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アンフィールドに日本発の巨大壁画が登場!! モデルはリバプールが選んだ “5つの名場面”

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左から南野拓実、スティーブン・ジェラード、ジョルジニオ・ワイナルドゥム

 リバプールの本拠地アンフィールドに4月下旬、日本人漫画家が描いた巨大イラスト壁画が登場した。大役を担ったのは週刊少年マガジンで『炎炎ノ消防隊』を連載していた大久保篤さん。クラブの歴史を刻んだ5つの名シーンが7m×11mの大スケールで描かれ、新たな記念撮影スポットとなっている。

 この壁画は、リバプールとオフィシャル・グローバル・パートナーシップ契約を結んでいる講談社との共同プロジェクト『inspiRED』(インスパイアード)の一大企画。講談社のグローバルパーパス『Inspire Impossible Stories』に合わせ、クラブ側が歴史に残る5つのシーンを選出し、象徴的な役目を果たした5人のイラストが描かれた。

 壁画は4月24日に行われたプレミアリーグ第34節エバートンとの“マージーサイド・ダービー”でお披露目された。マンチェスター・シティとのデッドヒートを繰り広げているリーグ戦をはじめ、UEFAチャンピオンズリーグ、FA杯、カラバオ杯と史上初となる4冠獲得を狙うリバプール。そんな歴史的瞬間を目指すクラブの聖地に日本発のランドマークが誕生した。

▼巨大壁画に描かれている場面
スティーブン・ジェラード(現アストン・ビラ監督)
 2004年12月8日の欧州CLグループリーグ第6節オリンピアコス戦、リバプールは2勝1分2敗という崖っぷちで最終節を迎えていた。決勝トーナメント進出のためには得失点差を踏まえて2点差での勝利が必要な状況。ところが前半に元ブラジル代表FWリバウドにFKを直接決められ、実質的に3点ビハインドに追い込まれた。

 それでも後半2分、FWフロラン・シナマ・ポンゴル・ポンゴルが同点ゴールを決めると、その後も苦しみながらも同35分にFWニール・メラーが追加点を決め、逆転ムードは最高潮。そこで試合を決めたのがジェラードだった。メラーの落としにミドルレンジで反応すると、ミドルレンジから右足一閃。代名詞の低弾道シュートを突き刺し、グループリーグ突破に導いた。

 リバプールはこの年、決勝戦でミランを破って5回目の欧州タイトルを獲得。決勝戦で0-3から追いつき、PK戦を制した“イスタンブールの歓喜”は広く知られるが、このジェラードのゴールがなければ決勝トーナメントに進むことさえできていなかった。そうした物語を語り継ぐべく、偉大なレジェンドの姿がこの壁画に描かれた。

ユルゲン・クロップ監督
 2016年4月14日のUEFAヨーロッパリーグ(EL)準々決勝。ドルトムントの本拠地での第1戦を1-1の引き分けに持ち込んだリバプールだったが、第2戦では前半9分までに2失点を奪われ、厳しい状況に追い込まれていた。

 後半3分にようやくFWディボック・オリギのゴールで1点を返すも、同12分に再び失点する絶望的な展開。同21分にMFフィリペ・コウチーニョのミドルシュート、同33分にDFママドゥ・サコのヘッドでなんとか2戦合計4-4に追いついたが、アウェーゴール差の劣勢は変わらず、万事休すかと思われた。

 ところが同45+1分、MFジェームズ・ミルナーのクロスをDFデヤン・ロブレンが頭で押し込み、土壇場で決勝点を奪取。古巣に挑んだクロップ監督はハーフタイム、“イスタンブールの歓喜”を思い返すよう選手たちを鼓舞したそうだが、そんな奇跡を再現した指揮官のガッツポーズが名シーンとして描かれた。

ジョルジニオ・ワイナルドゥム
 2019年5月7日の欧州CL準決勝第2戦。敵地でのバルセロナ戦に0-3で敗れたリバプールは絶望的ともいえる状況でアンフィールドに帰ってきた。前半7分、上記②のシーンと同様にオリギが大逆転の口火を切ったが、依然として2戦合計1-3。その後もなかなかゴールを奪えず、時間ばかりが過ぎていった。

 ところが、そこで停滞ムードをぶち壊したのが後半から投入のワイナルドゥムだった。まずは後半9分、DFトレント・アレクサンダー・アーノルドからのクロスを右足で合わせて1点差に詰め寄るゴールを奪取。さらに同11分、左を攻め上がったMFジェルダン・シャキリのクロスを高い打点のヘッドで決め、瞬く間に同点に導いた。

 同34分にはアレクサンダー・アーノルドの意表を突いたクイックCKからオリギが決めて勝ち越しに成功し、リバプールは大逆転で決勝進出。その年、トッテナムとの決勝戦を制して6回目の欧州王者に輝いたが、投入からわずか11分間で奇跡を演出したオランダMFがその偉業を代表し、壁画に描かれる形となった。

アリソン・ベッカー
 2021年5月16日のプレミアリーグ第36節、リバプールは2部降格が決まっていたWBAに思わぬ苦戦を強いられていた。その年は負傷者の続出によって中盤戦に大失速し、アンフィールド6連敗という屈辱的な記録も残した。それでもようやく本来のパフォーマンスを取り戻し、前節にはマンチェスター・Uとのアウェーゲームを制したタイミングでの一戦だった。

 前半15分に守備陣の乱れを突かれて失点し、同33分にFWモハメド・サラーのスーパーゴールで追いつくも、1-1のままハーフタイムへ。欧州CL圏内4位のチェルシーとは勝ち点4差となっており、引き分けは許されない状況。しかし、後半に入っても意地の守りを固めてきたホームチームをなかなか崩せない。

 そこでドラマを呼んだのが守護神のアリソンだった。後半終了間際の同45+5分、アレクサンダー・アーノルドの左CKに飛び込むと、自らヘディングシュート。懸命に体をそらして放ったボールがゴール右隅に吸い込まれ、土壇場での3ポイントに導いた。その後、リバプールは連勝を続けてフィニッシュし、3位で欧州CL出場権を獲得。まさかの一撃で今季の4冠狙いに大きな布石を打った守護神の姿が壁画に描かれた。

南野拓実
 2021年12月22日のカラバオカップ準々決勝レスター・シティー戦、リバプール史上初のアジア人選手となった日本人が奇跡を導いた。

 前半13分までにレスター・シティーに2ゴールを奪われ、一発勝負のカップ戦で厳しい立ち上がりを迎えたリバプール。同19分にMFアレックス・オクスレイド・チェンバレンのミドルシュートで1点を返したが、同33分にもミドルシュートから再び失点し、一つのタイトルを失いかけていた。

 それでも後半、南野がチームを救った。まずは後半23分、南野のパスからFWディオゴ・ジョタがゴールを決めて1点差に詰め寄る。そして1点ビハインドの同45+6分、最後にドラマが待っていた。右サイドを攻め上がったミルナーがクロスを送ると、ゴール前で待っていた南野が胸トラップから右足ボレーシュート。土壇場で同点ゴールを叩き込んだ。

 敗退濃厚の2点ビハインドから1ゴール1アシストを記録した南野。その後、リバプールはPK戦でレスターを破ると、そのまま順調に勝ち上がって9度目のカラバオ杯優勝を成し遂げた。史上初の4冠獲得を目指す中、ひときわ大きな意味を持つタイトル獲得。その偉業に貢献した南野の姿も壁画に描かれ、クラブの歴史に名を刻んだ。

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