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[プリンスリーグ東海]藤枝東が帝京大可児との好勝負を4ゴールで制す

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[4.12 高円宮杯プリンスリーグ東海第1節 藤枝東高 4-1 帝京大可児高 藤枝総合]

 12日、高円宮杯U-18サッカーリーグ2014 プリンスリーグ東海第1節の藤枝東高(静岡)対帝京大可児高(岐阜)戦が行われ、藤枝東が4-1で快勝した。

 昨年度、プリンスリーグ東海で2位へ食い込み、5年ぶりの全国高校選手権出場も果たして復活を印象付けた藤枝東と、MF杉本太郎(現鹿島)とMF三島頌平(現中央大)を中心に全国高校総体で8強進出した帝京大可児との強豪対決。FW櫻井敬基(現明治大)やFW片井巧(現鹿屋体育大)といった強力アタッカー陣が抜けた藤枝東、2枚看板をはじめ主力の大半が卒業した帝京大可児ともに、顔ぶれが入れ替わる中で臨んだ初戦だった。

 とは言え、藤枝東は強力ドリブラー・FW小谷春日主将をはじめ、絶対的守護神のGK長澤祐弥、10番MF藤原賢吏、ゲーム主将のMF大場淳矢(すべて3年)と4人の主力が残る。その藤枝東が先にスコアを動かした。前半15分、藤原の左CKをMF新村瑚(3年)が背中越しに右足ダイレクトで合わせてリードを奪う。さらに24分には右サイドから細かくつないで大場が左サイドへ展開すると、縦に仕掛けた左FW川本紘平(3年)がDFを振り切ってから左足で逆サイドのゴールネットへ突き刺すファインショットを決めて2-0とした。

 打開力のある右の小谷、左の川本の両ワイドアタッカー、そしてPAで強さを発揮したFW山田盛央(2年)、テンポのよいパスで相手の急所を突く藤原と攻撃陣が力を発揮する藤枝東は、川本と小谷を活かしたオープン攻撃に加えて、今年の特長であるというショートパスでつないで攻めていく。これに対して今井稔総監督が「まだまだです。(杉本)太郎みたいに引っ張るヤツがまだいない」という帝京大可児は受け手に回ってしまった。また昨年の全国総体・國學院久我山高(東京)戦でハットトリックを達成しているMF藤田章太郎(3年)が怪我明けの影響でまだ本調子でなくベンチスタートの帝京大可児だったが、キーマンのMF山口開(3年)と運動量多くボールに絡むMF杉原諒省(2年)、10番MF丸山義貴(3年)を軸とした徹底的なポゼッションで反撃。32分にはGK長澤の好守によって阻まれてしまったものの、丸山とのコンビで左サイドを駆け上がった左SB金山隣太稜(3年)の折り返しを山口が決定的な形で合わせた。

 後半はトライアングルを形成しながらパス交換して局面を打開する帝京大可児が押し込んでいく。5分に丸山の折り返しからMF吉澤奨(2年)が右足シュート。さらに11分には吉澤、右SB玉木優也(2年)との連係でボールを運んだ杉原がスルーパスを通す。抜け出した丸山が右足シュートをゴール左隅へ決めて1点差とした。

 士気上がる帝京大可児はさらに16分、左CKからのサインプレーで金山が右足シュート。17分には藤田を投入して畳みかけようとする。一気に白熱してきた好勝負。だがPAでの必死のディフェンスで食い止めた藤枝東が突き放す。20分、小谷の右クロスをファーサイドの川村がダイレクトで折り返すと、中央で反応した交代出場の185cmFW松田優也(3年)がゴールへ押し込んで3-1とした。帝京大可児は26分、インターセプトから右サイドを突いたFW黒木将太(3年)の折り返しをファーサイドの丸山が落として藤田が左足を振りぬいた。だが決めきることができず、ショートカウンターも大場の好守によって阻まれるなど追撃することができない。逆に40分、藤枝東は右サイドへの展開から小谷がラストパス。これを山田がゴールへ沈めて4-1で勝利した。

 藤枝東は昨年、プレミアリーグ参入戦1回戦で関東1位の前橋育英高(群馬)を下し、全国高校選手権では初戦で京都橘高(京都)との強豪対決で敗れたものの、内容面では京都橘以上に評価する声が多かった。そこからメンバーが変わる中で迎えたプリンスリーグ初戦。白星スタートに吉野友三監督は「去年のようなスピード感はなくなっていると思う。でも彼らにない松田の高さだったり、山田の強さだったり、川本が前へ行くときのテクニックだったり違う色で勝負すればいいんだからと言っていた。それでも練習試合と公式戦は違う。不安があった中で結果が出たのは良かったと思う。自信にして一個一個積み重ねていくしかない」と語った。昨年は新人戦で優勝したものの、プリンスリーグ開幕戦で清水桜が丘高に逆転負け。それでもチームが持っている自信が揺らぐことはなかったという。ただ今年は新人戦中部地区大会で静岡学園高、藤枝明誠高に敗れ、県大会でも準決勝で浜松開誠館高で敗戦。不安もよぎる始動だったが、今回勝ち切ったことは今後へ向けた自信になりそうだ。

 小谷は「去年に比べると小粒ですけれど、また自分たちの色を出せたらいい。チームとしては(昨年足りなかった)勝ち切る力をつけていきたい」。また大場は「(京都橘戦で敗れ)あんな凄い先輩たちでも全国では勝てないのかと思った。今年は全国で勝てるチーム作りということを意識してやっている。まずはプレミア昇格、総体は全国を意識している」。昨年5年ぶりに全国選手権へ出場したことで、選手たちの目線は「全国に出ること」から「全国で勝つこと」へ変わっている。この日の白星でやや不安を持っていた「先輩越え」へ自信も深めたチームが目標達成へ挑む。

[写真]前半24分、藤枝東は川本のゴールで2-0と突き放す

(取材・文 吉田太郎)
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