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[チャンピオンシップ]「もう2位はいらない」選手権出場逃した流経大柏、「3年生ラストゲーム」で日本一獲得!

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[12.15 高円宮杯チャンピオンシップ 流通経済大柏高1-1(PK5-4)神戸U-18 埼玉] 

 11月17日の高校選手権千葉県予選決勝でライバルの市立船橋に0-1で敗戦。流通経済大柏の3年生たちにとってはこのチャンピオンシップが高校ラストゲームだった。股関節の負傷を抱えるMF小泉慶(アルビレックス新潟内定)も「この仲間とサッカーするのは最後だったので、痛み止め飲んでも足が攣っても頑張ろうと思っていました。(選手権出場は逃したが)ここで取るチャンスがある。日本一取って引退しようと言っていた」と先発出場。本田裕一郎監督は先発11人だけでなく、登録18選手全員3年生を送り出して3年生の思いに懸けた。

 U-18日本代表候補MF青木亮太(名古屋グランパス内定)は「最後3年生だけでやることになって、3年生も気持ちは入っていた」と振り返る。ラストゲームを勝利で飾るためにピッチもスタンドの控え部員も一丸だった。この日、3年間磨いてきたポゼッションスタイルで相手を圧倒したとは言い難い。それでも152cmの注目FW森永卓も小泉も足を攣らせるまで走りぬいた。伝統のプレッシングで神戸の持ち味を発揮させなかった。彼らのほとんどは高校選手権での活躍を夢見て流経大柏のサッカー部に入部してきている。予選で敗退したことによって気持ちが切れかけた選手もいる。それでも、この試合のために気持ちを立て直した選手たちは、日本一に懸ける思いをそれぞれが前面に出していた。

 後半アディショナルタイムの失点で同点に追いつかれた際には「また2位?」と思った選手もいたという。今年は全国高校総体決勝で市立船橋に敗れ、高校選手権予選も決勝で敗れた。「もう2位はいらない」。延長戦に入る前、本田監督は選手たちを呼び止めて「絶対に最後の最後まであきらめるんじゃないよ」と送り出した。アタッカー陣のほとんどが交代してしまっていたが相手にチャンスをつくらせず、PK戦までもつれ込んだ熱戦を執念で制した。

 森永は「ここで勝って選手権にも出たかったですけど、自分たちはこの試合が最後。ただ、プレミア(リーグ)ができて3年目で高体連では自分たちが初めての優勝なので名を刻めたかなと思います」と喜び、主将のMF石田和希は「実感があまり沸かない。最後の最後、万年2位で終わるのではなく1番で終わるのは嬉しいですね」と胸を張った。高校年代最高峰のリーグ戦であるプレミアリーグEASTでJクラブユース勢を上回って初優勝し、この日のチャンピオンシップも制して日本一に立った。その実力を注目度の高い高校選手権で披露することはできない。だが日本一を獲得して卒業する3年生たちの表情はとても晴れやかだった。

(取材・文 吉田太郎)
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