beacon

[関東大会予選]堅守構築の矢板中央、2年生ツインタワーと前線からのプレスで関東へ

このエントリーをはてなブックマークに追加

[5.10 関東大会栃木県予選準決勝 宇都宮高 0-2 矢板中央高 壬生町総合公園陸上競技場]

 10日、平成26年度高校サッカー関東大会栃木県予選準決勝が行われ、1月の全国高校選手権に出場した矢板中央高と宇都宮高との一戦は、MF藤田祐とFW関岡亮太主将(ともに3年)のゴールによって2-0で矢板中央が勝った。矢板中央は3年連続の関東大会出場決定。11日の決勝で佐野日大高と対戦する。
 
 新人戦で13年全国総体4強の真岡高に2点、佐野日大高に3点を奪われて残った守備面の課題。高橋健二監督は「守備力の向上を意識してやっている。守備が甘くて押し込まれることがあった。原点に立ち戻っていい守備からいい攻撃につなげること」と説明したが、伝統でもある堅守が構築されつつある矢板中央が、国体栃木県選抜で10番を背負ったFW鯉沼優太やMF加藤広大主将(ともに3年)ら県下屈指の進学校でありながらもタレントを擁する宇都宮を完封勝利で退けた。

 序盤から相手を押し込んだのは矢板中央。左SB水書祐季(3年)や期待の2年生MF坪川潤之の質の高い左足キックや右MF阿久津友徳(2年)の突破がチャンスを演出するなど、ロングボールやクロス、FW石川工(3年)のロングスローなど相手を上回るパワー、競り合いの強さも活かして圧力をかけていく。8分には藤田の左アーリークロスに石川が飛び込み、18分には右サイドでボールを受けた阿久津が切り返しから左足を振りぬく。そして何より光っていたのは守備面。ともに185cmクラスの長身を持つCB川上優樹とCB星キョーワァンの2年生ツインタワーが「3年生の代わりに自分たち2年生が2CBで出してもらっている。普段の練習から頑張っていきたいと思っている。絶対にゼロで抑えて勝たないといけない」(星)という意識で相手のロングボールをほぼ完ぺきに跳ね返したほか、ボールを取られた後の前線からのプレスが非常に速く、これがまた宇都宮を苦しめていた。

 ただ、個々の技術高い宇都宮も14分に左サイドでDFをかわしたFW横田健介(2年)が持ち上がって逆サイドへ展開。これをMF野本俊太郎(3年)が決定的な形で折り返したほか、高さのある鯉沼やキープ力の高い加藤を軸とした攻撃で先制点を狙っていく。怪我明けの関岡が先発を外れ、選手権で活躍したFW森本ヒマン(2年)も欠場した矢板中央はDF陣の奮闘も目立つ宇都宮の好守の前に、なかなか決定機をつくれないでいた。それでも前半36分、左サイドからのクロスのこぼれ球を拾った藤田が左足を一閃。目の前のDFが陰となったか、GKの反応がやや遅れ、弾いたボールがそのままゴールラインを越えた。

 先制された宇都宮は前半アディショナルタイムに鯉沼が右サイドから入れたボールがクロスバーを叩き、後半8分には鯉沼のスルーパスが横田へ通りかけるなど会場を沸かせるシーンをつくる。ただ水書の好カバーリングなどでピンチの芽を摘む矢板中央は積極的に2点目を狙って、奪い取った。16分、水書の強烈な左足ミドルは宇都宮GK畑大輔(3年)が好セーブ。こぼれ球をつないでFW江口大希(2年)がゴール至近距離から放った一撃も再び畑に阻まれた。だが23分、交代出場のMF白井達也(3年)の右クロスを同じく交代出場の関岡が「前半外から見ていてクロスとかから結構チャンス生まれていたので、後半自分が入ったらクロスを狙おうと思っていた」とファーサイドから頭で決めて2-0とした。

 宇都宮は3失点目のピンチがありながらも畑の好守で阻止。だが声でチームを締める星や選手権での負傷から今大会復帰した川上、GK櫻井武史(3年)中心に堅い矢板中央から最後まで1点を奪うことができなかった。試合前のミーティングでチームにハードワークする姿勢を強く求めていた高橋監督は「内容は悪かったですね」としながらも、ある程度崩すことのできた攻撃面、今大会4試合連続無失点とした守備面ともに及第点を与えていた。関岡は「監督がいう守備の部分で、新人戦では佐野日大に3失点してしまったので守備のところは改善してきました。きょうも前線のプレスとか相手に隙を与えないということを意識していました。今は、いい雰囲気で、どんどん勝ち進んで自信もついてきていますし、新人戦は佐野日大に0-3で負けているので絶対リベンジしようと言っている」。磨いてきた守備でライバル・佐野日大を封じこみ、新人戦のリベンジを果たす。

[写真]前半36分、矢板中央MF藤田(右)が先制ゴール

(取材・文 吉田太郎)

TOP