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[MOM918]京都橘 MF中山俊輝(3年)_高さと速さを備えたアタッカーが本領発揮の2G

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.16 高円宮杯プレミアリーグ参入戦2回戦 星稜高1-5京都橘高 広島一球]

 選手権準優勝を果たした昨季の京都橘の躍進を影から見守ったMF中山俊輝(3年)が、一躍、“主役”に躍り出た。

 京都橘は試合開始早々、右サイドを破られ、ゴール前に入れられたボールを星稜FW森山泰希に決められ先制を許してしまう。「失点は自分も近くにいたので、もうちょっとプレッシャーをかければ防げられたかなと思う」と悔しさを口にした立ち上がりだったが、「始まったばかりなのでまだ時間はある。1点くらいは仕方がない。90分の試合なんで、まだ大丈夫だと思った」とすぐさま前を向き、反撃を開始する。同点に追いついた20分過ぎに前線に飛び出した場面から、米澤一成監督の指示を受けて、FW宮吉悠太とポジションを変更。サイドMFとFWが流動的に入れ替わる今年の京都橘のスタイルを象徴する柔軟なスタイルが得点ラッシュの背中を押した。

「どっちも出来るけど、今日は何かFWの気分やった」と振り返った中山は身体が暖まるにつれ、持ち味であるスピードを生かした突破で攻撃を牽引。後半2分に「ミヤ(宮吉)とはあの形は良く話をしていて、前の練習試合でも同じような攻撃があった。“絶対にボールが来るな”と思っていた通りで合わせるだけでした」と宮吉から配球された浮き球を相手GKの鼻先でヘディングし、チームの3点目をゲット。続く11分にもFW小屋松知哉のスルーパスから相手DFの背後に抜け出してシュートを決める。

 自信のある速さと高さを存分に見せつけたが、相手との接触で靭帯を痛め、後半22分にベンチに下がった。勝利の笛をピッチ上で耳にする事は出来なかったが、幸い高校選手権の出場に影響はなさそう。プレミアリーグ昇格という結果に「素直に嬉しいです」と笑顔を見せた。

 2年生だった昨季から期待されていたが夏の遠征で負傷。順調に回復し、選手権の京都府予選後には全国大会用の写真撮影も済ませていた。だが、全国大会の最終メンバー発表直前に行われた練習試合で別の箇所を負傷し、メンバーから外されてしまった。本来、自分がいたかもしれない場所に立ち、快進撃を続けるチームメイトの姿を眺め、「初戦とか2回戦、3回戦は『なんで勝つねん』みたいな事を言っていたんですけど、ベスト8に入ったらそんな気持ちも無くなって、素直に応援が出来るようになった」と話す。

 ピッチの外から見つめ、支えた昨季の選手権準優勝。万全の状態で迎えた今年はチームに欠かせない活躍を見せている。「昨年、悔しい思いをした分、最後の国立でしっかり活躍出来るように頑張りたい」という意気込みを達成するために、この日の活躍は大きな自信となるはずだ。

[写真]後半2分、京都橘は中山がチーム3点目となるヘディングシュート

(取材・文 森田将義)
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