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スペインで新たなVAR論争…降格圏エスパニョールが“空中カメラ”によるゴール判定に試合無効を主張

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FWアントワーヌ・グリーズマンの疑惑のゴール

 ラ・リーガで降格圏19位に沈んでいるエスパニョールが25日、3-3で引き分けた第35節のアトレティコ・マドリー戦の無効を申し立てる声明を発表した。この一戦ではA・マドリーのゴール判定を巡って物議を醸していた。

 エスパニョールは23日に行われた第35節で、A・マドリーとホームで対戦。0-1で迎えた前半44分、A・マドリーのFWアントワーヌ・グリーズマンのシュートをGKフェルナンド・パチェコがなんとかかき出したが、VARの介入の末、A・マドリーの得点が認められた。

 エスパニョールが疑問を呈したのは、VARレビューの際に使用された映像の正当性だ。ゴールラインテクノロジーが導入されていないラ・リーガにおいて、ゴール判定のVARチェックは通常、ゴールライン横のカメラで撮影された映像を用いて行われる。しかし、その映像ではボールがパチェコの身体で隠れており、正確な判定ができないはずだった。

 それでも判定は覆された。ラ・リーガ公式中継では、空中を動く“スパイダーカメラ”で撮影された映像のキャプチャがVARレビューに使用されたと説明。その画像も示されていたが、たしかにゴールラインとボールの間には一部芝目が見えており、ラインを割っているようにも思われた。

 それでも“スパイダーカメラ”はゴールラインの真上から撮影しているわけではなく、一定の角度がある場所から撮影しているため、ボールが完全にラインを割っていたかどうかを立証することはできないとみられる。このことにエスパニョールは問題提起した形だ。

 エスパニョールは一時0-3と引き離されながらも3-3に追いついた試合後、審判技術委員会に証拠画像の提出を要求。25日に返答があったといい、オペレーションルームで使用した画像や音声は公開できないとされた一方、“スパイダーカメラ”からの映像がVARレビューに使用されたという事実は確認したという。

 エスパニョールは25日、声明を発表。「ゴール判定に使われた唯一の画像はボールが完全にゴールに入ったかどうかを判定するのに不可能な視点から撮影されている」とした上で「クラブの分析でも、われわれがアクセスした第3者の分析でも、ボールはどの時点でも完全にはゴールラインを越えていないということを証明している」と主張した。

 加えて「決定的な証拠もないのに主審の判定が訂正されており、VARプロトコルに違反している」と指摘。「試合にルールの適用とテクノロジーの使用に明らかな過失があり、その結果、現在の順位にあるわれわれのクラブに取り返しのつかない損害をもたらした」と異例の判定修正手続きを糾弾した。

 また前節のバレンシア対R・マドリー戦で出されたFWビニシウス・ジュニオールのレッドカードが後日、撤回されたという事例を受けて、競技委員会が試合内の決定に介入するという前例も存在していると主張。本来であれば第33節セビージャ戦でのゴール判定にもこのロジックが活用されるべきだったとも訴えた。

 そうした要素を並べた上で、エスパニョール側は「われわれは昨日の試合に異議を申し立て、試合を無効にするための合意を求めていく」と発表。またVAR担当審判員の重過失に対しては追加の訴訟を行う構えも示唆している。

 ラ・リーガは残り2試合、残留争いがクライマックスを迎えている中、また新たなVAR論争が注目を集めている。

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