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[プレミアリーグ参入戦]創部13年目でのプレミア参入へ前進!選手権も注目の京都橘が瀬戸内撃破!

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[12.14 高円宮杯プレミアリーグ参入戦1回戦 瀬戸内高1-3京都橘高 広島広域公園補助競技場]

 高校年代最高峰のリーグ戦、高円宮杯U-18サッカーリーグ2014プレミアリーグ参入の権利を懸けた高円宮杯U-18サッカーリーグ2013プレミアリーグ参入戦1回戦が14日、広島県内各地で行われ、プリンスリーグ中国王者の瀬戸内高(広島)と関西2位の京都橘高(京都)との一戦は京都橘が3-1で勝った。

「前半は相手(のサッカースタイル)に付き合え。後半は『ヤルで』という話をしていました。まず前半を耐えること。そしてお互いの疲労の中で勝負するなら後半かなと思っていました」。米澤一成監督はそう振り返ったが、その勝負どころの後半に3ゴールを叩き出した京都橘が初のプレミアリーグ参入へ王手をかけた。前半、主導権を握ったのは最終節の大逆転でプリンスリーグ中国を制した瀬戸内だった。各選手が球際に強くきっちりと入ると、空中戦、セカンドボールの攻防戦で優位に。また深いスライディングタックルで相手のドリブルを何度も引っ掛けるなど上手いディフェンスも見せる瀬戸内はFW南隆、FW小田駿介の強力2トップの推進力を活かした縦へのダイナミックな攻撃で京都橘ゴールへ襲いかかった。

 12分、南のパスで抜けだした小田がゴール至近距離から右足シュート。15分には空いたバイタルエリアをドリブルで突いたMF浜下瑛主将の右足シュートがゴールを捉える。さらに16分にも右サイドから仕掛けた小田が左足シュート。ただ、京都橘はロアッソ熊本内定のGK永井建成が安定したセービングでゴールを許さない。瀬戸内は18分にも右サイド後方からのFKを南がダイレクトで合わせるが、永井はこの一撃も驚異的な反応でキャッチ。永井は30分、MF石川善浩に放たれた決定的な左足シュートも阻止すると、39分にも浜下のスルーパスから南に放たれた決定的な右足シュートを触ってゴールを死守する。

 京都橘も、名古屋グランパス内定のU-18日本代表FW小屋松知哉主将が周囲に素早くパスを散らしながらチャンスメーク。ショートカウンターからシュートシーンをつくり出した。28分にはMF中野克哉とのワンツーから小屋松が右足シュートを放ち、41分にも小屋松のラストパスから中野がポスト直撃の左足シュート。だが、前半を拮抗したまま終わることができたのは、序盤から連発したビッグセーブと多彩なキックによって会場を大いに沸かせていた永井の存在が大きかった。

 そして勝負の後半、京都橘はCB清水遼大が接触プレーで6分に負傷退場するアクシデント。それでも小屋松が「中盤で相手の1ボランチのサイドのところがどうしても空いてしまうんで、そこを上手く使えば(マークを)外せると分かった。そこを上手く使いながら、ボールを回しながらフィニッシュができたと思います」と振り返ったように、京都橘はテンポのいいパスワークで相手の急所を突き、主導権を握った。球離れが早くなりボールロストする回数を減らすことにも成功すると、注目の小屋松もバイタルエリアで前を向く回数を増やし、15分には小屋松のラストパスをMF宮吉悠太が右足で合わせた。そして19分だ。MF藤村洋太のスルーパスで抜けだしたMF中山俊輝が右足シュート。これは瀬戸内GK濱本康介が驚異的な反応でセーブしたが、こぼれ球に詰めていた宮吉がゴールへ押し込んで京都橘がスコアを動かした。

 瀬戸内は25分に石川の左足ダイレクトボレーがゴールを捉えたものの、京都橘はこれも永井がワンハンドで枠外へとかき出す。米澤監督もDF陣のふんばりに目を細めていたが、京都橘は左SBからCBへ移動した小川礼太林大樹の2人を中心に相手のパワープレーを必死に弾き返して対抗する。瀬戸内は38分に切り札のFW宗近侑を投入して攻撃姿勢を強めたが、京都橘は直後の39分、右サイドから仕掛けたFW赤澤祥平がシュート。こぼれ球に反応した藤村が自らの左足シュートのこぼれ球を身体ごとでゴールへねじ込んで2-0とした。

 瀬戸内は42分、直前の競り合いで選手が倒れこみ、一瞬集中力を欠いた京都橘の隙を逃さず、右SB橋本優輝がクロス。ファーサイドに流れたボールを南が左足ダイレクトで合わせて1点差とした。だが京都橘は45分、インターセプトから右サイドを縦に突いた小屋松のクロスを赤澤が頭で合わせて3-1。これで勝負の行方を決定づけた京都橘がプレミアリーグ参入へ王手を懸けた。

 今年プレミアリーグを戦った高体連チームは流通経済大柏、青森山田、桐光学園、静岡学園、東福岡、富山一、大津と名門や伝統校ばかり。その中に01年の創部からわずか13年目の京都橘が駆け上がろうとしている。昨年度の高校選手権で準優勝し、高校年代最高峰のリーグ戦にも挑戦する権利も得ることができるか。米澤監督は「行って経験すれば、どういうステージやったと言えると思う。一回行って体感したい」。小屋松は「ボクたちの歴史にもなりますし、来年ボクたちはいないですけど、下の年代につなげていきたいと思う」。あと1勝。京都橘が北信越を代表する名門・星稜との2回戦を制して、名門校の仲間入りを果たす。

[写真]京都橘は宮吉の先制ゴールなどで瀬戸内を撃破

(取材・文 吉田太郎)
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