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マジョルカCEOと新主将が異例の来日イベント!! “初解禁”新ユニは日本企業タイカが胸スポンサー継続「新たな付加価値を」

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アルフォンソ・ディアスCEO、MFダニ・ロドリゲス、鈴木大登社長(左から)

 ラ・リーガのマジョルカが1日、東京都内のスペイン大使館で、来季の新ユニフォームの発表記者会見を行った。チームカラーのレッドにゼブラ柄を模したデザインのユニフォームに身を包んだMFダニ・ロドリゲスは「これを着ると力がみなぎるようで、早く来季が始まらないかとワクワクしている」と意気込みを語った。

 D・ロドリゲスによると、2019-20シーズンと昨季の2年間にわたってマジョルカで共にプレーしたMF久保建英に対しても「日本に来ると言ってはいけないと言われていた」と隠していたほどの極秘来日。それでも空港などでは気づかれたといい、「シャツの紹介で来たと言っても信じてもらえず、どこかのチームに入るんじゃないかという話になった(笑)」と思わぬハプニングにも見舞われていたという。

 そんなD・ロドリゲスは18-19シーズンに加入し、来季が5年目。前主将のGKマヌエル・レイナやMFサルバ・セビージャらベテラン選手が退団したこともあり、新たに主将を任されることになった。「昇格後のシーズンは非常に厳しいというのがある中で、それを維持しないといけないプレッシャーもあったが、いい形で終わることができた」。昨季の残留争いを振り返ったD・ロドリゲスは「来季は期待していただけるシーズンになる。クラブを取り巻く環境全てに夢と期待があると思っている。来季はどんどん成長を続けながら定着するよう、リーグの中で安心して見ていただけるところを目指したい」と決意を語った。

 なおこの日、クラブからはアルフォンソ・ディアスCEOも出席。ピッチ内外のキーパーソンがわざわざ来日し、極東の地でお披露目イベントを開くという珍しい試みが実現した。そのきっかけとなったのは、昨季からユニフォームの胸スポンサーを務める株式会社タイカの存在だった。

 同社はボールペン・シャープペンシルのグリップや電子機器、自動車などに使われている「αGEL(アルファゲル)」を開発・製造する国産メーカー。これまでもサッカーを中心としたスポーツ支援を行っており、国内では他にも清水エスパルスや中央大サッカー部のスポンサーを務めている。

 同社がマジョルカのスポンサーとなったのは昨年8月。ラ・リーガのユニフォームスポンサー規制が変更(賭博につながる企業が排除)された影響もあり、シーズン開幕直後はユニフォームの胸部が空白となっていた中、鈴木大登社長のオファーで「αGEL(アルファゲル)」のロゴがプリントされることになった。

 昨季は久保が所属していたこともあり、日本企業のスポンサードは自然なものとして受け止められていた。「声をかけさせていただいてから8日間で契約が決まった。そのスピード感には当事者であるわれわれも驚いた。実は最初の試合はまだ入金をしていないにもかかわらず、ロゴを掲載していただいていた。われわれとしてもありがたかった」。当時を振り返ってそんなエピソードを明かした鈴木社長も「久保選手が在籍されていたことで非常に露出が増えた。想定外の反響があってありがたかった」と感謝の言葉を述べた。

 ところが、新シーズンは久保のローン移籍終了が既定路線とみられている。実際に、ディアスCEOは久保の去就について「タケは重要な仕事をしてくれた。ピッチ内、ピッチ外、ロッカールームでも頑張ってくれた」としつつも、「常に日本の選手もチェックしている。オプションがあるのかを見ながらやっている」と述べたのみ。今回の契約延長は“日本人選手ありき”のスポンサードではないようだ。

 そうした中、鈴木社長は「新たな付加価値を生むため、これまでやられていなかったことを共にやっていこうとしている」と強調。「社員もこうしたグローバルクラブのスポンサーをさせていただくことで士気が上がっているし、われわれの本業もうまく成長軌道に乗せながら、いろんなところで社会に貢献していきたい」と意気込みを語った。

 またディアスCEOも「日本においてこれからも成長したいと思っているし、その点についてタイカコーポレーションさんにはよく手伝っていただいている。われわれも懸命に頑張ることで恩返ししていきたい」と決意をアピール。同社との連携について「鈴木社長とは同じような視点で物事を見ている。誠実さ、努力の精神、価値観、人とは違うイノベーションの精神を共有している」と良好な関係をのぞかせていた。

 ピッチ内では「1部リーグに定着するチームになるようにしたい」(ディアスCEO)というチャレンジが行われる中、ピッチ外でも日本企業と欧州クラブによる大きな挑戦がスタートする。鈴木社長は「これまでグローバルなスポンサーをやったことがなかったので、昨季は何がスタンダードかがわからなかった。昨季をベースにし、今年は何ができるかというときにマジョルカと相談しながらやっていきたい。日本のチームとスペインのチームの考え方、やり方は違う。国によって違うとも感じている。スペインにはスペイン流のやり方があるので、うまく順応していければと思っている」と前を見据えた。

(取材・文 竹内達也)
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