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[CL]敵地でのPK戦を制し、チェルシーがついに欧州の頂点に立つ

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 19日、UEFAチャンピオンズリーグ(欧州CL)は決勝戦を行った。07-08シーズン以来、2度目の決勝進出を果たしたチェルシー。リーグ戦を6位で終えたため、負ければ来季の欧州CLにも出場できない。絶対に勝利が求められる一戦だった。

 チェルシーの指揮を執るロベルト・ディ・マッテオ暫定監督は、下部組織出身で22歳のDFライアン・バートランドをスタメンで起用する驚きの采配を見せた。また、ハムストリングを痛めていたDFガリー・ケーヒルとDFダビド・ルイスの両CBも、無事にスタメンに名を連ねる。FWディディエ・ドログバとFWフェルナンド・トーレスの同時起用も噂されたが、ディ・マッテオ監督はドログバの1トップを選択した。

 立ち上がりから、指揮官の狙いははっきりと出る。バイエルンの右MFアリエン・ロッベンがボールを持つと、左SHに入ったバートランドと左SBアシュリー・コールが即座に対応する。バイエルンの左MFフランク・リベリーに対しても、右SHサロモン・カルーと右SBジョゼ・ボシングワが対応し、サイドで数的優位をつくった。

 チェルシーはしっかりと守備を固めて、速攻からゴールを狙う。前半7分にカルーがボールを持ち出し、ドログバにパスをつなぐ。ドログバが右サイドから上げたクロスはバートランドに合わなかったが、チームの狙いが見える攻撃だった。

 その後はボールをポゼッションするバイエルンを相手に、守備に追われる時間が続く。前半21分には右サイドに流れて来たロッベンに、リベリーとのコンビからゴールを脅かされたが、GKペトル・チェフが足でシュートをブロックして、得点を許さない。

 押し込まれていたチェルシーだが、前半31分、攻め上がったケーヒルがPA近くで倒されてFKを獲得した。これをMFフアン・マタが左足でゴールを狙ったが、ボールは上に外れて行く。同37分にも左サイドからのクロスをドログバが落としたボールを、MFフランク・ランパードが右サイドにつなぐ。カルーが意表を突いたシュートをニアサイドに放ったが、GKマヌエル・ノイアーにキャッチされた。バイエルンにゴールを脅かされ続けたチェルシーだが、0-0のままで前半を折り返すことに成功した。

 後半もバイエルンに押し込まれるが、時折鋭い攻撃を見せる。後半6分にはスローインを受けたドログバが、胸トラップから反転してシュートを狙う。ボールは左に外れたが、ノイアーのポジショングのズレを逃さなかった。

 少しずつボールをつなげるようになったチェルシーだが、逆に速攻を受ける場面も出てくる。後半10分にはロッベンのシュートをA・コールがブロックしたところをリベリーに押し込まれ、ゴールネットを揺らされたが、リベリーがオフサイドポジションにいたという判定に助けられた。

 後半15分を過ぎると、再び自陣深くに釘付けとなる。決定的なシュートも放たれるが、体を張った守備で凌ぎ続け、逆襲のチャンスを狙った。後半27分には右サイドのボシングワのクロスからカルーがゴール前に飛び込んだが、シュートを合わせることはできず。クリアーボールを再びボシングワが拾って中央に入れたが、GKノイアーにキャッチされる。そこからの速攻でロッベンにシュートを打たれたが、GKチェフが正面でキャッチしてゴールは許さない。

 後半28分にはベンチが動く。バートランドを下げて、MFフローラン・マルダを左サイドに入れた。その直後、マルダの入った左サイドからクロスが入り、GKがパンチングしたボールをドログバがボレーで狙ったが、ミートできずに決定機を生かせなかった。

 後半36分には右サイドからクロスを上げられると、MFトマス・ミュラーにヘディングシュートを許す。ここはGKチェフが防いだが、直後にも同じような形から、ミュラーが叩きつけたヘディングが、地面を叩き、チェフの頭上を越えてゴールに決まった。

 先制されたチェルシーは、カルーを下げてFWフェルナンド・トーレスをピッチに送り出した。後半45分、そのトーレスが前線で粘りこの試合チェルシーにとって最初のCKを獲得する。このCKをマタが蹴ると、ニアサイドでドログバが叩き込み、チェルシーが終了間際に同点に追いついた。

 得点を挙げたミュラーを下げたバイエルンに対し、チェルシーは攻勢を強める。ロスタイムにはマタが倒されてFKを獲得したが、ドログバが蹴ったFKは大きく上に外れて行った。ここで90分が終了し、試合は延長に突入する。

 延長に入り、ボールを回し攻め込むチェルシーは、F・トーレスがゴール前で倒されるが、笛は鳴らない。逆に延長前半3分、ドログバがリベリーをPA内で倒したと判定されて、PKを与えてしまう。しかし、この絶体絶命のピンチをチェフが救う。ロッベンが左に蹴ったボールに反応してブロック。こぼれたボールをしっかりと胸に収めて、得点を許さなかった。

 バイエルンはPKを獲得した時に負傷したリベリーが、FWイビチャ・オリッチとの交代となる。ピンチを凌いだチェルシーは、右サイドからF・トーレスがクロスを上げてチャンスをつくったが、2点目は挙げられずに1-1のまま延長前半を終える。

 延長の後半に入ると、またもチェルシーは前線にドログバを残して守備を固めた。ロッベンのシュートが枠外へ飛ぶなど、ピンチもあったが得点を許さず。試合は1-1のまま延長戦を終えて、PK戦へと突入した。

 PK戦はバイエルンが先行。ラームが右に蹴ったシュートは、チェフも反応して触ったが、ボールはゴールに決まった。チェルシーの1本目を蹴ったのはマタ。やや甘いコースに飛んだシュートは、ノイアーがストップした。

 バイエルンの2人目はマリオ・ゴメス。右下に低く速いボールを決めて、2-0とリードを広げた。チェルシーの2人目はダビド・ルイス。強烈なシュートを右上に叩き込み、2-1とする。

 バイエルンの3人目として登場したのは、GKのノイアーだった。ゴール左下に流し込み、3-1とリードを広げる。チェフは3本とも同コースに飛びながらも、止められない。チェルシーの3人目として登場したのはランパード。中央に強烈なシュートを決めて、3-2にする。

 バイエルンの4人目を務めたのは途中出場のオリッチ。右に蹴ったボールをチェフが弾き、スコアは3-2のまま。チェルシーの4人目のキッカーはA・コール。右サイドネットに決めて、3-3とチェルシーが追いついた。

 バイエルンの5人目は、シュバインシュタイガー。シュートはチェフの指先をかすめ、右ポストに当たり、ゴール前に転がる。まさかの失敗。最終キッカーは、前回の決勝で途中退場してしまい、PKを蹴ることのできなかった、ドログバ。右に飛んだGKノイアーの逆を突き、左に決めて、チェルシーが4-3で勝利。モスクワでの悪夢を消し去る初優勝を飾ると同時に、来季のCL出場権を獲得した。

 試合終了後の表彰式では、この試合で出場停止だったキャプテンのDFジョン・テリーと、決勝でゲームキャプテンを務めたランパード。近年のチェルシーを支えてきたロンドン育ちの2人が、ビッグイヤーを高々と掲げた。苦しんだシーズンだったが、終わってみればFA杯とCLの2冠という、最高の結末を迎えた。アウェーのミュンヘン、アリアンツ・アレナにはチェルシーの公式ソング『ブルー・イズ・ザ・カラー』が鳴り響いていた。

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