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「まだここに居たい」と願ったメッシ、奇跡の逆転劇に涙の胴上げ「僕がPKを決めていれば…」

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FWリオネル・メッシ(インテル・マイアミ)

[7.7 W杯決勝T2回戦 アルゼンチン 3-2 エジプト アトランタ]

 数々の修羅場を潜り抜けてきた“神の子”さえも涙する奇跡の大逆転劇だった。

 アルゼンチン代表のFWリオネル・メッシ(インテル・マイアミ)は自らの1ゴール1アシストでW杯ベスト8に導いたエジプト戦後、「このチームが成し遂げたことは本当にすごいことだ。とにかく嬉しい。みんなが僕たちのしていることをこれからも楽しみ続けられることが嬉しいんだ」としみじみと喜びを語った。

 後半23分の時点で0-2と追い込まれ、ベスト16敗退の危機が迫っていた王者アルゼンチン。メッシが感じていたのは窮地を招いた責任だった。

 前半15分に先制点を与えた後、絶好のタイミングで巡ってきた同21分のPKは無情にも相手GKに阻まれた。同30分には直接FKが右ポストに弾かれ、試合から見放されているようにも思われた。

「とても大きなフラストレーションを感じていた。もし僕がPKを決めていれば、試合の流れも変わっていたと思う」

 それでも、負ければ6度目のW杯が終わる一発勝負。諦められるはずはなかった。

「相手にゴールを決められたことを除けば、僕たちはいい状態にあった。マック・アリスターとフリアンにはゴールキーパーが倒れ込むような明らかなチャンスもあった。そんなことが重なっていたから、このチームはまだ戦い続ける価値がある、挑戦し続ける価値があると思っていたんだ」

 だからこそ0-2に追い詰められた後も、うつむくことなく、不敵に笑った。そして全てを変えた。

 後半34分、まずは右サイドからのクロスをDFクリスティアン・ロメロに届け、1点を返すゴールをアシストした。そして続く同37分、驚異的なドリブル突破から送ったクロスはFWラウタロ・マルティネスの枠外ヘッドに終わったが、同38分、自身のクロスでゴール前に混戦を生むと、最後は味方の落としを受けて自ら左足ボレーで叩き込んだ。

 たった5分足らずでの奇跡的な同点劇。エースの働きで勢いづいた王者は、もう止まらなかった。

 最後は後半アディショナルタイム3分、後輩たちが仕上げた。アルバレスのサイドチェンジにL・マルティネスが抜け出すと、右からのハイクロスに反応したのはMFエンソ・フェルナンデス。偉大な背番号10の背中を追って育ち、カタールW杯で初めて世界舞台に立ち、共にトロフィーを掴み取った3人による劇的な決勝ゴールだった。

 誰もが信じるエースが反撃の主役を担い、若者たちが仕上げた逆転劇。試合後、アルゼンチンの選手たちはスタジアムの大半を埋め尽くした水色のサポーターと歓喜を爆発させていた。その感動的なシーンの中で、主役の背番号10は少し離れた場所で涙ながらにその光景を見つめていた。そして様子に気づいた仲間たちに囲まれ、胴上げで何度も宙を舞った。

「本当にほっとした。0-2で本当に苦しい状況だったけど、そこから試合をひっくり返せたことへの安堵の気持ちだった。0-2という劣勢からの逆転は決して簡単ではない。特にこのW杯のような大会では誰も簡単に勝たせてくれないから。だから喜びとホッとした気持ち。まだ戦い続けたかったし、今日で終わらせるわけにはいかなかった。まだここにいたかった。そういったことが全て重なったんだ」

 結果だけ見れば5戦全勝だが、ラウンド32では初出場カーボベルデに延長戦の大苦戦を演じ、ラウンド16でもエジプト相手に敗退危機に陥った王者の進撃。「このグループの一員でいられることが本当に幸せなんだ。彼らはいつも僕に温かい言葉をかけてくれて、行動でも示してくれる。ずっと一緒にプレーしてきたけど、彼らと一緒に戦えることを誇りに思っている」。茨の道をこじ開けたのは誰よりも長くチームを愛し、誰よりも偉大な結果で示してきた“神の子”の願いだった。

(取材・文 竹内達也)

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竹内達也
Text by 竹内達也

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