beacon

[MOM906]神戸U-18DF山口真司(2年)_攻守で存在感放った「ちょっと控えめ」な左SB

このエントリーをはてなブックマークに追加

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.1 高円宮杯プレミアリーグWEST第17節 神戸U-18 2-0名古屋U18 いぶきの森]

「自分の武器がいまいち分かってないんですよね。自分でもずっとちゃんと出来ているんかなって不安になるし、自分よりもっと上手い選手がいるんちゃうかなって」。そう口にするのはヴィッセル神戸U-18の不動の左SB、山口真司(2年)。ルーキーイヤーだった昨季からポジションを掴み、年代別代表にも選ばれた経験を持つ選手だが出てくるのはちょっと自信無さげな言葉ばかり。ただ、本人の評価とは反対にこの日見せた存在感は抜群だった。

 前半は「お互いボールを回すチーム。前節のセレッソよりも前からのプレスが緩かったので、自分を含め、中盤もボールを回せていた。相手DFの背後も上手く取れたけど、オフサイドを取られたり、イライラする展開だった」。チームは主導権を握ったものの、時折、相手の鋭い攻撃を受ける場面もあった。だが山口は冷静な対応で決定機を与えず。ボールを奪ってからも、堅実な足技でポゼッションの起点となりつつ、力強い持ち上がりで攻撃にアクセントを加えた。

 そして、後半はチームを救うファインプレーを連発する。33分にはMF川崎健太郎(1年)のミドルシュートがクロスバーに直撃。ゴール前に落ちたボールを狙われる決定的な場面を迎えたが、身体を投げ出してブロック。最後まで集中力を切らさず無失点に大きく貢献したが、本人は会心の笑みではなく「ずっと迷惑かけてばかりなんで、あれ位しないと出ている意味がない。後期の京都サンガ戦も自分が体調を崩して出られなかったせいで、負けた。それに比べたらだいぶ小さいですけど、貢献出来て良かった」とホッとした表情を浮かべるのみ。「グランパスの攻撃力はエグいと聞いていたので警戒していたけど、加古(晴也)と(東)隼也のCBが集中して守り切ってくれたのと、(堂園)和馬君がセカンドボールを拾ってくれたのが大きかった」と最後まで謙虚な姿勢を崩さなかった。

「今年は下位争いをするレベルだと思っていたし、周りからもそう思われていたと思う。だから、タイトルを一つでも獲って見返してやろう」と思ったものの、現実では「まったく想像していなかった順位。上とか意識してなかったけど、気付いたら“1位におるわ!”って感じでした(笑)」と優勝が目前に迫ってきた。「ここからは昨季、経験していない未知の世界ですけど、今はめっちゃ楽しい。優勝争いをしながらの練習は普段の練習よりも本当に楽しい。ここまで来たら、絶対にタイトルが取りたい」。残すは大津高(熊本)戦のみ。栄冠の中心にちょっと控えめな左SBの存在は欠かせない。

(取材・文 森田将義)
▼関連リンク
2013プレミアリーグWEST

TOP