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[関東大会予選]復権目指す帝京を都立勢の駒場がPK戦で破る!:東京

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[4.20 関東大会東京予選準々決勝 駒場0-0(PK4-2)帝京 駒沢第2]

 20日、平成26年度高校サッカー関東大会東京都予選準々決勝が行われ、都立勢の駒場高が名門・帝京高を0-0からのPK戦の末、4-2で破り、東久留米総合高と対戦する準決勝へ進出した。

 全国高校選手権と全国高校総体にそれぞれ2回出場している“都立の星”駒場と91年度全国高校選手権で優勝(四日市中央工高と同点優勝)した時の主将、日比威新監督の下で10年全国高校総体を最後に離れている全国舞台への復帰と、復権を目指してスタートを切っている帝京との8強対決。0-0で突入したPK戦を制して準決勝へ勝ち上がったのは駒場だった。

 PK戦の主役は駒場GK芹澤遼太(3年)だった。低い弾道でコースを突いた後攻・帝京1人目のキックを右へ跳んだ芹澤がストップ。のけ反り返るかのような渾身のガッツポーズと雄叫びで会場を盛り上げた芹澤に対し、帝京の2年生守護神、渡辺聖也も負けていない。相手の3人目のキックを左へ跳んでわずかに触れるとボールはポストを叩いてゴールラインの外側へ跳ね返った。4強入りへの執念を見せた帝京。だが、その前に駒場の芹澤が立ちはだかる。渡辺の好セーブの直後、帝京3人目のシュートを今度は左へ跳んで両手ではじき出す。これで4強入りへ前進した駒場は、決めれば勝利の決まる5人目のFW吉澤泰成(3年)が右足でゴールを破り、大興奮のスタンドの前で喜びを爆発させた。

 全国高校選手権優勝6回の歴史を持つ「カナリア軍団」帝京との対戦だったが、日本高校選抜の指揮を執った経歴などを持つ駒場・山下正人監督が「誰もビビっていなかった」というように怯む様子を全く見せない駒場が序盤の試合の流れを引き寄せた。CB末永直輝主将とCB北澤燎平(ともに3年)を中心とした堅いDF陣を支えに、セカンドボールを回収した左利きの司令塔MF篠原力とMF中原一馬(ともに3年)が攻撃につなげた。そして篠原の好キックや前線でボールを収める吉澤を起点に2次、3次攻撃を繰り出す駒場は4分にMF秋葉遼太(3年)が右サイドを突破して相手DFに冷や汗をかかせると、24分には左サイドから吉澤が右足シュート。25分にも篠原の展開から秋葉が入れたラストパスがPAのMF朝比奈賢伸(3年)に繋がるなど好機をつくる。

 一方、前半やや我慢する時間帯もあった帝京だが、タイミングよく相手の前に身体を入れるなど対人の強さ光る平井寛大と大庭健人の2年生CBコンビを中心に駒場の攻撃を跳ね返すと、ボールをテンポよく動かして反撃。そして右のMF安部心葵(3年)、左の10番MF鈴木啓太郎(2年)のドリブル突破などから駒場DF攻略を図る。0-0で折り返した後半5分に、正確なキックでゲームをつくるMF古市拓巳がボランチの位置に投入されると、攻撃がより正確かつスピーディーに。6分、古市の右CKをニアサイドで右SB下川雅人(3年)が頭で合わせる。駒場は10分に右CKのこぼれ球に反応した朝比奈の強烈な左足シュートが枠を捉えたが、相手DFの反応出来なかった一撃は不運にも味方の肩付近に当たってしまい、ゴールを破ることができない。後半は押し込まれる中で2トップの一角が下りてグラウンダーのパスを収め、前向きにサポートした選手を活用して攻めようとした駒場。ただ、山下監督が「一回クッションを置いてから前へ運べと言っていたけれど焦っていたね。1本か2本だけだったね。それが入れば最後まで行けるんだけど」と説明したように、焦って長いボールを蹴ってしまうなど、効果的な攻撃をすることができなかった。
 
 逆に攻勢を強めていった帝京は13分に古市の展開から右サイドを下川、MF高橋優人(3年)のコンビで打開。19分にはこの日中盤からの飛び出しで攻撃のアクセントになっていたMF尾田雄一(3年)が左サイドを切れ込み、その折り返しを安部が左足で合わせる。駒場は最終ラインでの奮闘が光っていた北澤が足を攣らせて交代したことで、守勢に回る時間帯となった。ただ帝京は35分に古市が放った右足FKがわずかにゴール上方へ外れ、36分にも尾田とのワンツーからPAへ切れ込んだ高橋が決定的な左足シュートを放ったが、試合を決めることができない。駒場も芹澤が「スタメンでない人も皆いつも練習を頑張っているので、そういうところも大きかったと思います」と説明したように代わって投入されたDF小松謙祐(3年)らDF陣が踏ん張ってゴールを渡さない。

 いい形で攻めながらも最後の局面で駒場の好守に阻まれてしまっていた帝京は延長後半3分にも、高橋からのパスを受けたMF礒野拓也(3年)が相手のスライディングタックルをかわし、さらにDF2人を引き付けて右サイドからPAへ飛び込んだFW青野紘季(3年)へラストパス。だがこの決定的な一撃がGK芹澤の足に止められると、最後まで1点を奪うことができず、PK戦で姿を消した。

「よう頑張りましたね」と選手たちを讃えた駒場の山下監督は「久留総(東久留米総合)は強いよ。胸を借りて頑張ります」。今大会は全国にはつながらないが、ひとつでも多くの経験を得て総体、選手権につなげたいところ。両CBをはじめ、個々でも十分に帝京と渡り合い、100分間の熱戦をPK戦で制した駒場が、次は準決勝で東久留米総合との都立校対決に臨む。

[写真]PK戦で帝京撃破! 勝利を喜ぶ駒場イレブン

(取材・文 吉田太郎)

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