beacon

「受け止めているのは、ぜんぶ選手なんです」代表期間に集中する過剰な“注目”と“批判”…中国女子主将の悲痛な訴え

ポスト
Xに投稿
Facebookでシェア
Facebookでシェア
URLをコピー
URLをコピー
URLをコピーしました

中国女子代表

[9.29 アジア大会準決勝 北朝鮮女子 2-0 中国女子 エコパ]

 敗因を問う質問に答え続けた主将は、取材の終わりにもう一度、報道陣に語りかけた。「もっと辛抱強く見守って、私たちを信じてほしい」。アジア競技大会の準決勝で北朝鮮に0-2で敗れた中国女子代表。最終ラインを統率した主将DFウー・ハイヤンは、結果が出ないときこそ、困難の中で戦う選手たちに理解を寄せてほしいと訴えた。

 雨中の一戦は、中国が4-4-2の守備ブロックで北朝鮮の攻撃をしのぎ、前半を0-0で折り返した。しかし、後半8分にセットプレーからオウンゴールで先制を許すと、同33分にも失点。決勝進出を逃し、3位決定戦に回ることになった。

 試合後のミックスゾーンでは、中国メディアから矢継ぎ早に質問が飛び交った。守備的な戦い方、失点後の士気、決定力不足、セットプレーの精度、負傷者、雨の影響、体力面。ウー・ハイヤンは一つひとつに向き合い、試合前から0-0で耐えるつもりだったのかという問いには「そういう考えはありませんでした」と強調。今年3月の女子アジアカップではグループリーグで北朝鮮に勝っていた経験を挙げ、「先に失点しても、先に得点しても、難しい展開になる準備はしていた」と振り返った。

 それでも、「問題はどこにあったのか」と重ねて問われると、主将の言葉にも力がこもった。

「サッカーですから、勝つことも負けることもあります。ただ、もっと辛抱強く見守ってほしいです。若い選手も多く、中堅の選手たちも少しずつ成長しています。チームとしても、長い時間をかけて連係を高めていく必要があります」

 主将は強化の過程に向けられる疑問にも触れ、「皆さんが私たちにどれほど期待しているのか、私たちがいま経験していることを、本当に理解してくれているのか」と問いかけた。

 中国の攻撃不振をめぐっては、以前から現地メディアで取り上げられており、アンテ・ミリチッチ監督が国内リーグで外国籍選手が前線のポジションを占める状況を指摘していた。その見解についても聞かれたウー・ハイヤンは、リーグが集中開催からホーム&アウェーに戻り、リーグ自体のレベルを上げるために新たな外国籍選手が加わっていることなど、改革を続けていると説明した。

「リーグをもっと良くして、選手がより鍛えられるようにしたい。その過程には時間が必要です。今日何かをしたからといって、明日すぐに成果が出るわけではありません」

 もちろん、批判を拒んでいるわけではない。「私たちには見てもらう価値のある点もあります。でも、良くない点については、真摯に批判を受け止めます」。セットプレーの練習不足を疑う質問にも、繰り返し取り組んできたと答えたうえで、チャンスを決め切る力は改善が必要だと認めた。

 後半の間延びを体力の問題として問われた際には、日々の努力と、大会中に集中する注目との隔たりに悔しさをにじませる。

「私たちはいつも体力が足りないと思われていますよね。でも、ずっと改善に取り組んでいます。試合があるときには、いろいろなことに注目される。でも、試合がないときには、誰も目を向けてくれない。そうとしか言えません」

 囲み取材が終わろうとしたとき、ウー・ハイヤンはそれでも言葉を続けた。記者一人ひとりの目を見ながら、理解と信頼を求めた。

「報道するときには、私たちの前向きな部分も、もっと伝えてほしいです。チームはいま、多くの困難に直面しています。応援してくれる人はたくさんいます。でも、結果が悪くなったり、プレーが良くなかったりすると、批判が始まる」

 記者から「選手個人を批判しているわけではない」と返されても、主将は訴えた。「でも、受け止めているのは、全部選手なんです。本当に」。中国は10月2日の3位決定戦で、韓国との銅メダルを懸けた最後の一戦に臨む。

(取材・文 石川祐介)

●第20回アジア大会特集
石川祐介
Text by 石川祐介

「ゲキサカ」ショート動画

TOP