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ブンデス昇格組を選んだ堂安律、期限付きで加わったビーレフェルトにとっては“大物”

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ビーレフェルトに加入したMF堂安律

 ビーレフェルトは5日、PSVから日本代表MF堂安律を1年間のレンタルで獲得したことを発表。同選手は、ブンデスリーガ昇格組の同クラブではワンランク上のカテゴリーの補強と見られているかもしれない。

 ブンデスリーガが1963-64シーズンに創立されて以来、これまで通算17シーズンを1部に所属してきたビーレフェルト。過去20年間を見ても11シーズンは2部、3シーズンは3部で過ごすこともあった同クラブだが、昨シーズン2部の首位として国内最高の舞台に復帰することに。そんなビーレフェルトが、通常なら年々リーグタイトルを争うエールディビジ2強のクラブ、PSVから選手を加えることに成功。クラブレコードの補強が2008年夏に200万ユーロ(当時約3億3000万円)で獲得した選手であるだけに、レンタルとは言え昨夏には750万ユーロ(当時約9億円)でフローニンゲンからPSVに渡った“大物”を迎えたのだから周囲に大きな驚きを与えたのだ。

 5日、クラブ公式ツイッターで堂安の加入が発表されると、ファンたちも早速反応。「なんという補強だ!オーマイゴッド」「なんてクールなことだ!」などと興奮気味なリプライが寄せられると同時に、「脱帽する、ミスター・アラビ」「ドモアリガート、ミスター・アラビ」「素晴らしいレンタル移籍!よく頑張った」などと強化部長を務めるサミル・アラビGM(ゼネラルマネジャー)の手腕を褒め称える声も続々。A代表に選ばれる選手が2人しか在籍していなかったビーレフェルトに、アウクスブルクからベネズエラ代表FWセルジオ・コルドバに加え、さらに堂安も連れてくることができて周囲も歓喜に沸いたようだ。

 公式ウェブサイトに掲載の声明からも取引の成立への喜びが伝わってくる。アラビGMは「ブンデスリーガでの我々の目標を達成するため、リツといった重要なピースを我々の攻撃陣に加えることができて嬉しい。まだ年齢が若いにも関わらず、彼は国際的な舞台ですでに豊富な経験を持っており、うちのチームにとって、それは彼がオランダや日本代表チームで証明してきたプレー能力と同様にプラスになるだろう」と歓迎。また、ウーベ・ノイハウス監督も「リツはとてもトリッキーなプレーを見せるスピーディーなウィンガーで、フィニッシュにおいてもチャンスメークにおいてもクオリティーを持っている。それに攻撃ではフレキシブルに起用できる」と期待を寄せている。

 一方、「昨シーズンの試合はいくつか見ました。とても印象深かったです」と語った堂安は「ブンデスリーガでプレーするという展望も僕の決断において非常に大きかったです」ともコメント。このような場で、ロジャー・シュミットを新監督に招へいしたPSVでの状況や事前にオランダメディアで伝えられた東京オリンピック出場への危機感には触れることはなかったが、自身の目標を達成するために出場機会をより見込めるチームで、リーグランキングでは上のブンデスリーガ挑戦を選んだとほのめかすコメントを残していた。

 22歳のそういった志向が右ウィングの補強が急務となっていたビーレフェルト移籍に結びついたのかもしれない。しかも、地元メディア曰く同クラブにとって条件は良かった模様。『ヴェストファーレンブラット』によると、PSVとの間ではレンタル料が発生しておらず、選手に対する給与に関してクラブ内で定められている給与体系にもフィットするという。また、ビーレフェルトは買い取りオプションを確保したが、それを行使するための違約金が「おそらくドウアンの市場価値程度の金額に設定されているため、アルミニアはそれを支払うことを望まず、可能ともしない」とも伝えられた。ただ、ドイツ誌『キッカー』では、ビーレフェルトが買い取りオプションについては明かしていないため、その「有無は不明」と指摘されている。

 いずれにせよ、フローニンゲンの中心的な存在としてステップアップ果たすもPSVでは伸び悩んでいた様子の堂安だが、海外挑戦4年目にして新たな環境での再スタートを決心。2020-21シーズン、残留争いが続くと予想される弱者チームの一員として、チャンピオンズを制した絶対王者のバイエルンや世界中の逸材がプレーするドルトムントらとの同リーグでの戦いで、得られるものは大きいかもしれない。

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