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シーズンの結末はクリスマスに決まる!?優勝、降格にまつわるプレミアリーグの“ジンクス”

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プレミアリーグはクリスマス時点の順位が重要?

 またこの季節がやってきた。欧州で多くの主要リーグがウィンターブレイクに入る中、世界最高峰のリーグの一つであるイングランドのプレミアリーグは年末年始も関係なく、超過密日程が組まれている。今季もクリスマス翌日にあたる“ボクシング・デー”の12月26日から中1日、2日で試合が続き、各クラブは選手たちのコンディションやケガを考慮し、ターンオーバーしながらこの時期を乗り越えなければならない。

 クラブの総合力が問われる時期でもあるが、シーズンの折り返しにあたるクリスマス時点での順位も大きな注目を集めるポイントとなっている。なぜなら、クリスマスを首位で迎えたチームはそのシーズンの「プレミアリーグ王者」に、最下位で迎えたチームは「チャンピオンシップ(2部相当)に降格」するという“クリスマスのジンクス”が存在するからだ。

 1992年に創設されたプレミアリーグの過去25シーズンで、聖夜を首位で迎え、そのまま優勝を果たしたのは25チーム中13チーム。確率としては52%と決して高くないが、直近の8シーズンに限定すると、8分の7が優勝している。確率は87.5%となり、唯一優勝を逃したのは2013-14シーズンのリバプールのみ。シーズン終盤の第36節・チェルシー戦でMFスティーブン・ジェラードが自陣で足を滑らせ、失点に絡むという痛恨の敗戦から最終的にマンチェスター・シティに逆転優勝を許した悲劇のシーズンだ。また、2015-16シーズンに“世紀の大番狂わせ”を演じたレスター・シティも、このジンクスどおりに優勝を果たしている。

 今季はマンチェスター・シティが18勝1分の無敗で前半戦を終え、2位マンチェスターユナイテッドに勝ち点13差を付けている。最高のクリスマスを迎えたジョゼップ・グアルディオラ体制2年目のシティは、FWセルヒオ・アグエロとMFラヒーム・スターリングが12得点ずつを記録しており、守備陣もリーグ最少の12失点。プレミア連勝記録を更新し続け、第3節から怒涛の17連勝で首位を独走している。このままいけば、今季も“ジンクス”は健在となりそうだ。

 一方、下位3チームが自動降格するプレミアリーグにおいて、「最下位でクリスマスを迎えたチームがチャンピオンシップ(2部相当)に降格する」というジンクスを破った例は、過去25年の歴史でWBA(2004-05)、サンダーランド(2013-14)、レスター(2014-15)の3クラブのみ。レスターは“奇跡の残留”でこのジンクスを破り、FW岡崎慎司とMFエンゴロ・カンテ(現チェルシー)らが加入した翌シーズンに、今度はもう一つのジンクスどおりにプレミアリーグ初優勝を成し遂げた。

 今季のプレミアリーグで前半戦を最下位の20位で折り返したのはスウォンジー。今夏にバイエルンからMFレナト・サンチェス、シティからFWウィルフリード・ボニーらが加入したが、ここまで3勝4分12敗と低迷している。今月20日にはポール・クレメント前監督を解任し、23日のクリスタル・パレス戦はU-23チームのコーチを務めていたレオン・ブリットン氏が暫定的に指揮を執った。勝ち点1差の19位にWBA、同3差の18位にボーンマスと残留争いは混戦模様だが、ジンクスどおりにスウォンジーが降格となれば、2011-12シーズンに初のプレミアリーグ昇格を果たしてから7年目で初の降格になる。

 もちろん、ジンクスはあくまでジンクス。シーズンはまだ折り返したばかりで、冬の移籍市場で各チームがどんな補強に動くかによって後半戦の行方も分からなくなるだろう。上位チームはリーグ戦に加えてUEFAチャンピオンズリーグやカップ戦など、休む暇もなく数多くの試合をこなさなければならない。2位以下のチームにはマンチェスター・シティの独走を止め、今季のプレミアリーグをさらに盛り上げてほしいところだ。そして、スウォンジーは残留に向けて、まずはだれが監督に就任するのか。下位に低迷しているチームにとっては、1試合1試合が生き残りを懸けた大一番になる。

 世界最高峰の選手たちが集うプレミアリーグの結末は“クリスマスのジンクス”どおりに優勝、降格が決まってしまうのか。クリスマス時点の順位も頭に入れたうえで、後半戦の戦いを見守るのもプレミアリーグの楽しみ方の一つだ。

▼クリスマス時の首位チーム
※カッコ内はシーズン終了時の順位
1992-93:ノリッジ(3位)
1993-94:☆マンチェスター・U(1位)
1994-95:☆ブラックバーン(1位)
1995-96:ニューカッスル(2位)
1996-97:リバプール(4位)
1997-98:マンチェスター・U(2位)
1998-99:アストン・ビラ(6位)
1999-00:リーズ(3位)
2000-01:☆マンチェスター・U(1位)
2001-02:ニューカッスル(4位)
2002-03:アーセナル(2位)
2003-04:マンチェスター・U(3位)
2004-05:☆チェルシー(1位)
2005-06:☆チェルシー(1位)
2006-07:☆マンチェスター・U(1位)
2007-08:アーセナル(3位)
2008-09:リバプール(2位)
2009-10:☆チェルシー(1位)
2010-11:☆マンチェスター・U(1位)
2011-12:☆マンチェスター・C(1位)
2012-13:☆マンチェスター・U(1位)
2013-14:リバプール(2位)
2014-15:☆チェルシー(1位)
2015-16:☆レスター・シティ(1位)
2016-17:☆チェルシー(1位)

▼クリスマス時の最下位チーム(1994-95まで22チーム、以降は20チーム)
※カッコ内はシーズン終了時の順位

1992-93:★ノッティンガム・フォレスト(22位)
1993-94:★スウィンドン・タウン(22位)
1994-95:★イプスウィッチ(22位)
1995-96:★ボルトン(20位)
1996-97:★ノッティンガム・フォレスト(20位)
1997-98:★バーンズリー(19位)
1998-99:★ノッティンガム・フォレスト(20位)
1999-00:★シェフィールド・ウェンズデイ(19位)
2000-01:★ブラッドフォード(20位)
2001-02:★イプスウィッチ(18位)
2002-03:★ウエスト・ハム(18位)
2003-04:★ウルバーハンプトン(20位)
2004-05:WBA(17位)
2005-06:★サンダーランド(20位)
2006-07:★ワトフォード(20位)
2007-08:★ダービー・カウンティ(20位)
2008-09:★WBA(20位)
2009-10:★ポーツマス(20位)
2010-11:★ウエスト・ハム(20位)
2011-12:★ブラックバーン(19位)
2012-13:★レディング(19位)
2013-14:サンダーランド(14位)
2014-15:レスター・シティ(14位)
2015-16:★アストン・ビラ(20位)
2016-17:★ハル・シティ(18位)
(ゲキサカ編集部 清水祐一)

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