円)という大金を手にしている。
ローマは、支払い残金を減らすべく、切迫した経費削減に真剣に取り組んだが、それでも、2017年6月30日現在、8000万ユーロを工面しなければならないという、厄介な状態に立たされたのであった。
このため、サラーとパレデスを売却せざるをえなくなり(2300万ユーロ)、その一方で、クラブのスポンサーとの契約を改善させて、「黄と赤」は差額を埋めることとなったのだ。
すなわち、理論上は、リュディガーは残留させてもよかったのだが、いずれにせよ、リュディガーは昨年、チェルシー加入に近づいていたし、ローマはあの契約を「保留」としてしか見ていなかった。
ポルトガル代表の左サイドバックであるルイは、再びマウリツィオ・サッリ監督のチームに入りたいと言っているため、ローマを離れることが許されるだろう。ルイはかつて、エンポリでサッリ監督のもとでプレーしたことがあるのだ。一方、メキシコ代表のセンターハーフ、エクトル・モレノがPSVから加入。すなわちローマは、コスタス・マノラスを現金に換えることができるゴーサインが出たとも言えるだろう。
収支決算すると、ローマは、2017-18シーズンのチャンピオンズリーグのグループリーグに自動的に参加できるおかげで、現在がより多くの資金を有し、財務パラメーターに余裕ができて、仕事がしやすくなっている。
だから、ローマはこの先ずっと希望が持てないというわけではないのだ。チームのベストプレーヤーのひとり、アレッサンドロ・フロレンツィが体調万全で戻ってくることも期待されている。
優秀なるロレンツォ・ペレグリーニがサッスオーロから復帰するというのも朗報だ。フェイエノールトから加入したリック・カルスドルプには大きなポテンシャルがあるし、元リヨンのキャプテンであるマキシム・ゴナロンとの契約も、いずれその正しさが証明されるだろう。
■批判は時期尚早
ローマのサポーターたちが大いに悲観的になっているのは、特に、フェデリコ・ファシオ、ブルーノ・ペレス、フアン・ギリェルメ・ヌネス・ジェズスと以前に同意した契約が完了したせいだが、そのことをジェームス・パロッタ会長は、よくわかっている。
ローマの日刊紙『イル・テンポ』によると、アメリカ人実業家のパロッタ会長は、こう述べたという。「ファンの皆様には、私どもを信頼していただきたい。私たちは、より強いローマを構築していると確信している」
今の段階で結論を下すのは、早い。ローマにさらなる選手の加入が必要なのは明らかであり、攻撃陣を強化すべく、ドメニコ・ベラルディ、ルーカス・モウラ、グレゴワール・デフレルに興味を示している。
だが、さしあたり、今の段階で確かなことは、最新の取引について、ローマがスーパーマーケットかどうかを語る際には、モンチはもう少し注意深く言葉を選んだほうがいいということだ。
文=マーク・ドイル&レナチ・マイサーニ
●欧州移籍情報2017-18
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以来ずっと、モンチは広く笑いものにされており、ソーシャルメディアでも数々の笑いのネタにされている。セビージャでの功績は忘れられ、イタリアでは“無能”というレッテルを貼られてしまっているのだろうか。
モハメド・サラーが適切な金額でチームを去ることを、当初からモンチは認めていた。最終的に、サラーは、4200万ユーロ(約54億5000万円)でリバプールへ加入することになったが、それでもモンチは、「(アントニオ・)リュディガーがチームを去ることはあり得ない」と言い張っている。
しかしその翌週には、ドイツ代表のディフェンダーは、チェルシーに移籍する契約を交わしたと伝えられた。以前から不安に駆られていたローマファンの苛立ちは募るばかりだ。
レアンドロ・パレデスもゼニトへの加入が決まり、マリオ・ルイはナポリへ向かう。コスタス・マノラスは、同じディフェンダーのリュディガーが売却濃厚となっているにもかかわらず、依然として放出候補だ。新監督のエウゼビオ・ディ・フランチェスコは、昨シーズンのセリエAを2位で終了したルチアーノ・スパレッティ前監督のチームよりも、大幅に弱体化したチームを率いることになるのではないかという懸念が、広く取り沙汰されている。
■放出はやむを得ない事情?
だが、事の真相はこうだ。ローマは、収支のバランスを取るために、何人かの選手を売りに出さざるを得ないのである。
もともと、ローマは、2016-17シーズン末、ファイナンシャル・フェアプレー制度(FFP)の要件をクリアするのに、およそ1億ユーロが不足していた。
昨シーズン、チャンピオンズリーグのプレーオフで敗れて本戦出場を諦めなければならなかったことは、ローマにとって大きな痛手であった。実際、この点に関して言えば、ベスト16に残ったナポリは、6500万ユーロ(約84億4000万円)という大金を手にしている。
ローマは、支払い残金を減らすべく、切迫した経費削減に真剣に取り組んだが、それでも、2017年6月30日現在、8000万ユーロを工面しなければならないという、厄介な状態に立たされたのであった。
このため、サラーとパレデスを売却せざるをえなくなり(2300万ユーロ)、その一方で、クラブのスポンサーとの契約を改善させて、「黄と赤」は差額を埋めることとなったのだ。
すなわち、理論上は、リュディガーは残留させてもよかったのだが、いずれにせよ、リュディガーは昨年、チェルシー加入に近づいていたし、ローマはあの契約を「保留」としてしか見ていなかった。
ポルトガル代表の左サイドバックであるルイは、再びマウリツィオ・サッリ監督のチームに入りたいと言っているため、ローマを離れることが許されるだろう。ルイはかつて、エンポリでサッリ監督のもとでプレーしたことがあるのだ。一方、メキシコ代表のセンターハーフ、エクトル・モレノがPSVから加入。すなわちローマは、コスタス・マノラスを現金に換えることができるゴーサインが出たとも言えるだろう。
収支決算すると、ローマは、2017-18シーズンのチャンピオンズリーグのグループリーグに自動的に参加できるおかげで、現在がより多くの資金を有し、財務パラメーターに余裕ができて、仕事がしやすくなっている。
だから、ローマはこの先ずっと希望が持てないというわけではないのだ。チームのベストプレーヤーのひとり、アレッサンドロ・フロレンツィが体調万全で戻ってくることも期待されている。
優秀なるロレンツォ・ペレグリーニがサッスオーロから復帰するというのも朗報だ。フェイエノールトから加入したリック・カルスドルプには大きなポテンシャルがあるし、元リヨンのキャプテンであるマキシム・ゴナロンとの契約も、いずれその正しさが証明されるだろう。
■批判は時期尚早
ローマのサポーターたちが大いに悲観的になっているのは、特に、フェデリコ・ファシオ、ブルーノ・ペレス、フアン・ギリェルメ・ヌネス・ジェズスと以前に同意した契約が完了したせいだが、そのことをジェームス・パロッタ会長は、よくわかっている。
ローマの日刊紙『イル・テンポ』によると、アメリカ人実業家のパロッタ会長は、こう述べたという。「ファンの皆様には、私どもを信頼していただきたい。私たちは、より強いローマを構築していると確信している」
今の段階で結論を下すのは、早い。ローマにさらなる選手の加入が必要なのは明らかであり、攻撃陣を強化すべく、ドメニコ・ベラルディ、ルーカス・モウラ、グレゴワール・デフレルに興味を示している。
だが、さしあたり、今の段階で確かなことは、最新の取引について、ローマがスーパーマーケットかどうかを語る際には、モンチはもう少し注意深く言葉を選んだほうがいいということだ。
文=マーク・ドイル&レナチ・マイサーニ
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