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「いつでもハードワークを」関西遠征実施の「NIKE FC」をマンチェスター・Uのアカデミーコーチが直接指導!

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「上手くなりたい」「プロになりたい」などと願う、育成世代のフットボールプレーヤーに向けて、ナイキジャパンが特別に行なっているプログラム、「NIKE FC」は1日と2日、関西遠征を実施。1日はイングランドの名門、マンチェスター・Uのアカデミーコーチのニール・ライアン氏の特別指導と講義が行われた。

 2月10日に行われたセレクションを経てNIKE FC入りした24名中22名が関西遠征に参加。当初、選手たちは午後6時から行われる指導者講習会におけるデモプレーヤーとしてライアンコーチから1時間30分間の指導を受ける予定だった。それがライアンコーチの希望もあって急遽1時間30分×2本の“2部練習”に。この日の午前7時過ぎに東京のナイキ原宿を出発し、バスで7時間かけて大阪入りした選手たちは、到着から間のない午後3時からハイテンポのトレーニング2本を受けることとなった。

 ライアンコーチが「マンチェスター・UのU-18の選手がどういうことをしているのか、体験して欲しい。まずは練習でやっていることと同じことをやっていきます」と語ってスタートしたトレーニングメニューと、日本のトレーニングメニューとの間に大きな差はない。ただ、一つひとつのメニューに対する意識の高さや、要求されるレベルが違うと選手たちは感じたようだ。

 選手たちはまず、約5m四方のグリッドの中での4対1を実施。練習間に説明をされながら、2タッチ以内限定45秒間のセットや1タッチ限定30秒間のセットをとにかく繰り返し行なっていく。ディフェンス側の選手が求められたことは、一生懸命ボールを追い続けること。これについて、ライアンコーチはフィジカル要素も加えた練習であることを説明していたが、コーチ陣が鼓舞する中、45秒間全力でプレッシャーをかけ続けた選手たちは終了とともに「ヤバイ、ヤバイ」と連呼していた。ライアンコーチは「プレーヤーはいつでもハードワークしなければいけない。(マンチェスター・Uの)香川(真司)は練習中、スゴく一生懸命やっています。ただ技術を持っていても、一生懸命にやらないとそれはいい選手とは言えない」。トップチームで活躍する日本代表MFの名前を出して、全力でトレーニングすることの重要性を語っていた。
 
 また、ポゼッションをする側の選手たちに対しては「たかがパスかもしれないけれど、細かいところにこだわっていこう」とボールホルダーに対してサポートする動きを徹底。また選手たちは受け手がコントロールしやすいようにボールを絶対に浮かさないこと、スピンをかけないこと、強すぎず、弱すぎないパスをつなぐことを求められていた。終盤は疲労が蓄積し、ミスが増える状況。それでもNIKE FCの選手たちは合計45分間も続いた4対1のトレーニングの中でアイディアのある動きを見せたり、ディフェンスで何度もインターセプトする選手が現れるなど憧れのクラブのコーチを驚かせるようなプレーもしてみせる。DF石田優輝(大東文化大一高)は「4対2だったらワンサイドカットしていればいいんですけど、4対1だと切っている暇もなく連続してあるので、フィジカルトレーニング的にも良かったと思います。自分のチームでやっていることと強度が違うだけで、そんなに変わらないものだと思ったので、日々変わらない練習をやっていけば、そこに近づけるのかなと思いました」と勇気づけられていた。

 この後、選手たちは3タッチ以内限定の9対9、また指導者講習会では4対1、9対9に続いてクロスからのシュート練習を行った。スルーパスでエンドゾーンへ入ることを狙った9対9では横や後方へパスを出した際に必ずダッシュを入れてスペースをつくることを求められ、スルーパスでは縦へのパスに斜めの動きで飛び込むことや、逆に斜めのパスに対して縦にランすることを教わった。ポゼッションも交えたこの練習の中で、DFからロングパスが放り込まれると「マンチェスター・Uではロングパスは求めていない」と声がかかり、サイドチェンジしたあとにゆっくりとジョグしている選手には「パスしてジョグはないよ!」と大声が浴びせられるようなシーンもあった。ただ、スペースのつくり方やボールを受けるときの身体の開き方などが少しずつ向上。全員が一生懸命に取り組んだことによって、ライアンコーチに「最初と最後では全然違った」と称賛される練習となった。

 練習終了後、午後9時からはライアンコーチによる約45分間の講義。選手たちは「マンチェスター・Uのアカデミーで持久走のようなトレーニングをするのか」「イングランドで身長の低いGKはいるか」「マンチェスター・Uのアカデミーの選手はみんな両足で蹴るのか」「ゲームを読む力を身につけるためには」など次々と質問を飛ばし、経験豊富なコーチによるヘディング練習のコツやマンチェスター・Uで実際にどのようなトレーニングが行われているかの説明を熱心に聞きこんでいた。

 今回、初めてNIKE FCに参加したFW池田豊史貴(浅野高)は「知らない人とサッカーをやることが初めてなので、緊張するし、難しいところもあったけれど、自分の中ではいい経験だと思います」と語り、マンチェスター・Uのアカデミーコーチから指導を受けたことについては「ずっと一生懸命やれ、というのは一番違うと思ったし、そういうところで上手い人との差がつくのかなと思いました」と重要性を感じ取っていた。所属チームの練習だけでなく、「より上手くなるため」のヒントを求めて月1~2回のプログラムに参加しているNIKE FCのメンバーたち。世界的ビッグクラブのコーチから受けた指導・言葉をそれぞれのチームに持ち帰り、自身とチームの成長につなげる。

(取材・文 吉田太郎)

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