beacon

[MOM1020]湘南工科大附MF勝山聖也(3年)_伝統校のプリンスリーグ初勝利、陰の立て役者

このエントリーをはてなブックマークに追加

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[4.26 高円宮杯プリンスリーグ関東 湘南工科大附高 3-2 國學院久我山高 湘南工科大附高G]

「久我山さんのポゼッションに対する中盤のスライド。アイツがスペースも消しながら、人も抑えないといけないし、もう一枚のヤツが背中をカバーするというところが頑張れるかどうかがポイントだった。思った以上にアイツが頑張ってくれた」と湘南工科大附高の室井雅志監督は、キャプテンマークを巻いた背番号6の90分間の奮闘を讃えた。互いにポゼッションを志向する中、よりボールを支配して攻めることが予想される國學院久我山にどれだけ自由を与えないか。ファインゴールを決めたFW上米良柊人(3年)やMF松井航希(3年)らアタッカー陣にも、終盤相手の猛攻を耐えきったDF陣にもヒーローの多かった湘南工科大附高だったが、中盤で的確にスペースを消しつつ、厳しいチェックでボールを奪い、拾い続けたMF勝山聖也主将(3年)のプレーが陰で勝ち点3をもたらした。

 プリンスリーグ参入戦を勝ち抜いた昨年からのレギュラー。4-3-3システムのアンカーのポジションで攻守の中心を担う。マイボールになると、DFラインにまで落ちて攻撃の組み立てに参加。少ないタッチからのパスで相手のプレッシャーを剥がし、距離の長いパスも含めてボールを左右に振り分けると、PA近くでは強烈なミドルシュートも打ち込んでくる。またコンタクトに強く攻守でボールを収めてしまう。この日はいつも以上にボールを握られる展開だったが、インサイドハーフの2人を上手く押し出してプレッシャーをかけさせつつ、空いたスペースをしっかりとケア。押し込まれている時間帯は“強靭なDF”として両CBらとともに縦横からPAに入ってくるボールを弾き返した。

 かつて全国高校選手権で2年連続4強入りを果たしている伝統校が、初参戦のプリンスリーグで初勝利を果たした。意識高く攻守でチームを安定させていた勝山だが、課題を口にすることも忘れない。「耐えたのはデカいです。でも、もっと声を出して周りのスペースを埋められればいい。PKのシーンやスローイン一つにしろプリンスリーグに出ているチームは上手い。そこが埋められたらいい。あと、もうちょっとパスの精度とかも上げたい。きょうは取ったあと、自分もトラップひとつにしろ細かいミスが多かった。そこをなくして、取ったボールをどれだけつなげるか。そこで自分たちのスタイルが変わるから」。強豪から初白星をもぎ取ったが、まだまだ自身やチームを引き上げなければならないという思いがある。伝統あるチームが初めて経験しているプリンスリーグの舞台。神奈川県の高校では、ほかに桐光学園高だけしか参加していないだけにこの経験を絶対に活かしたい。「プリンスの経験を活かして、まずは神奈川で頂点を取りたいです」

 理想像は落ち着いて、しっかりとゲームをつくることのできる選手。「遠藤(保仁)選手とか好きですね。落ち着き感とパスの精度とか。ああいうゲームをつくれる選手になりたい」というMFがリーダーとして、攻守のキーマンとしてひとつでも多くの白星、そして全国進出に貢献する。

(取材・文 吉田太郎)

TOP