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[プリンスリーグ関東2部]「見返してやりたい」先輩越え狙う関東一が幕張総合に競り勝つ

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[5.19 プリンスリーグ関東2部第1節 幕張総合高0-2関東一高 私学事業団総合運動場]

 高円宮杯U-18サッカーリーグ2013 プリンスリーグ関東2部は19日、悪天候のために延期されていた第1節の幕張総合高(千葉)対関東一高(東京)戦を行い、関東一が2-0で勝った。

「自分たちの殻を破ってもらいたい」。関東一の小野貴裕監督は「選手それぞれにいいところがある。それを外に出せるようにしてもらいたい」と期待する。関東一は、いずれも高校選手権東京都大会決勝へ勝ち進んだ過去2年に比べると、ややスケールが小さくなっている部分がある。156cmのMF渡部太一(3年)が「昨年は身長がデカくてみんな上手かった。自分たちはフィジカルが低い。だからコンパクトにして、弱さをダイレクトプレーなどで補わなければいけない」と言うように選手たちもそれを自覚しているが、この日の幕張総合戦は自分たちの力を認めた上でどう戦えば良いのかを示す試合となった。
 
 昨年からのレギュラーで中盤の柱を担うMF忠岡義紀主将(3年)が累積警告のために欠場したほか、FW田中ヨシ(3年)らをケガで欠く布陣。だが関東一は前半6分に幸先良く先制点を奪う。6分、左FKを中央でCB川路憲亮(3年)が落とすと、タイミング良くPAに走りこんだCB天羽良太(3年)が右足シュートをゴール左隅へ流し込んで先制点を奪った。

 関東一は、181cmのFW角口大征(2年)を最前線にスキルの高い左SB山崎健之郎(3年)やMF万代勇輝(2年)らがその後もボールをテンポ良く動かすと、運動量多く攻撃に絡む渡部やSB高野幸祐(3年)の思い切ったオーバーラップも効果を発揮。ただ、アタッキングエリアで手数をかけすぎてシュートチャンスを逃すと、攻撃は徐々に行き詰まってしまう。

 逆に幕張総合はディフェンスライン近くまで下がってボールを引き出し、正確なキックで攻撃を組み立てるMF小松拓実(3年)とCB小池雄人(3年)を軸に、機動力の高さとロングスローが魅力のFW増田伸(2年)やスピードのあるSB津久井颯人(2年)、MF三浦健太朗(3年)がサイドに穴を開ける。また鋭いプレッシャーも利いていた。一方、選手間の距離を短くして攻める関東一はボールを失った直後の素早いチェックがピンチの芽を摘んでいたが、後半は中盤で前を向かれる回数を増やされるなど1点を追って攻める幕張総合の勢いに飲み込まれかけていた。

 ただ、関東一は中央の天羽と川路がクロスに対して強さを発揮。幕張総合は15分に小松の鋭いクロスがゴール前に入るが、GK大藤洋輔(3年)が鋭い反応で弾き返すなど関東一守備陣は押し込まれてもゴール前で強固な守りを発揮する。

 小柄で上手い選手たちがひたむきに守った関東一の前に、交代選手も武器となっていた好チーム・幕張総合も最後まで得点することができなかった。逆に関東一は後半39分、カウンターの流れからスルーパスのこぼれをつなぎ、最後は中央の角口から落としを受けた渡部が左へ流れながら左足一閃。これがゴール右隅へ吸い込まれて勝負の行方を決定づけた。

 前後半合わせてシュート3本。これまでの関東一らしさはなかったが、それでも耐えてゴールを狙い続けた結果が2点目を生み出した。千葉U-18に0-3で敗れたような試合もある中、昨年までのように常に試合を支配するようなことができなくても、勝利に結びつけることができることを示す試合となった。これが自信となり、まもなくスタートする総体予選など今後へのヒントになるか。「自分たちのテンポでつないでいたし、守るところは守って、やるべきことをやっていたと思います」と評価した忠岡は「先輩が前の試合に来ていたんですけど、ふざけた感じで『落ちたな』と言われたので見返してやりたいと思います(微笑)。インハイ、選手権全国出て、個だけじゃないんだぞというところを見せつけたい」と言い切った。関東一は個々や内容では昨年までと比べて劣っても、チームとして結果を残して評価を覆す。

[写真]前半6分、先制ゴールを喜ぶ関東一DF天羽(左)とMF山崎

(取材・文 吉田太郎)
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