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いわきFCの「隠し玉」…熊本工、江戸川大と“非エリート”赤星魁麻という原石

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磨けば光る逸材ということを十分に示したFW赤星魁麻

[2.8 パシフィック・リム・カップ1回戦 ソルトレイク2-1いわき アロハ・スタジアム]

 チャンスの数では圧倒的に上回っていた。しかし東北社会人リーグ1部のいわきFCは、アメリカMLSのレアル・ソルトレイクに1-2で惜敗。10日の大会最終日は、2年連続で3位決定戦に回ることになった。

 ただしプレシーズンということを考えれば、収穫も少なくない試合だった。最大の発見は3トップの中央で先発したFW赤星魁麻。千葉県1部の江戸川大から今季より加入するルーキーだ。

 得点こそなかったが、前半13分にクロスバーに当たるシュート。後半13分にはクイックFKに反応。これから打ったシュートもわずかに枠を捉えなかったが、大卒ルーキーがMLSクラブを相手に脅威になり続けた。

 自他ともに認める“無名”の存在。これまでエリート街道を歩んできたわけではなく、本サイトでも過去に一度も名前が登場したことがない。熊本工高卒業後は機械製作の会社に就職しようとしたが、叶わなかったことから江戸川大に進学してサッカーを続けることになったほど。田村雄三監督も「隠し玉です」と話す原石だ。

 しかしやるからには真剣に。大学4年時には主将に就任。人工芝ピッチ2面が完成するなど、大学が強化を進めたタイミングも重なり、千葉県1部リーグ初優勝に導き、大学の歴史に名を刻んだ。卒業後のJクラブへの入団の夢は叶わなかったが、いわきFCでサッカー選手としてのキャリアをスタートさせることを決めた。

 チームを勝利に導けなかったことで、「今日負けたのは僕のせいだと思っています」と責任を背負いこんだ22歳。ただし指揮官も「ストライカーとしてわがまま感を出してほしい」と注文をつけるが、収穫のひとつに「彼自身がチーム内で認めてもらえたこと」と挙げた。

磨けば光る逸材であることを示した。あとは結果。「ガタイをよくしたい」と“いわきFCボディ”を作り上げながら、ストライカーとしての進化を求めていく。

(取材・文 児玉幸洋 取材協力 アンダーアーマー)

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