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「練習は大事」「ボール無しで走ることはない」マンチェスター・Uのアカデミーコーチが「NIKE FC」の質問に回答

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 ユース世代のフットボールプレーヤーをサポートするナイキジャパンが育成年代に向けて行っている特別強化プログラム「NIKE FC」は、関西遠征初日(1日)にイングランドの名門、マンチェスター・Uのアカデミーコーチを務めるニール・ライアン氏から指導を受けた。練習終了後に行われた講義でライアンコーチは、選手たちの質問に対し、マンチェスター・Uのアカデミーの練習方法についてなど答えていた。

以下、講義より抜粋
「きょう(練習を)見ていて思ったことは、どんな時でも自分の全力、100パーセントを出すことを忘れないでほしい。相手チームよりも一生懸命やらなかったらゲームには勝てない。相手の技術が高かったら自分たちは一生懸命やらないといけない。加えて、自分たちのスキルを上げていかないといけない。もっともっと練習をしていくこと。ボールを使っていつでもプレーすることが大事。壁を使って蹴ってもいいだろうし、友達呼んでボールを蹴ってもいいだろうし、どんなことをやるにしても練習がキーになる。いつでもコーチが必要かと言うとそういうことはない。マンチェスター・ユナイテッドでは自主練の時間というのもつくったりする。全員が全員、いつでも練習ということから頭を離さないでやっている」

―相手が自分たちよりも身体が強かったり、大きかったりした時に勝つためには
「強くて高い相手に対して、技術があるのであれば、パスで戦うのがベスト。あとは動いて動いて相手よりもスペースをつくって、サッカーをやること。マンチェスター・ユナイテッドにも小さな選手がいっぱいいる。まだまだ成長段階の選手で、『相手がデカイ』と同じ事を言っている。パスしてポゼッションして、そういうサッカーをすることが大きくて、強い選手たちと戦う時の対策。一方で相手がポゼッションも上手かったら違う問題になる。ポゼッションのチームに対してはまずはしっかり守ること。後ろをつくって、相手がパスをしながら入ってくる。だから、ボールを取った瞬間、速い攻撃をすることが一番の対策。(ただ個々では)大きいとか、小さいとかではなくて、気持ちとかが大事。相手よりも一生懸命動く、諦めることなく戦うことが重要」

―試合前に気をつけることは
「次の日に試合がある時は、前日は午前中に練習する。1時間半。食事を摂って、もちろん水分もたくさんとる。休憩も必要。しっかりと早い時間に布団に入る。そして次の日11時から始まる試合に備える。ただし、準備というのは前日だけではなくて、一週間を見てやること。日本は本当にいい食事がたくさんあるから。お魚、ごはん、パスタもあるし、野菜もフルーツもたくさんある。水も凄い大事だと思う。だから(食生活なども)一週間を見てほしい」

―体幹トレーニングについて
「(質問者は)16歳ということだが、マンチェスター・ユナイテッドではウェートを使ったトレーニングというのはやらない。サイズが大きいからいいとか、強いからいいとかではなくて、今世界中を見てもイニエスタ、シャビ、メッシ、そんなに大きい選手ではない。凄く大事になってくるのは、他のところ。ゲームをどれだけ知っているかとか、スキルとかそういうところになってくる。(マンチェスター・ユナイテッドで)やっているのは腕立て伏せとか、懸垂とか腹筋をやるとか、それくらいしかやっていない」

―持久走の練習はどのくらいやるのか
「持久走とか、ダッシュとかはやらない。どの練習も強度が高い。持久走とかそういう練習はサッカーの練習の中に組み込んでいる。きょう4対1の練習をやったけれど、そのような練習の中でコーチたちはDFの体力も見ている。ボール無しで走ることはない。プレシーズンでもボールを使ってやる」

―背の低いGKはいるか
「小さい選手もいたけれど、そんなにいない。17、18でも身長が伸びる子はいる。(そのような場合は)レントゲンをとって、その選手がどのくらい身長が伸びるかとか見る。イングランドではGKは大きい方がいい。ただ、リバプールのレイナは大きくないよね。(元フランス代表の)バルデスもあまり大きくないけれど、ワールドカップに出て優勝している。小さくても才能があれば問題ないと思う」

―アカデミーの選手はみんな両足を上手く使うことが出来るか
「マラドーナ、メッシ、クライフ、ギグス、彼らは両足蹴ることができる? それとも片方が秀でている? メッシもマラドーナも左足。彼らは右足のところにボールが来ても、左足のアウトサイドで上手く蹴ってしまう。もちろん両足蹴れる選手が理想的。ただ、例えばベッカムのように、片方の足がものすごく秀でている場合もある。彼はFK、クロス、右足一本であそこまでいった。ボクも知っているけれど、ベッカムは何回も何回も、何時間も何時間も右足で壁に向かってボールを蹴っていた、結局は、練習は大事だよね。ただ、どれだけやっても完ぺきにはならない。どのパーツもやっていかないといけない」

―ケガをした時にチームのために戦うべきなのか、それとも休むべきなのか
「ケガしたままプレーしたとすると、自分の全力は出せないよね。このケガが原因でチームにとって悪い状況になるかもしれない。ケガが治らないままプレーしたとしたら、いつまで経っても治癒することはないよね。小さなケガだったら、プレーに支障がないのであればいいけれど、長い期間同じ所にケガを持っている選手にはならないほうがいい。自分で無理だと思ったらプレーしないほうがいい。マンチェスター・ユナイテッドで言っているのは、ケガとかでグラウンドに倒れて、動けないのであれば、ピッチを出ろと。ちょっとしたケガで全然大したことがなければ選手はすぐに立ち上がってプレーするけれども、少しでもダメだったらピッチから出ろという。ものすごい怪我があったらまず大丈夫? と確認するけれどね」

(取材・文 吉田太郎)

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