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「当たり前のこと」を見つめ直したディフェンス陣の確かな成長。大津は福岡U-18とのシビアな90分間をウノゼロで制して怒涛の3連勝達成!

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大津高はシビアなゲームをウノゼロで制して3連勝達成!

[5.17 プレミアリーグWEST第8節 福岡U-18 0-1 大津高 ベスト電器スタジアム]

 再昇格を果たしてから、今季で7シーズン目となるプレミアリーグでの戦いは、いつだって自分たちの志すべき目線を上げてくれる。代が変わっても、人が変わっても、積み上げてきたものをベースに置きながら、チームも、個人も、さらなる成長を目指すサイクルは、何ひとつ変わることはない。

「今年のプレミアはかなり混戦だと思いますし、こういうリーグだからこそ身に付くものがある中で、3連勝は大きいですね。ウチはもともとスタートの立ち位置的には上位のチームだとは思っていなかったですけど、こういう緊張感のある試合ができるのは、僕らにとって一番いい環境かなと思います」(大津高・山城朋大監督)

 緊張感の高い90分間を制して、堂々の3連勝!17日、高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2026 WEST第8節で、アビスパ福岡U-18(福岡)と大津高(熊本)が激突した一戦は、後半30分にFW木村太陽(3年)が決勝点を挙げた大津が1-0で競り勝って、アウェイでの白星を手にしている。


 いきなりの激しい攻防は前半7分。福岡U-18はキャプテンのDF藤川虎三(3年)が好フィードを送り、MF前田陽輝(3年)が競り勝ったボールをMF品川維風(2年)が粘って残し、エリア内から前田がシュートを放つも、大津のセンターバックを務めるDF木下斗稀(3年)が身体を投げ出してブロック。見応えのあるシーンに、メインスタンドを埋めたベスト電器スタジアムの観衆からもどよめきが起こる。

前線で高いクオリティを発揮した前田


 ただ、以降のゲームリズムを握ったのは、「2連勝同士として、どういう戦いになるかなと思ったんですけど、入りから結構ボールを持つことができたと思います」と木下も話した大津。その木下とDF小森太斗(3年)で組む両センターバックと、MF芋生陵(3年)とMF山本翼(3年)のドイスボランチを軸に、丁寧にボールを動かしながら、ジワジワと相手陣内を侵食していく。

 21分は大津。右サイドからMF西本瑛司(3年)が思い切りよく放ったカットインシュートは、DFに当たりながら左ポストにヒット。27分も大津。西本、MF薮田尚大(3年)とパスを回し、DF西川和樹(3年)のグラウンダークロスにMF松岡凛(3年)のシュートはここも左ポストに当たり、判定自体はオフサイドだったものの、続けて作った決定機。

 一方の福岡U-18は「意図的な攻撃の形を出せる回数も少なく、大津さんの守備の良さを僕らが嫌がって、簡単なところにボールを運びすぎましたね」と久永辰徳監督も振り返ったように、今季に入ってより進化しているビルドアップを効果的に繰り出せない中で、44分にビッグチャンス。

 MF永冨颯人(3年)を起点にして、DF岩本塁(3年)のパスから、前田が右サイドを単騎で運んでアーリークロス。走った品川の豪快なボレーはクロスバーを叩くと、45分にも鋭いインターセプトからそのまま藤川が枠内ミドル。ここは大津GK岩永蒼大(2年)にキャッチされたものの、ホームチームが終盤に惜しいシーンを続けて創出した前半は、スコアレスのままで後半へと折り返す。


品川の強烈なボレーはクロスバーにヒット!


 ハーフタイムを挟むと、5分に松岡がGKの位置を見て、枠の上に外れる40メートルロングにトライしたものの、以降は「お互いやられたくないという意識が先に来ていたように見えました」と大津の山城朋大監督が言及したように、にらみ合いのような時間が続く。

 試合の潮目が変わったのは23分。敵将の山城監督も「3番は良い選手でしたね」と口にしたDF永田湧大(2年)が足を攣らせてしまい、「膠着していたので、そんなに配置をいじらずに、高さだけ変えるシステム変更の方がいいかなと思いました」という久永監督は、投入したFW北薗大海(3年)と前田を最前線に並べ、後ろは右から岩本、DF大田俊斗(2年)、藤川の3バックに変更。ウイングバックは右に途中出場のMF佐山謙(2年)、左に品川を配し、中盤は松浦、MF水竹陽紀(2年)、MF竹信瑛治(1年)を並べる[3-5-2]にシフトする。

 すると、30分に試合を動かしたのはアウェイチーム。前線で木村が時間を作り、芋生が左へ展開。松岡の右足クロスを、ファーサイドへ潜った西本が左足のアウトサイドで折り返すと、木村の綺麗なボレーがゴールネットを鮮やかに揺らす。「相手が一瞬でも気を抜いた隙に、相手の前に入って点を決めるということは試合前からずっとイメージしていた」というストライカーの先制弾。大津が1点のリードを引き寄せる。

正確なクロスを上げた松岡

ファーサイドで西本が折り返す

木村が貴重な先制弾!



 追い掛ける展開となった福岡U-18に、すぐさま到来した同点機。31分。左サイドを果敢に駆け上がった藤川は完璧なスルーパスを中央へ。走った北薗のシュートは、しかし抜群のタイミングで飛び出した岩永がビッグセーブで防ぎ、キャプテンのDF渡部友翔(3年)が懸命にクリア。大津の守護神が、ホームチームの前に立ちはだかる。

 失点後は再び[4-4-2]に戻した福岡U-18も必死に攻める。36分。松浦の左CKに、大田が合わせたヘディングは枠の右へ。37分。松浦が右FKをファーまで届け、藤川の折り返しに大田が飛び込むも、頭に当てたボールはゴール左へ。40分。ここも松浦が右CKを蹴り入れ、水竹が残したボールを品川が狙うも、DFに当たったボールは岩永ががっちりキャッチ。1点が遠い。

 そして、3分間のアディショナルタイムが過ぎ去ると、吹き鳴らされた試合終了のホイッスル。「負けている試合は前半の早い段階で失点することが多かったんですけど、守備では全員で守って、失点しないことを毎試合チームとしてのベースにしているので、そこを意識して改善できているのは良かったと思います」と山本も話した大津が、シビアな一戦をウノゼロで勝ち切って、3連勝を成し遂げる結果となった。




「守備が安定してきたことで、前向きにサッカーする回数が増えてきたので、チーム全体がだいぶアグレッシブにプレーできるようになってきたのは、後ろの安定が大きいと思います」と語ったのは山城監督だが、大津がプレシーズンからとにかく課題として捉えていたのは守備の安定感だった。

「新チームが始まってからは守備が崩壊することも多くて、プーマカップでは0-8という試合もあったので、本当にディフェンスラインの選手も責任を感じていました」とは左サイドバックの渡部。実際にプレミアが開幕してからも、最初の3試合で8失点を献上。4バックから3バックに変えて臨んだ、第4節の東山高戦は1-0で完封勝利を飾ったものの、翌節の名古屋グランパスU-18戦は再び4点を奪われ、完敗を喫してしまう。

 ただ、もちろん選手もチームも手をこまねいていたわけではない。「これまでは簡単にシュートを打たれたり、正面に立てていないことが多かったので、トレーニングの中で相手の正面に立つこととか、ポケットに入られた時のマークの受け渡しは、この2か月ぐらいで練習してきました」とはセンターバックの木下。昨季まで青森山田でコーチを務め、今季からチームに加わった福島京介コーチの下、ディフェンス陣は地道にトレーニングを積み重ねてきた。

 1つのきっかけになったのは、第6節のサガン鳥栖U-18戦だ。山本のFKで先制すると、後半は10本のシュートを打たれながら、最後はクロスバーにも助けられて1-0で完封勝利。続く第7節のファジアーノ岡山U-18戦は、1失点こそ喫しながらも3-1で2連勝を成し遂げ、迎えた今節もウノゼロで勝点3を手にしてみせた。

「シュートブロックだったり、当たり前のことをやれるようになってきたので、鳥栖戦から失点数が減ってきているのかなと思います」と木下が話せば、「試合を重ねるごとにディフェンスラインの成長も全員が感じているんじゃないかなと思います」と渡部。ようやく現れ始めている明確な成果が、彼らの自信を深めてくれていることは想像に難くない。

 これでリーグ戦は3位に浮上。2年ぶりのWEST制覇も十分視野に捉えられる位置に付けているが、彼らに浮かれた様子はまったく見受けられない。キャプテンの渡部は改めてここからの戦いに気を引き締める。

「『リーグ戦は連勝が大事だ』と言われていた中で、負けて学ぶこともあるかもしれないですけど、勝って学ぶ方がチームの雰囲気も上がっていきますし、勝ち続けて成長していくのが一番いいと思うので、3連勝はチームとしてプラスになっていくんじゃないかなと思います」。

「こういうギリギリの試合を1-0で勝てたというのは、チームにとってもプラスになると思いますし、勝ち切るという部分が自分たちに足りない部分だったので、これからもこういう厳しい試合が増えていくかもしれないですけど、勝ち切る部分にフォーカスしていきたいと思います」。

 ハイレベルな実戦を繰り返し、悔しい敗戦を突き付けられ、粘り強く勝利を手繰り寄せてきた中で、少しずつ見えてきた2026年のチームの輪郭。火の国を熱く燃やす、進化するブルー軍団。今年も大津がたどっていく曲がりくねったオフロードの先には、みんなで丁寧に成長していく、確かな未来が待っている。



(取材・文 土屋雅史)

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土屋雅史
Text by 土屋雅史

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