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ビニシウスが相次ぐ差別被害に怒り…ラ・リーガのテバス会長は反論、火に油を注ぐ状況に

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差別問題は早急な解決が望まれる

 21日に行われたラ・リーガ第35節・バレンシアレアル・マドリーで、ファンによる人種差別的な行為で試合が一時中断するシーンがあった。被害に遭ったのはFWビニシウス・ジュニオール。相次ぐ差別事案にリーグへの批判も高まっている。

 差別事案が発生したのは後半33分。R・マドリーのFKが行われる直前にビニシウスはゴール裏スタンドで観戦するバレンシアファンを指差し、差別的な発言があったことを主審らに伝える。これにバレンシアファンが反応し、ビニシウスに対してさらに罵声を浴びせるような状況が国際映像で放映された。

 リーグによると、過去2シーズンに差別事案を裁判所等に報告した回数は9回だという。改善の兆しが見えないことに、ビニシウスはインスタグラム(@vinijr)で「人種差別はラ・リーガでは普通のこと。リーグも連盟も普通のことだと考え、相手チームは奨励している」と怒りを伝える。リオネル・メッシやクリスティアーノ・ロナウドら多くのスター選手が輝きを放った同リーグは今や「レイシストのもの」になっており、「スペインはレイシストの国としてブラジルで知られている」と強く非難した。

 この投稿にチームメイトやビニシウスの母国・ブラジルのクラブも続々と連帯を表明。ブラジル連盟は「人種差別が犯罪だといつになったら気づくのだろうか?」(@CBF_Futebaol)とTwitterに投稿している。

 早急な対応が必要とされるラ・リーガだが、ハビエル・テバス会長の反応はビニシウスへの不満だった。同会長は「人種差別に対してラ・リーガができることを説明しようとしたが、あなたは合意した2つの日程のどちらにも現れなかった。ラ・リーガを批判して罵倒する前に、正しく知っておくべき」とし、「それぞれのできること、我々がおこなった取り組みをしっかりと理解してほしい」と呼びかけた。

 これにビニシウスは「またしてもレイシストを批判せず、会長は僕を攻撃するためにSNSに現れた」と批判。「あなたは差別について話し合う友達ではない。行動と処分をしてほしい。ハッシュタグキャンペーンでは変わらない」と伝える。しかし、テバス会長はリーグが権限の範囲内で厳格な対応をしていて、スペインやラ・リーガが人種差別をしているとする意見を「非常に不公平」と反論。また、同会長は多くの選手がプレーするラ・リーガで人種差別事案が9件という数字は「極めて特殊なケース」であることを示していると持論を展開している。

 人種差別についてラ・リーガは裁判所に報告し、裁判所が加害者の処分を決めることが基本。テバス会長はリーグが可能な行動には限界があり、最大限努力していることをアピールしたと思われるが、事態の解決には程遠い反応だった。

 なおR・マドリーは22日、憎悪犯罪として検察庁に訴状を提出したと発表している。

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