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ジルーが決勝ヘッド!!連覇狙うフランスが4強へ!! イングランドはケイン“2回目”PK失敗で反撃ならず

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FWオリビエ・ジルーが決勝ゴール

[12.10 カタールW杯準々決勝 イングランド 1-2 フランス アルホール]

 カタールワールドカップは10日、準々決勝を行い、フランスイングランドを2-1で下した。1-1で迎えた後半33分にフランスFWオリビエ・ジルー(ミラン)が勝ち越しゴールを決めると、直後にイングランドにPKが与えられたが、この日2度目のPKとなったFWハリー・ケイン(トッテナム)が失敗。エースに明暗が分かれる形で、フランスが初の連覇にまた一歩前進した。

 決勝トーナメント1回戦ではイングランドがセネガル、フランスがポーランドを破っての突破。いずれも中5日の準備期間があったため、スターティングメンバーは入れ替えずに臨んだ。強盗被害でチームを一時離脱していたイングランドのFWラヒーム・スターリング(チェルシー)はベンチに復帰した。[スタメン&布陣]

 ファーストプレーから試合球がパンクするという波乱の立ち上がりを迎えた一戦はフランスの優勢でスタート。前半7分には左ウイングのFWキリアン・ムバッペ(パリSG)、同9分には右ウイングのFWウスマン・デンベレ(バルセロナ)からの鋭いクロスがゴール前に送られ、イングランドの守備陣を苦しめていた。

 そして前半11分、フランスはMFアドリアン・ラビオ(ユベントス)が振り向きざまにクサビのパスを入れると、右サイドのデンベレが突破を開始。MFアントワーヌ・グリーズマン(A・マドリー)とのワンツーで深くえぐってクロスを入れたが、ジルーのヘディングシュートはGKジョーダン・ピックフォード(エバートン)の正面に飛んだ。

 それでも前半17分、フランスはFWブカヨ・サカ(アーセナル)の突破をDFダヨ・ウパメカノ(バイエルン)が阻むと、果敢な持ち上がりからムバッペとパス交換。高い位置から右サイドに展開し、デンベレ、グリーズマンとつないだボールをMFオーレリアン・チュアメニ(R・マドリー)が受け、ミドルレンジから右足を振り抜く。これがMFジュード・ベリンガム(ドルトムント)の股下を真っ直ぐに抜け、ゴール左隅に突き刺さった。

 2000年生まれ22歳のチュアメニは、今年3月25日に行われた国際親善試合コートジボワール戦に続き、これがA代表通算2ゴール目。W杯で着実に存在感を放っている若きダイナモが準々決勝の大舞台で値千金の先制ゴールを奪った。

 一方、これで終われないイングランド。前半19分、失点につながるボールロストをしたサカが果敢なドリブル突破でFKを奪い、これをDFルーク・ショー(マンチェスター・U)が壁の間を狙うが、これはGKウーゴ・ロリス(トッテナム)の正面。同22分にはMFジョーダン・ヘンダーソン(リバプール)のスルーパスからケインが抜け出してシュート、同29分にはケインがミドルレンジから狙うも、いずれもチームメートのロリスに阻まれる形となった。

 ケインは前半25分にも、ペナルティエリア右のギリギリのところでウパメカノに後ろから倒される場面があったが、ファウルを告げるホイッスルは鳴らされずに不発。同30分過ぎからは拮抗した展開となり、同39分にはフランスがグリーズマンのセットプレーからDFテオ・エルナンデス(ミラン)の折り返しにムバッペが反応するも、シュートは大きく枠を外れ、そのままハーフタイムを迎えた。

 それでも一転、後半は動きの多い展開となった。まずは2分、イングランドはMFフィル・フォーデン(マンチェスター・C)の左CKは相手にクリアされたが、L・ショーが収めたボールをベリンガムが右足一閃。だが、枠内を突いたボールはまたもロリスに阻まれる。さらに7分、鋭い突破を見せたサカのクロスが相手に阻まれ、こぼれ球からヘンダーソンが狙ったが、これは大きく枠を外れた。

 それでも後半8分、イングランドはカウンターからサカが右サイドを突破すると、切れ味鋭いカットインでチュアメニのファウルを誘発。良い時間帯にPKを獲得した。キッカーはケイン。緊張した面持ちで一度ボールを置き直し、チームメートのロリスの顔をじっと見つめると、狙ったコースは向かって左。これが見事にネットを揺らし、同点に追いついた。

 ケインはこれでイングランド代表通算53ゴール目。エバートンやマンチェスター・Uなどで活躍したFWウェイン・ルーニー氏に並び、トップタイに立った。

 追いつかれたフランスは後半10分、ジルーのボレーシュートがピックフォードを襲うと、同12分にはムバッペが強引なドリブル突破でDFカイル・ウォーカー(マンチェスター・C)を抜き去り、折り返しのボールを配球。見応えあるマッチアップから絶好のチャンスを作ったが、デンベレがシュートを打ち切れず、得点にはつながらなかった。

 対するイングランドも後半15分、サカとフォーデンが積極的なドリブルでフランス守備陣を混乱に陥れ、しっかりと攻め手を見せる。同25分にはサカの被ファウルで得たFKをヘンダーソンがゴール前に入れると、DFハリー・マグワイア(マンチェスター・U)がフリーでヘッド。ところがこれも枠を捉えることはできなかった。

 なおも攻めるイングランドは後半26分、左サイドを攻め上がったL・ショーのクロスにサカが大外から飛び込むも、これも枠外。フランスは同32分、MFアドリアン・ラビオ(パリSG)のクロスをデンベレが頭で落とし、ジルーがボレーで狙ったが、これはピックフォードのスーパーセーブに阻まれた。

 それでも後半33分、フランスがまたしても試合を動かした。グリーズマンの左CKは相手にクリアされたが、セカンドボールをすぐに左サイドに展開し、再びグリーズマンがクロスを送ると、ニアサイドで合わせたのはジルー。直前にビッグチャンスを逃していたばかりの背番号9が今度は完璧なヘディングシュートを突き刺した。

 決勝トーナメント1回戦のポーランド戦でも得点を挙げていたジルーはこれで今大会4ゴール目。前回のロシア大会ではノーゴールのまま優勝に導いていた36歳が4年越しの大舞台で圧巻の得点力を発揮した。

 ところが後半35分、イングランドはすぐさまビッグチャンスを迎えた。左サイドからのクロスにエリア内で反応したMFメイソン・マウント(チェルシー)がDFテオ・エルナンデス(ミラン)に倒されると、VARの介入によりPKを獲得。キッカーは再びケイン。ところが今度のキックは大きく枠を外れ、同点のチャンスを逃した。

 交代選手を使いながらなんとか反撃を狙いたいイングランドだが、フランスの最後まで衰えない出足とカウンターの脅威に押され、なかなか前に出ることができない。終了間際にはマグワイアがゴール前でFKを獲得したが、FWマーカス・ラッシュフォード(マンチェスター・U)のキックは枠外。そのままタイムアップを迎え、フランスが20年ぶりの大会制覇を成し遂げた前回大会に続く、準決勝進出を決めた。

(取材・文 竹内達也)

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