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[プレミアリーグEAST]「高体連でも日本一を取れるんだというところを見せる」流経大柏が神戸U-18とのチャンピオンシップへ!

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[12.8 高円宮杯プレミアリーグEAST第18節 流通経済大柏高3-1桐光学園高 流通経済大柏高G]

 高校年代最高峰のリーグ戦、高円宮杯U-18サッカーリーグ2013 プレミアリーグEASTは8日、最終節を行い、引き分け以上で自力優勝の決まる流通経済大柏高(千葉)が桐光学園高(神奈川)に3-1で逆転勝ち。初優勝を果たした。高体連チームの優勝はプレミアリーグスタートから3年目で今回が初めて。流経大柏は12月15日のチャンピオンシップ(埼玉)でヴィッセル神戸U-18(兵庫)と対戦する。

「とにかく高体連でも日本一を取れるんだというところを見せるだけです。自分たちが初めて高体連で優勝を達成してやるという気持ちですね」。流経大柏のU-18日本代表候補DF石田和希主将(3年)は日本一を懸けたチャンピオンシップへ向けて力を込めた。11年にスタートしたプレミアリーグの優勝はEAST、WESTともにJクラブユース勢が独占していた。今季開幕からEASTの優勝争いを独走し、途中3連敗を喫しながらも1位で走りきった流経大柏だが、目標はあくまで日本一。石田は「(EAST優勝は)素直に嬉しい気持ちはありますけれど、全然満足はしていないです。ここで最後取ってというのが最終目標」と気を引き締めていた。

 同じく日本一を目指した高校選手権は千葉県予選決勝でライバルの市立船橋に0-1で敗れたが、自分たちにはもうひとつ、リーグ戦の日本一を獲るチャンスがある。152cmの注目FW森永卓(3年)は「選手権が終わった後、みんなバスの中で暗い雰囲気だったんですけど、自分としてはプレミアがあると思っていた。自分も切り替えることは最初キツかったんですけど、自分が表現できるのがもうプレミアしかなかった。それへ向けてトレーニングして来ましたし、(本田)監督からも『目標の3冠はもうプレミアしか残っていない。獲って、5年後、10年後に集まった時にオレたちは獲ったぞと言えるようになろう』という話がありました」。彼らにとってはチャンピオンシップが高校ラストゲーム。選手権への思いを捨ててプレミアリーグ制覇へシフトチェンジしている。

 ただ、アルビレックス新潟内定のMF小泉慶やFWジャーメイン良(ともに3年)が負傷でベンチを外れたこの日の前半は、桐光学園の激しいプレッシャーに手こずった。桐光学園の鈴木勝大監督が「コンディションのいい選手たちを起用しました」というメンバーは選手権県予選と全く違う陣容だったが、それでもベンチからの「中盤で前を向かせるな!」ということばに呼応するように激しいディフェンスで流経大柏のリズムを狂わせる。そして前半9分、セットプレーからMF大谷晃平(2年)が左足シュート。このこぼれ球をDF井上瑠寧(2年)が右足で押し込んでリードを奪った。

 流経大柏はボランチに入った石田がタメをつくり、ボールもよく動いていたが、テンポアップする前にファウルで止められるなど、攻撃の流れが悪い。逆にしっかりとボールをつなぎながら局面ではMF有馬侑希(2年)やMF加藤寛明、MF有田和明(ともに3年)らがドリブルで仕掛けてくる桐光学園の攻撃に穴を開けられるシーンがあった。流経大柏も38分にU-18日本代表候補MF青木亮太(3年)のスルーパスからFW高沢優也(2年)が左足を振りぬくなどチャンスをつくったが、前半を無得点で終えてしまう。

 ただ、前半40分にMF相澤祥太(3年)、後半開始から高校総体得点王のFW立花歩夢(3年)とMF久保和己(2年)を投入してメンバーに変化を加えながらも、焦れずにショートパスで攻め続けた流経大柏が試合をひっくり返す。後半6分、相澤の左FKを中央へ飛び込んだ右SB入江勇樹(3年)が頭で合わせて同点ゴール。渾身のガッツポーズで喜んだ入江の得点で試合を振り出しに戻すと、さらに12分には自陣からパスを10本以上つないでゴールを陥れる。DFラインで右サイドから逆サイドへ動かすと、1タッチ、2タッチのパスで前方へボールを運び、左中間で受けた久保が左前方へスルーパス。これをMF秋山陽介(3年)が中央へ折り返すと、逆サイドから飛び込んできた青木が右足でゴールへ沈めた。

 今年の流経大柏はダイレクトでボールを動かす技術を徹底的に磨いてきた世代。秋山が「自分たちのやってきたことが出た瞬間だったと思います」と振り返るゴールで勝ち越した流経大柏はこの後、アーリークロスを有効に使ってチャンスの数を増やす。さらに18分にも相澤のスルーパスで抜けだした立花がGKとの1対1を右足で制して3-1と突き放した。桐光学園に主導権を握られていた時間帯も短くなかったが、勝って優勝を決め、チャンピオンシップへ弾みをつけた。

 流経大柏は空中戦での勝負など、“大きなサッカー”をもすることができるチームだが、チャンピオンシップはこの世代の特長であるポゼッションベースのサッカーで勝利を目指す。本田監督はグラウンダーのパスワークで勝負を挑むかとの問いに「もちろんね。何とかここまで来たから勝たせてあげたい」と語った。秋山は「3年間やってきたことを決勝でも出す」。高円宮杯が全日本ユース(U-18)選手権という“カップ戦”で争われていた07年に流経大柏が日本一を獲得したのを最後に、高校世代の高円宮杯は全てJクラブユース勢がタイトルを獲得してきた。「高体連代表」の流経大柏がその歴史を塗り替える。

(取材・文 吉田太郎)
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