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[MOM1022]柏日体FW吉田朋生(3年)_相手の反撃断った「自分は下手くそ」の馬力十分の突破と負けん気

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[4.29 関東大会千葉県予選2回戦 柏日体高 1-0 専修大松戸高 柏日体高G]

 1点を追って猛反撃を展開した専修大松戸高にとっては、とても嫌な存在だったに違いない。専大松戸が連動性の高いショートパスの連続で柏日体高陣内まで持ち込んでも、相手FW吉田朋生(3年)のパワフルな突破によって何度も自陣PA近くまで押し戻されてしまう。特に終盤は「技術がない分、やる気と負けん気でカバーしなきゃ戦っていけない」という吉田の愚直な突進がボディーブローとなって、専大松戸の反撃はキレを失ったように映った。

 チームの苦しい時間帯に相手のDFを何度も押し下げた。後半20分に右サイドから強引に仕掛けて左足シュートを放ち、29分にも右サイドでDFのマークを外して右足を振りぬくなど、決定機にも絡んだ。ただし、深い位置までドリブルで切れ込みながらもシュートまで持ち込めなかったり、最後の崩しに至る前にボールを失ったりするシーンもあり、吉田本人は不満顔。「もっと自分でキープして流れを変えなきゃ、FWの務めはではないかなと。(ボールをPAまで運んで)あそこでシュートの1、2本打てれば流れは変わった。(チームを救ったドリブルについては周りから)そう言われるんですけど、FWの仕事は決めることじゃないですか。だからちょっと納得いかないです」と首を振った。

 本人も認める通り、技術で差をつける選手ではない。それでも試合展開によってはサイドハーフに入り、スペースへのボールを拾って起点になる役割もあるという彼の馬力のある動き、接触プレーを怖れない勇気、そして負けん気の強さは魅力だ。もしも前線へ蹴り出す展開になっても繰り返しスプリントしてくる吉田の迫力の前に相手がミスを起こすという期待もある。プレーに集中しすぎて周りが見えなくなることもあるという吉田は「ちょっとだけ自分勝手なので、行っちゃうと周りの話聞かないので・・・。監督にも言われるんですけど、自分、怒っちゃうと何も見えなくなってファウルとかしちゃう」と苦笑い。だが、「自分は下手くそ。それは認めるのでカバーするにはいっぱい運動して頑張んなきゃ。負けん気で絶対に相手に負けたくない」と技術がないことを認め、自分のプレースタイルを貫くことを誓う。

「みんなに信頼されて苦しい時に助けられる選手になりたいです。逆境でも点決めて仲間を盛り上げたい」と吉田。千葉県のミナトSCでプレーしていた中学時代にDFから「オマエの足を活かせ」という指導者の指示でFWへ転向した。そこからチームのために走り続けてきたFWが高校ラストイヤーの今年も仲間のために走り続ける。

(取材・文 吉田太郎)

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